「〜なんか」と「〜なんて」 [コメントする]

「〜なんか」と「〜なんて」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 02:13:45)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

No.614
投稿時間:03/02/13(Thu) 13:42
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:教えてください

oyanagi先生 こんにちは!
いつもoyanagi先生の掲示板を利用させていただき、大変いい勉強になります。今日は私からも質問がありますので、教えていただけないでしょうか。
「なんか」と「なんて」ですが、両者とも格助詞「が/を/に/と/へ」の後に付くことができるようですが、その前に「なんか」が付くが、「なんて」は付かないようです。それはなぜでしょうか。


1、あなたに(なんか/なんて)会いたくない。
2、東京へ(なんか/なんて)、行ってないよ、おれ。
3、あんな男と(なんか/なんて)口もききたくない。
4、推理小説(なんか/×なんて)が好きです。
5、お歳暮には、例えばビール券(なんか/×なんて)を送ると喜   ばれますよ。
6、あなた(なんか/×なんて)に私の気持ちが分かるものです  
  か。

No.616
投稿時間:03/02/14(Fri) 06:45
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:用法を整理すれば光が見えるかも

huagonさん、こんにちは。勉強部屋へようこそ。管理人のOyanagiです。

今回もいろいろ勉強させてもらいました。教室で教えるにあたっては、とりあえず、助詞はこの順番で、と教えればすみますが、改めてなぜそうなのかと考えると、「う〜ん」と考えてしまうことがあります。以下の考えは(いつもいつも言うことですが)一つの考え方です。特に前置きにもあるように、もっと包括的に捉えられるように勉強しなければと思っています。でも、考えるヒントにはなると思いますので、長いですけど、最後までおつきあいください。

■前置き
いわゆる<取り立ての助詞>と呼ばれるものと、格助詞とのつながり方の違いについては、初級だと、まず「も」で考えることになりますね。
「これが」→「これも」
「これを」→「これも」
「これに」→「これにも」 ×「これもに」
「これと」→「これとも」 ×「これもと」
「これで」→「これでも」 ×「これもで」

「が」「を」は明示されなくても述部との各関係が理解されやすいですから、入れ代わりますが、それ以外の格助詞は残りますね。
この「も」と格助詞のつながり方は「なんて」と似ていますね。(※このことは後でちょっと触れます)
「これが」→「これなんて」
「これを」→「これなんて」
「これに」→「これになんて」 ×「これなんてに」
「これと」→「これとなんて」 ×「これなんてと」
「これで」→「これでなんて」 ×「これなんてで」

意味が似ている助詞との比較となると、初級では、「だけ」と「しか」でそれを考えるこになるはずですね。
「太郎とだけ遊ぶ」
「太郎だけと遊ぶ」
のように「だけ」は前後どちらもOKですが、
「太郎としか遊ばない」
×「太郎しかと遊ばない」
のように「しか」は格助詞の後ろしかつきません。

以上のことが「なんか」と「なんて」の区別と関係しているかはわかりませんが、考え方のとっかかりにはなるかなと。
例えば、「だけ」と「しか」は意味は似ているようだけど、違いがありますよね。文型としては、「しか」は「〜ない」(否定)と一緒に使われるし、「しか」は話者の<低い/少ない見積もり>という態度が入ります。

ちょっと前置きが長くなりましたが、「なんか」と「なんて」も用法を区別すれば、格助詞との続き方の違いも見えてくると思います。

■考え方(1)

「なんて」の語源から、そもそも「なんて+格助詞」にならないと言うことができるかもしれません。
「なんて」は「などとて」が語源とされています。「〜とて」で終わるのだから、その後にさらに格助詞が来るのはおかしい、と言えるでしょうか。(なぜ?と言われると困りますが(^^; )

そして、「なんか」は二つの用法があって、そのために助詞が前後どちらにもつくことができると言えるかもしれません。
(※この二つの用法については用法の整理の項で)

■考え方(2)

