なお、『日本語教育辞典」の記述は『国語学辞典』(国語学会編)を参考しているので、興味がある方はそちらをご参照ください。
注)読み方は『大辞林』によりました。
*印の熟語は<連濁する>例です
航する *講ズル
(2)用言と用言のときは連濁がおこらない
分かち書く
<名詞化されると連濁することがある>
*分かち書き(ガキ)
*行きかける→行きがけ
注)複合名詞になったからといって連濁するわけではないか?
『〜切り』の複合名詞は連濁しない
読み切る→読み切り
踏み切る→踏み切り
打ち切る→打ち切り
※「踏ん切り」は撥音が入って連濁した例か?
(3)語構成の点から
1)前部が後部の目的格のときは、副詞修飾のときより連濁しがたい
<「炊く」の熟語例>
風呂ヲ炊く→風呂炊き *水で炊く→水炊き(ダキ)
<「刈る」の熟語例>
草ヲ刈る →草刈り *青刈り、五分刈り、丸刈り(ガリ)
※例外
「〜ヲ狩る」であるが、「狩り」が連濁する
*人狩り、虎狩り、紅葉狩り
<「切る」の熟語例>
パンヲ切る→パン切り *千本切り(ギリ)
縁切り、指切り、首切り、爪切り *めった切り、輪切り、四つ切り
足切り、皮切り、腹切り、缶切り *ぶつ切り、重ね切り、角切り
※例外
「〜ヲ切る」であるが、「切り」が連濁する
*値切り
*裏切り、区切り 注)これも「〜を切る」からか???
<「釣る」の熟語例>
魚釣り、イカ釣り、タコ釣り *海釣り、磯釣り、船釣り(ヅリ)
<「つくり」の熟語例>
花つくり、罪つくり、庭つくり *生き造り、若作り(ヅクリ)
※例外
「〜ヲつくる」であるが、「つくり」が連濁する
*役づくり、荷造り
<「書く」の熟語例>
物書き、絵描き *鉛筆書き、前書き、下書き(ガキ)
手書き(かき):字が上手な人
※例外
「〜ヲ書く」であるが、「かき」が連濁する
*人相書き、効能書き、眉書き
[コメント]
「〜ヲ書く」であっても、『人』を表わす場合には連濁せず、
『書くこと、書いたもの』の場合には連濁するのか?
<「踏む」の熟語例>
麦踏み、雪踏み *足踏み(ブミ)←「足デ踏む」
※例外
「〜ヲ踏む」であるが、「ふむ」が連濁する
*絵踏み
<「買う」の熟語例>
人買い *衝動買い、まとめ買い(ガイ)
※例外
「〜ヲ買う」であるが、「かう」が連濁する
*先物買い、青田買い
2)前部と後部が対等の資格をもつときは連濁しない
田畑:田と畑 *麦畑(バタケ:麦の畑)
山川:山と川 *山川(ガワ :山にある川)
<用言と用言の制限とも関連する熟語例>
読み書き *走り書き(ガキ)
飲み食い *大食い(グイ)
3)擬音、擬態語は連濁がおこらない
(4)音韻の点から
1)前部の最後が鼻音のとき、最も連濁しやすく、長音の場合はこれに次ぐ。
促音のときには連濁しない
2)後部の第二音節にもとから濁音があるときは連濁しがたい
風(かぜ)→◯大風(かぜ) *空(そら)→大空(ゾラ)
×大風(がぜ)