「動詞ナイです」という形 [コメントする]

「動詞ナイです」という形


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 02:30:44)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

No.704
投稿時間:03/04/27(Sun) 09:43
投稿者名:岡本隆博
Eメール:
URL :
タイトル:マセンのかわりにナイデス

「できません」「できませんでした」と言うべきところを
「できないです」「できなかったです」と言う人が
普通の日本人で増えています。
この言い方を日本語学習者に勧奨することはないと思いますが、
指導の場においては、みなさんはどうされますか。
1.それについては特に何も言わない。
2.好ましい表現ではないことを言う。
3.この言い方でも特に問題はないと言う。

No.705
投稿時間:03/04/27(Sun) 19:57
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:現場での指導について(一つの考え方)

岡本さん、こんにちは。Oyanagiです。

> 「できません」「できませんでした」と言うべきところを
> 「できないです」「できなかったです」と言う人が
> 普通の日本人で増えています。
> この言い方を日本語学習者に勧奨することはないと思いますが、
> 指導の場においては、みなさんはどうされますか。
> 1.それについては特に何も言わない。
> 2.好ましい表現ではないことを言う。
> 3.この言い方でも特に問題はないと言う。

上の選択肢について私の考えを書いておきます。
文面から察すると、岡本さんは日本語教師ではないようですので、実際の現場では、上のように単純に三択を選ぶというわけではない、ということについて少し書いておきます。岡本さんの求めていることからは、はずれるかもしれませんが、ご容赦願います。

まず、選択肢の1ですが、この文章の意味するところは、「無視する」ということでしょうか。現場で学生の質問に対して、「何も言わない」ということはないと思います。それが、間違いであれば、「間違いです」と言うでしょうし、使われているけれども、あまりいい日本語でなければ、そのように言うでしょうし、どちらを使ってもよければ、そう言うでしょう。
ただ、そう言うことと、「それを教える」ことは別問題です。

次に選択肢の2と3についてですが、
日本語教育の現場では、初級レベルでの指導と中級以上レベルでの指導は分けて考えるのが普通です。ですから、いっしょにしてどう指導すべきかと考えて答えを出すことはありません。

■初級での指導について

「できないです」に限らず、学校で日本語を教える場合は「教科書」を使うことが普通ですから、「教科書」に従って教えることになります。
(つまり、プライベートレッスンのような個人個人のニーズにあわせて教師が教えるのではない場合です)

「教科書」はある意味で保守的です。伝統的に広く一般的に認められている用法、文法を教えることになります。特に初級の授業では、現実の使用例にあわせて、「これもいいです」「それもいいです」のように教えるとかえって定着が悪いこともあり、伝統的に広く認められている用法、文法を教えます。

従って、1〜3の選択肢は次のように書き換えるのが適当だと考えます。
(1)それは間違いです。いい/正しい日本語を勉強しましょうと言う。

(2)実際に使っている人もいますが、それはあまりいい日本語ではないので、いい日本語を勉強しましょうと言う。

★→この場合には、その表現を積極的に教えることも練習することもしないがが、そのような表現があることは認める。
そして、会話練習では、厳しく注意することはないが、書く練習では、直すようにする。

(3)実際に使いますが、このクラスでは、こちらの形で勉強しましょうと言う。

★→この場合には、その表現を積極的に教えることや練習することはしないが、そのような表現を使っても間違いではないので、直したりすることはない。また、場合によっては少し練習することもある。

以上の基準に照らし合わせてみると、「できないです」という用法は、私なら2のように処理すると思います。その点では、「ら抜き言葉」といっしょですね。

ちなみに、(3)の例としては、「形容詞くないです」と「形容詞くありません」のどちらを第一の形としてクラスで指導するかという場合ですね。

■中級レベル以上での指導

中級以上の学習者に対しては、生教材などの使用に際して、当然「現実に使われているもの」が登場する場合があるので、ある程度指導が必要になる。それは、「理解表現」としてある程度学習させる必要があるということです。
※ただし、中級の最初のころは、ある程度教材をコントロールして、これまで学習した表現、文法から逸脱したものがないようようにするのが普通です。

「できないです」や「ラ抜き言葉」などのような表現は、聞いたり、読んだりしたときに理解できるように指導することは、日本語教師として必要なことだと思いますが、それを自分で使うかどうかは本人次第だと思います。つまり、教師がそれを積極的に勧めたり、使えるように練習することはない、というのが私の考えです。

以上、岡本さんの投稿の趣旨とははずれたかもしれませんが、単純に三択のどれかを選ぶという問題ではないことを伝えたかったことをご理解ください。

余計なお世話かもしれませんが、岡本さんが、現場の教師がどれを選択するのかを知りたいということであれば、この掲示板ではなく、日本語オンラインやアルクのにほんご喫茶室のようなもっと多くの人が見ている掲示板に投稿されるのがいいと思います。
過去ログを御覧になってわかると思いますが、ここはそのような趣旨の投稿に多くのレスがつくことはありません。(たぶん)
☆日本語オンライン→http://nihongo-online.jp/
☆アルクのにほんご喫茶室→http://home.alc.co.jp/db/owa/str_jpn_tree

No.708
投稿時間:03/04/28(Mon) 09:32
投稿者名:岡本隆博
Eメール:
URL :
タイトル:Re: 現場での指導について(一つの考え方)

Oyanagiさんに
たいへん丁寧なご回答をありがとうございました。
私の求めていたことをお聞かせいただきました。
今後ともよろしくお願いします。


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