語源を持ち出すのは、ちょっと、ということであれば、「なんか」には二つの用法があって、格助詞がその用法にあわせて、前後どちらにもつくけれど、「なんて」は“そのうちの一つの用法”だけだから、格助詞は一方にしかつかない、と考えるのがいいかもしれません。

どちらの考え方にしても用法を整理して、その二つの用法を考えてみましょう。

■用法の整理
「なんか」は「など」の口語的な表現とされていますから、「など」について例文をつけて用法を整理します。

(1)肯定的/中立的に取り立てる
   <特定のものを取り立てて示す><例示する>
    ※この二つは「同類のものの中から何かを取りあげる」という意味では共通していて、
     区別する必要がないかもしれませんが、取り上げかたが多少異なるので、分けておきます。
    ・「だれがいいだろうか」「彼などが適任かと思いますが」
    ・「冷たい飲み物などいかがですか」
    ・「さしみやてんぷらなど、いろいろな日本料理が出た」

(2)否定的に取り立てる
   <それを軽んじる、軽視する>※自分自身についての場合は謙遜する
    ・「彼など信用できない」
    ・「私などとてもそんな仕事はできません」※

(1)の用法から、取り立てられたものが特別の意味を持ち、それが否定文で否定的に捉えられると(2)の用法に発展します。

これにしたがって、huagonさん書かれた例文を整理すると、
> 例
> 1、あなたに(なんか/なんて)会いたくない。
> 2、東京へ(なんか/なんて)、行ってないよ、おれ。
> 3、あんな男と(なんか/なんて)口もききたくない。
> 4、推理小説(なんか/×なんて)が好きです。
> 5、お歳暮には、例えばビール券(なんか/×なんて)を送ると喜ばれますよ。
> 6、あなた(なんか/×なんて)に私の気持ちが分かるものですか。

(1)→4、5
(2)→1、2、3、6
ですね。

■「なんか」と格助詞の続き方を考える

その前に、huagonさんは、格助詞をすべてひっくるめて考えていますが、ちょっと注意が必要です。

「が」「を」は(1)にしても(2)にしても「なんか」の前に来ることはありませんね。
※正確に言えば、(1)の用法では省略できるけど、述部の動詞との関係を明示したいときは残すということですね。
×「これが  なんか   いいですよ」
○「これ   なんか(が)いいですよ」
×「ケーキを なんか   作ってみたい」
○「ケーキ  なんか(を)作ってみたい」

「が」「を」以外の格助詞、「に」「で」「と」「へ」は前後どちらにもきますね。

さて、本題ですが、用法によって何か違いがないか考えてみましょう。
(1)と(2)の用法です。
huagonさんが書いた例文では、(2)の用法である1、2、3は「格助詞+なんか」ですね。6は「なんか+格助詞」ですね。
それでは、次のような出だしの文のあとを想像してみてください。

・「休みの日は、公園なんかで・・・・」
・「休みの日は、公園でなんか・・・・」

どんな文を想像しましたか?
次のような文を考えてみましょう。
(あ)公園でなんか遊ぶ    用法(1)×
(い)公園でなんか遊ばないよ 用法(2)○
(う)公園なんかで遊ぶ    用法(1)○
(え)公園なんかで遊ばないよ 用法(2)○

いかがですか。用法(1)の場合は、「名詞なんか+格助詞」は自然ですが、その反対は不自然ですね。
そして、用法(2)の場合は、どちらも適格ですが、(え)よりも(あ)のほうが、軽んじる気持ちが強く表れると思いませんか。
このことから、
★肯定的/中立的に取り上げる用法の場合は「なんか+格助詞」が基本
★否定的に取り上げる(軽んじるという話者の態度が入る)用法の場合は「格助詞+なんか」が基本
と言えます。

