#13 「人」の読み方 <ニン>か<ジン>か?

#5で「者」の読み方について整理しましたが、今回「人」の読み方を整理してみました。
読み方の違いはその単語の意味によることは判明していますが、その例外となるものについて、
『月刊日本語』(アルク)に記事があったので、それとあわせて整理してみました。



<考察1>意味による分類と例外

*「じん」その人の属性を示す

1 形容詞から:偉人、奇人、巨人、狂人、新人、聖人、閑人、野蛮人、

        <例外>悪人善人 →<考察2(2)> 
             貧乏人 →?
2 名詞から :

  (1)所属を示す

     (あ)国籍/所属場所:(国名)人、外国人、邦人、異邦人、西洋人、東洋人、県人、

                <例外>町人 →<考察2(2)>

     (い)職業     :歌人、詩人、軍人、

                <例外>役人職人 →<考察2(2)>

     (う)人種     :黒人、白人

  (2)その他:友人、隣人、婦人、個人、私人、一般人、恩人、客人、原始人、国際人、知識人、
         鉄人、文化人、民間人、法人、

         <例外>病人 →<考察2(1)>一時的な意味が優先されるのか?

3 動詞から :成人、知人、超人、未亡人、
 

*「にん」それをする人を示す

1 動詞から:遊び人、請負人、受取人、立会人、勤め人、

2 スル動詞から:案内人、看護人、管理人、苦労人、同居人、番人、選挙人、奉公人、保証人、
         発起人、料理人、
        
3 動詞の意味を含む単語から:管財人、被告人、代理人、賃貸人、犯人、

<例外> 万人 注:(ばんにん/ばんじん)の二つある
      本人 →<考察2(2)>



<考察2>(『月刊日本語91年4月号』日本語何でも相談より)

(1)一時的か本質的かという視点

   *動詞は一時的な意味になる ・・・「ニン」
   *名詞は本質的な意味になる ・・・「ジン」

(2)日常語と非日常語

   *二字熟語の場合には「呉音」か「唐音」かの視点が有効である

   *「呉音」は仏教語として多く輸入された後日常生活で広く用いられるようになった。

     善人、悪人、罪人 / 役人、職人 / 町人 / 本人、当人 /両人、他人 /住人

   *「漢音」は漢学とともに輸入されたため物事を考える場合の言葉として非日常語になった。

     哲人、成人、故人、個人、私人、法人、要人、超人

<考察1>で例外として挙げられたものの多くはこの(2)の歴史的経緯により「ニン」「ジン」の読み方になっていると考えられる。



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