「負わされた」という形 [コメントする]

「負わされた」という形


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 02:24:45)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

No.670
投稿時間:03/03/25(Tue) 23:03
投稿者名:たむたむ
Eメール:
URL :
タイトル:『負わされた』

初めまして。
仕事で気になる一文があったので、文法的に正しいのかどうか頭がねじれるほど考えてみましたが分かりませんでした。

それは
「罪を負わされた」
という一文なのですが、
これは「○○された〜」という言い方をしてもよい言葉なのでしょうか?
私個人の印象なのですが、「罪を負った」もしくは「罪を負われた」という
言い方をするんじゃないだろうかと日々疑問に思っています。

ご存知の方、どうか教えていただけるとありがたいです。

No.674
投稿時間:03/03/26(Wed) 00:57
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:使役形と使役受身形

こんにちは。管理人のOyanagiです。

> 「罪を負わされた」
> という一文なのですが、
> これは「○○された〜」という言い方をしてもよい言葉なのでしょうか?
> 私個人の印象なのですが、「罪を負った」もしくは「罪を負われた」という
> 言い方をするんじゃないだろうかと日々疑問に思っています。

「罪を負った」という表現はありますが、「罪を負われた」はどのように使うのでしょうか。


「負わされる」がどのような形で、どのような意味なのかを考えてみます。

「負う」には「背中や肩にのせる」の意味がありますが、まず似ている動詞の「担ぐ」で次のような文型のつながりを考えてみます。
(1)弟さんは   重い荷物を担ぐ
(2)山田さんは弟に重い荷物を担がせる

「担ぐ」と「担がせる」が対応していますね。
文法では「担がせる」は「担ぐ」という他動詞の使役形と言います。

そこで、今度は(2)の文を受身の文型に変えてみます。
(3)弟は山田さんに重い荷物を担がせられる

さて、この「担がせられる」は文法では使役受身形と言いますが、同じ意味で“短い形”があります。
(ア)長い形(元の形)=「(担が)せられる」
(イ)短い形     =「(担が)される」
そして、話し言葉などでは、この短い形のほうが好んで使われます。
(※この短い形は文法で五段活用をする動詞の場合です)
ほかにも、「歌う」→「歌わせられる/歌わされる」などたくさんあります。

ここまで、考えてみて、元の「負う」を考えると、
(ア)負う→「負わせられる」
(イ)負う→「負わされる」
のように二つの形があることになります。ただ、長い形は使いにくいようで、短い形のほうが優勢なのではないでしょうか。

ということで、疑問に思われた、「罪を負わされる」は『(無実の)罪を負わされる』のように、使役受身(=罪を負わせられる)で使う場合には正しい使い方だと考えていいのではないでしょうか。

なぜ「負われる」(文法では「受身形」)が変なのかは、また別の文法と関係してくるので、ここでは触れませんが、少なくとも、使役受身の意味で使われる「負わされる(負わせられる)」とは別ものだから、使い方も違うことになります。
※上に挙げた例文でも「荷物を担がれる」という受身文は普通の状況では使われないものだと思います。同様に「罪を負われる」も普通の状況では使われないものだと思います。

No.676
投稿時間:03/03/28(Fri) 01:19
投稿者名:たむたむ
Eメール:
URL :
タイトル:Re: 使役形と使役受身形

Oyanagi様、分かりやすいご回答ありがとうございます。

> さて、この「担がせられる」は文法では使役受身形と言いますが、同じ意味で“短い形”があります。

なるほど、よく分かりました。使役受身形なんて、恥ずかしながら初めて知りました。
詳しい解説をして下さり、私も勉強になりました。
ここ数日のモヤモヤも解決し、スッキリした思いです(笑)。
本当にありがとうございました!!


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