その理由を考えると、
★<肯定的/中立的に取り上げる>というのは、例示を考えればわかるように、取り上げたいのは『名詞』それ自体なんですね。その名詞と述部の動詞との関係(=格関係)までひっくるめるという意識はないので、直接名詞にくっつのが自然なのでしょう。
それに対して、
★<否定的に取り上げる>というのは、単語自体ではなく、その単語と述部の動詞との関係(=格関係)を否定することが重要だと意識されるので、「格助詞+なんか」となるのではないでしょうか。

注)この理由については、もっともらしく書いてますが、鵜呑みにはしないでください。もっと考える必要があります。

この理由が正しいとすると、
★「なんか」は(1)の用法で使われる場合と(2)の用法で使われる場合の二つの用法がちゃんとがあるので、格助詞が前後どちらにも来る
と言えそうです。

■「なんて」について考える

次に上にあげた(1)と(2)の用法が、「〜なんて」にもあるかどうか考えてみます。
人によっては、両方あると考える人もいるかもしれませんが、(2)の用法が基本だと考えます。

実際(1)の用法で使っていることも少なくないとは思いますが、(1)の用法だとされるものは、実は(2)※謙遜の意味の拡張ではないかと思います。
注)ここでいう「拡張」というのは、あくまでも(2)の特徴をもっているということです。ちゃんと二つの用法を持っている「なんか」とは違うということですね。

まず(1)の用法のうち、中立的に<例示する>用法として使うと不適格になります。
×「さしみやてんぷらなんて食べた」

そして(1)の用法のうち、肯定的に<特定のものを取り立てて示す>というものが実際に使われている用法ですが、これは「提案」「勧め」の機能になっている場合に限られるようです。
○「新婚旅行は、ハワイなんてどうなか」
○「このネクタイなんていかがでしょうか」
?「だれがいいだろうか」「彼なんて適任だと思いますが」
注)もし最後の文も○だと感じる人がいたら、それはやはり上の文が○だと感じるのと同じ理由からだと思います。

しかし、この「提案」「勧め」は、考え方を変えれば、(2)の「自分についての場合」に謙遜の意味になるのと共通したものがあるのではないでしょうか。つまり、自分の提案、自分の勧めることについて謙遜するということです。
ですから、上の文は基本的に
→「新婚旅行は、ハワイなんて(あんまり良くないとは思うけど)どうかな」
→「このネクタイなんて(ちょっと合わないかもしれないけど)どうでしょうか」
のような(「〜なんか」と比べれば)控えめな態度を表しているように思います。

まあ、この考え方が間違っているとしても、「なんて」は(1)ではなく(2)の用法が基本だということは確かです。
そうすると、
★「なんて」は「格助詞+なんて」の語順が基本ということになります。

■格助詞の続き方の整理

★「なんか」について

・「なんか」は(1)の用法があるので、「○○+格助詞」という続き方がある。
 注)(1)の用法では「格助詞+○○」はできない。
 注)(1)の用法では格助詞「が」「を」は省略できる
・そして、(1)の用法から発展した(2)の用法に使うこともできる。
・その時、「○○+格助詞」の語順のまま否定文で使われることもあるし、
・(2)の用法をはっきり示すために「格助詞+○○」という語順にすることもできる。

★「なんて」について
・「なんて」は(2)の用法が基本なので、「格助詞+○○」という語順で使われる。
・『提案・勧め』の文型に限って(1)の用法で使われる場合があるが、
 もととも(1)のような用法がないので、「○○+格助詞」になることはない。

 注)「なんか」も「なんて」も(2)の用法では、格助詞「が」「を」は文に表れない。

ということで、冒頭の「考え方(2)」にしたがって、まとめてみるとこのようになります。
最後にそれを確認するために、huagonさんの例文を見直してみましょう。

■huagonさんのあげた例文の整理

これまでの考察に基づいて整理しておきます。

> 例
> 1、あなたに(なんか/なんて)会いたくない。
> 2、東京へ(なんか/なんて)、行ってないよ、おれ。
> 3、あんな男と(なんか/なんて)口もききたくない。
> 4、推理小説(なんか/×なんて)が好きです。
> 5、お歳暮には、例えばビール券(なんか/×なんて)を送ると喜ばれますよ。
> 6、あなた(なんか/×なんて)に私の気持ちが分かるものですか。

