< 文法考察ファイル#7 #7 連濁規則とその例外熟語集



『日本語教育辞典』の分類をベースに、規則に合う熟語例と例外の熟語例を自分で集めたものです。
例外につては(3)を中心に集めてみましたが、それ以外の分類でも探せばもっと見つかるはずです。

なお、『日本語教育辞典」の記述は『国語学辞典』(国語学会編)を参考しているので、興味がある方はそちらをご参照ください。

注)読み方は『大辞林』によりました。
*印の熟語は<連濁する>例です



(1)熟合度から、一般に慣用されていない語は連濁しない

   航する *講ズル

(2)用言と用言のときは連濁がおこらない

   分かち書く 
 
   <名詞化されると連濁することがある>
    *分かち書き(ガキ)
    *行きかける→行きがけ

   注)複合名詞になったからといって連濁するわけではないか?
     『〜切り』の複合名詞は連濁しない
          読み切る→読み切り
          踏み切る→踏み切り
          打ち切る→打ち切り
          ※「踏ん切り」は撥音が入って連濁した例か?

(3)語構成の点から
   1)前部が後部の目的格のときは、副詞修飾のときより連濁しがたい

    <「炊く」の熟語例>
     風呂ヲ炊く→風呂炊き      *水で炊く→水炊き(ダキ)

    <「刈る」の熟語例>
     草ヲ刈る →草刈り       *青刈り、五分刈り、丸刈り(ガリ)

     ※例外
      「〜ヲ狩る」であるが、「狩り」が連濁する
       *人狩り、虎狩り、紅葉狩り

    <「切る」の熟語例>
     パンヲ切る→パン切り      *千本切り(ギリ)
     縁切り、指切り、首切り、爪切り *めった切り、輪切り、四つ切り
     足切り、皮切り、腹切り、缶切り *ぶつ切り、重ね切り、角切り

     ※例外
      「〜ヲ切る」であるが、「切り」が連濁する
       *値切り
       *裏切り、区切り 注)これも「〜を切る」からか???

    <「釣る」の熟語例>
     魚釣り、イカ釣り、タコ釣り   *海釣り、磯釣り、船釣り(ヅリ)

    <「つくり」の熟語例>
     花つくり、罪つくり、庭つくり  *生き造り、若作り(ヅクリ)

     ※例外
      「〜ヲつくる」であるが、「つくり」が連濁する
       *役づくり、荷造り

    <「書く」の熟語例>
     物書き、絵描き         *鉛筆書き、前書き、下書き(ガキ)
     手書き(かき):字が上手な人

     ※例外
      「〜ヲ書く」であるが、「かき」が連濁する
       *人相書き、効能書き、眉書き
      [コメント]
        「〜ヲ書く」であっても、『人』を表わす場合には連濁せず、
        『書くこと、書いたもの』の場合には連濁するのか?

    <「踏む」の熟語例>
     麦踏み、雪踏み         *足踏み(ブミ)←「足デ踏む」

     ※例外
      「〜ヲ踏む」であるが、「ふむ」が連濁する
       *絵踏み

    <「買う」の熟語例>
     人買い             *衝動買い、まとめ買い(ガイ)

     ※例外
      「〜ヲ買う」であるが、「かう」が連濁する
       *先物買い、青田買い
   

   2)前部と後部が対等の資格をもつときは連濁しない

     田畑:田と畑     *麦畑(バタケ:麦の畑)
     山川:山と川     *山川(ガワ :山にある川)

    <用言と用言の制限とも関連する熟語例>

     読み書き *走り書き(ガキ)
     飲み食い *大食い(グイ)

   3)擬音、擬態語連濁がおこらない
 

(4)音韻の点から
   1)前部の最後が鼻音のとき、最も連濁しやすく長音の場合はこれに次ぐ
     促音のときには連濁しない

   2)後部の第二音節にもとから濁音があるときは連濁しがたい
     風(かぜ)→◯大風(かぜ) *空(そら)→大空(ゾラ)
           ×大風(がぜ)



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