「朝」「昼」「晩」などの時を表す単語の意味をどのように説明するか。
特に「晩」と「夜」の区別をどのように指導するのがいいか考えてみました。
<時間の区分と単語の関係>
午前 午後
A: |=======|=======| (2分法)
0
12
24
夜 昼 夜
B: ===|========|=== (2分法)
↑ ↑
日の出 日の入
↓ ↓
C: ===|==|==|==|=== (3分法)
☆ 朝 昼 晩 ★
夕
注:この区分は『基礎日本語辞典』(角川書店)の記述をもとに作成したものです。
<指導方法>(案)
(1)区分で注意する点
ア)「昼」にはBのように『夜』に対する『昼』の意味と
Cのように『朝/昼/晩』の中での『昼』の2つがあり、
さらに「お昼に」のように『正午』に近い意味で使われる場合がある。
イ)BとCにおける時間の区切りは明確にあるわけではない。
ウ)☆と★印の部分がいわゆるグレーゾーンになっているところ
・本来「晩」は「夕(方)」にほぼ対応する区分だったが、
その範囲が広がり、「夜」の意味でも使われるようになったため、
「夜」と「晩」の区別が曖昧になった。
・「朝」も☆の部分に進出している。日の出前でも文脈によっては「朝」も使われる。
例)「朝3時に起きて、新聞配達をする」
エ)「晩」と「夕」も完全に一致しているわけではない。
「夕方4時ごろ」は自然だが、「(今)晩の4時ごろ」はやや不自然なので、
「晩」は「夕」より「夜」に近いと言えるかもしれない。
(2)実際の使用例での指導
ア)<食事>の単語
これらはCの区分に対応しているので問題はない。
「晩ご飯=夕ご飯=夕食」と「夜食」では意味が違うことを説明する。
朝ご飯==昼ご飯==晩ご飯
(夕ご飯)
朝食 ==昼食 ==夕食 ==夜食
イ)<毎/今/昨〜>の単語
「晩」が「夜」の範囲にかなり進出しているが、『◯夜』はかなり遅い時間にも自然に使えるが、
『◯晩』はやはり「夕」から始まり、「夜」のある程度の時間までという意識があると思われるので
「◯晩」はより早い時間帯に、「◯夜」はより遅い時間帯に使うと説明する。
夜 昼 夜
B: ===|========|===
↑ ↑
日の出 日の入
↓ ↓
C: ===|==|==|==|===
☆ 朝 昼 晩 ★
夕
毎朝 →毎晩→?
(毎夜)
今朝 →今晩→?
(今夜)
→昨晩→?
(昨夜)
注:「毎夜」はそれほど会話で一般的ではないので、
「毎〜」の場合には「毎晩」が「夜」のかなりの部分をカバーしているのかもしれない。
ウ)単独で使う場合
「晩」は単独では使いにくいので、その代わりに「夕(方)」と「夜」を使うと説明する。
1)◯朝(の)6時に家を出る。
2)◯昼(の)2時に家を出る。
3)?晩(の)5時に家に帰る。
4)◯夕方(の)5時に家に帰る。
5)◯夜(の)8時に家に帰る。
以上、単語の意味概念だけでは実際に使う上で支障があると思われるので、
ア〜ウ)のように初級で学習する単語で指導するという方法を考えてみました。
この<指導方法>(案)はかなり私個人の語感に頼っているので、人によっては扱いが変わるかもしれません。そのへんのところをご指摘いただけると有難いです。