1、2、3→(2)の用法:「なんか」も「なんて」も「格助詞+○○」ができる。
6    →(2)の用法:「なんか」は「○○+格助詞」はできるが、「なんて」はできないから×になる。
4、5  →(1)の用法:「なんか」にはこの用法があるが、「なんて」にはこの用法はないから×になる。

注)考察でも触れたように、「なんて」は(2)が基本で、その拡張として(1)の用法で使われることがあります。
その場合は、格助詞が「が」「を」なら、(2)の基本どおり、文に表れないはずです。
ですから、5の文は、『提案、勧め』の文型ではありませんが、そのような含意があると考えれば、次のように「を」を表さずに文を作ることで、少しは自然になるかもしれません。
5’→△「お歳暮には、例えばビール券なんて贈ると喜ばれますよ」(=贈ったらどうですか)

No.618
投稿時間:03/02/14(Fri) 07:40
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:さっそく自己レス(反省)

投稿してから、気がついたんですが、
用法と格助詞の続き方を結び付けた「理由」が、どうもこじつけっぽいですよね。

同じ「例示」の意味をもつ「〜でも」の場合は
「図書館にでも行って、本を探してみよう」
のように、「名詞+格助詞+でも」の順番でしょう。
「図書館でもに〜」とはなりませんよね。

「例示」のような用法だからといって、「○○+格助詞」となるというような理由づけは無理があるかもしれませんね。
それともこれはこれで別な理由があってのことなのでしょうかね。

やっぱり、もう少し全体を観察しないとだめですね。
週末にもう一度考えてみます。
何かご意見をいただければ助かります。

No.619
投稿時間:03/02/14(Fri) 08:00
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:自己レス2

> 「例示」のような用法だからといって、「○○+格助詞」となるというような理由づけは無理があるかもしれませんね。
> それともこれはこれで別な理由があってのことなのでしょうかね。

ふと思ったのですが、「でも」が「例示」として使われるのは一語として認識される場合ですが、これももともとは「で+も」ですよね。やっぱり「も」の後にさらに格助詞が続くということができないから、「格助詞+でも」の順番になるのでしょうか。

そうすると、「なんか」「なんて」の考察も、「考え方1」の「なんて」の「て」の後には格助詞がそもそも続かないと考えるのが、一番わかりやすいかなと思いました。

まあ「なんか」がどちらにも続くのはなぜかってことになると、やっぱり用法と関係はしてくると思いますが。

No.620
投稿時間:03/02/15(Sat) 07:09
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:Re: ご回答ありがとう

oyanagi先生 
ご丁寧なコメントを拝読して、大いに啓発され本当に有難うございました。まだ分からないところがありますので、教えていただきたいと思います。

> そして(1)の用法のうち、肯定的に<特定のものを取り立てて示す>というものが実際に使われている用法ですが、これは「提案」「勧め」の機能になっている場合に限られるようです。

次の文例は形の上では否定形をとっていないし、「提案」「勧め」でもないようですが、その用法は(1)でしょうか、それども(2)でしょうか。

・パチンコなんて金をドブに捨てるようなものだ。

No.622
投稿時間:03/02/15(Sat) 18:37
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:「否定的」の意味

huadongさん、レスありがとうございます。

引用(oyanagi)******
> > そして(1)の用法のうち、肯定的に<特定のものを取り立てて示す>というものが実際に使われている用法ですが、これは「提案」「勧め」の機能になっている場合に限られるようです。
**************

引用(huadongさん)****
> 次の文例は形の上では否定形をとっていないし、「提案」「勧め」でもないようですが、その用法は(1)でしょうか、それども(2)でしょうか。
>
> ・パチンコなんて金をドブに捨てるようなものだ。
**************
あの考察で「否定的」な取り立て方としたのは、必ずしも述部が「否定形」であることを意味していません。

もちろん、典型的には「否定“形”」で「否定的」な意味を表すわけですが、“形”が否定になっていなくても、伝えるべき内容が「否定的」な“意味”になっているということですね。

ご指摘の「○○なんて、・・・ようなものだ」という文型は、否定形にはなっていませんが、○○について、「否定的」な見方を表していますね。ですから、同じ文型で次のような「プラスの評価」を表すことはできません。

×「パチンコなんて、経験と知識が要求される知的遊戯のようなものだ」

もし、これが成立するとしたら「皮肉」のような意味が込められているでしょう。

ということで、ご指摘の文は用法の(2)ということでいいと思います。
追加例

「学歴なんて、仕事には必要ない」(否定形)
「学歴なんて、無意味だ」    (否定の接辞をもつ単語)
「学歴なんて、社会悪だ」    (否定的な評価の単語)


なお、蛇足ですが、「なんて」は「なんか」と違って<文>を取り立てる(まるで終助詞のような)用法があります。
「あの人が人の物を盗むなんて(信じられない)」

この場合も話者の出来事に対する心的態度(:驚きなど)が表れていますね。

No.624
投稿時間:03/02/16(Sun) 09:51
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:Re: 「否定的」の意味

oyanagi先生、コメントありがとうございます。
 
「否定的」というのは、形の上で否定でなくても、意味的に否定であればいいということですね。


> ご指摘の「○○なんて、・・・ようなものだ」という文型は、否定形にはなっていませんが、○○について、「否定的」な見方を表していますね。ですから、同じ文型で次のような「プラスの評価」を表すことはできません。
>
> ×「パチンコなんて、経験と知識が要求される知的遊戯のようなものだ」
>
> もし、これが成立するとしたら「皮肉」のような意味が込められているでしょう。
>
> ということで、ご指摘の文は用法の(2)ということでいいと思います。

次の文のように、「なんて」はプラス評価の場合にも使われ、「皮肉」のような意味がこめられていないようで、ただある心的態度を(以外・驚き)を強調していると見ていいでしょうか。

・最高点で合格したなんて、すばらしいですね。
・1カ月も休めるなんて、夢みたい。  

No.625
投稿時間:03/02/16(Sun) 12:00
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:Re: 用法を整理すれば光が見えるかも

oyanagi先生、また質問があって、教えていただきたいと思います。

>「なんて」は(2)の用法が基本なので、「格助詞+○○」という語順で使われる。

そうしますと、「公園でなんか遊ばないよ」という文も(2)の用法ですから、「なんて」を使ってもよろしいでしょうね。

「公園でなんて遊ばないよ」

また、次の「否定的」意味の文では、「○○+格助詞」または「格助詞+○○」のどちらでもいいですね。

1、愛なんかで 人は 救えないよ!
2、愛でなんか 人は救えないよ!

3、お酒なんかで ごまかさないで
4、お酒でなんか ごまかさないで

 そして上記の文はいずれも(2)の用法ですから、「なんて」と置き換えられるでしょう。


> (あ)公園でなんか遊ぶ    用法(1)×
> (い)公園でなんか遊ばないよ 用法(2)○
> (う)公園なんかで遊ぶ    用法(1)○
> (え)公園なんかで遊ばないよ 用法(2)○
>
> いかがですか。用法(1)の場合は、「名詞なんか+格助詞」は自然ですが、その反対は不自然ですね。
> そして、用法(2)の場合は、どちらも適格ですが、(え)よりも(あ)のほうが、思いませんか。

軽んじる気持ちが強く表れているのは「(え)より(あ)のほう」ではなく、「(え)より(い)のほう」ではないでしょうか。

No.626
投稿時間:03/02/16(Sun) 16:53
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:「なんて」の受け方の広さ

引用(oyanagi)****************
> >「なんて」は(2)の用法が基本なので、「格助詞+○○」という語順で使われる。
*******************************
> そうしますと、「公園でなんか遊ばないよ」という文も(2)の用法ですから、「なんて」を使ってもよろしいでしょうね。
>
> 「公園でなんて遊ばないよ」

ええ、そう考えられますね。

> また、次の「否定的」意味の文では、「○○+格助詞」または「格助詞+○○」のどちらでもいいですね。
>
> 1、愛なんかで 人は 救えないよ!
> 2、愛でなんか 人は救えないよ!
>
> 3、お酒なんかで ごまかさないで
> 4、お酒でなんか ごまかさないで

そうですね。それぞれのペアで1、3よりは2、4のほうが「否定的に取り立てる」態度が強く出ていると考えられますが、実際に話される場合は、語調も関係しますから、それほど違いが感じられないかもしれません。ただ、一つ言えることは、「〜でなんか」で始まれば「否定的に取り立てる」態度が話しはじめから感じられるということでしょう。

>  そして上記の文はいずれも(2)の用法ですから、「なんて」と置き換えられるでしょう。

ええ、そうですね。

■補足

前回の投稿で「なんて」は<文>も受けられると書きましたが、それ以外に「なんか」と違って、次のような受け方も可能です。このへんも単に「名詞」を“同類の中から一つ、二つ取り立てる”という「なんか」との違いが形式にも表れているように思われます。

・人のものを盗んでなんかいないよ
 比較)人のものなんか盗んでいないよ

・そんな場所に行こうなんて思わないな
 比較)そんな場所なんかに行こうとは思わないな

No.628
投稿時間:03/02/17(Mon) 19:36
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:否定的の意味(<文>なんて)

huadongさん、こんんちは。

> 次の文のように、「なんて」はプラス評価の場合にも使われ、「皮肉」のような意味がこめられていないようで、ただある心的態度を(以外・驚き)を強調していると見ていいでしょうか。
>
> ・最高点で合格したなんて、すばらしいですね。
> ・1カ月も休めるなんて、夢みたい。

私の#622の最後に書かれているのように、「なんて」は名詞または名詞+助詞、以外にも<文>を取り立てる用法があります。

(引用 oyanagi)************
>なお、蛇足ですが、「なんて」は「なんか」と違って<文>を取り立てる(まるで終助詞のような)用法があります。
>「あの人が人の物を盗むなんて(信じられない)」
*****************************
ご指摘の文はこの<文>を取り立てる用法になっていますね。
この場合も「なんて」が名詞に続く場合のように、「否定的に取り立てる」態度がありますが、そこから用法が拡張して、「信じられないこと、驚くべきことだ」という話者の心的態度を表す用法になります。

つまり、
★否定的な取り立て(典型:否定形)
 <名詞>なんて、〜ナイ
 ↓
★<文>なんて、信じられナイ
         ↓
       (=驚くべきことだ)
         ↓
       (夢みたいだ)
         ↓
       (すばらしい)

というふうに対応しているのでしょう。
このように、基本を「信じられナイ」と考えれば、それぞれの文脈に応じて「驚きだ」「夢みたいだ」「すばらしい」という述部になることも理解できると思います。

ただ、基本は「否定的」な取り上げなので、<文>は蔑むべき内容が来るのが本来の姿だと思います。しかし、「信じられない」という態度が拡張していき、<文>にプラス評価の内容が来るような使い方が今では普通になっているのではないかと考えます。

ちなみに、文末の「信じられない」「驚きだ」が省略されれば、「なんて」が終助詞のように働き、話者の「感嘆」を表すことになります。




 

No.629
投稿時間:03/02/17(Mon) 22:47
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:格助詞以外の続き方は

oyanagi 先生、コメント有難うございます。

「なんか」「なんて」が格助詞との続き方について、いろいろと教えていただいて、本当にいい勉強になりました。

 ところで、この両者は、その他の助詞、助動詞に付くとき、何か決まりがありますか。私の調べたところでは、次の例のように、接続助詞「て」、助動詞「たい」の「たく」形の場合は、両者ともその後に現れますが、その他の接続助詞、助動詞の場合はどうでしょうか。

 下記の例は(2)の用法ですが、(1)の用法の場合はどうでしょうか。いつもお邪魔して、申し訳ございません。

1、ゆっくりして(なんて/なんか)いられない
2、行きたく(なんて/なんか)ない

No.631
投稿時間:03/02/18(Tue) 22:47
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:Re: 格助詞以外の続き方は

#626の補足で、「なんて」が<文>以外に接続する例を書きましたが、これは少し修正しなければなりませんね。
今回のhuandongさんのご質問とも関係しているので、このことからまず書きますね。

「なんか」と「なんて」が名詞、格助詞以外に接続する場合については、
(1)文に続く場合には「なんか」は使えず、「なんて」だけが使えます。

(あ)「あの人が他人のものを盗む/盗んだなんて(信じられない)」(言い切りの形/肯定形)
                   ×なんか
(い)「あの山田さんが大好きなケーキを食べないなんて(おかしい)」(言い切り/否定形)
                    ×なんか
(う)「こんな日に出かけようなんてどうかしている」(助動詞「〜よう」意志形)
             ×なんか
(え)「5時までにこれを終わらせろなんてむちゃくちゃだ」(助動詞、命令形)
                ×なんか


注)後件が省略されていると考えられる場合には<文>に準じて「なんて」が使われるようです。
   「あの時もう少し頑張っていれば(よかった)なんて、いまごろ気が付いても遅いんだよ」
   「うっかりしていたから(失敗した)なんて、子供みたいなこと言うなよ」

(2)連用形とそれに続く形式(助動詞など)の間に入る場合には、「なんか」が主に使われ、「なんて」は使えないか使いにくい場合が多いです。
   ※この場合、「連用形」とは、「書き」だけでなく、「書いて」のようなテ形、「書いたり」のよなタリ形も含みます

(お)「あんなやつと遊びなんかしないよ」(連用形)
           ×なんて
(か)「わざわざ先生に聞いてなんかみなくても、辞書を見ればわかるよ(テ形「〜てみる」)
            ??なんて
(き)「テストがあるから、遊んでなんかいられないよ」(テ形「〜ている」)
               ?なんて
(く)「おまえの日記を読んだりなんかしてないよ」(タリ形「〜たりする」)
              ○なんて

注)このように二つの形式の間(切れ目)に入るのは、取り立ての助詞である「は」と同じですね。
  「遊びハしない」
  「聞いてはみるけど・・・」
  「遊んでハいられない」
  「聞いてハみる」
  「遊んでハいられない」
  「読んだりハしていない」

最後に、「なんか」と「なんて」は「など」も含めて、もう少し勉強してみたいと思います。意味・用法と統語的な特徴がどのように関連しているかですね。先の投稿では簡単に(1)と(2)の二つの用法でみましたが、もっと細かく分類して比べてみる必要がありそうです。

No.640
投稿時間:03/02/23(Sun) 18:28
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:有難うございました


oyanagi 先生、いろいろと親切に教えてくださって、ありがとうございました。これからも相談させてもらうこともあるかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。

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No.657
投稿時間:03/03/16(Sun) 20:22
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:格助詞の続き方について

oyanagi先生、こんにちは

「なんか」と「なんて」について、いろいろ教えていただいたhuadongというものです。「なんか」が格助詞との続き方について、ちょっと気になっているところがあって、書き込ませていただきました。

先生は、「なんか」の(2)の用法では、「○○+格助詞」という形ができるとおっしゃっていますが、しかし、インタネットで文例を調べたところ、格助詞「から」に付く場合は、「なんて」が圧倒的に多く、「なんて」に置き換えにくい文も多いようです。「格助詞」が「なんか」の前に来ることができるといっても、やはりそれぞれの格助詞の性格によって、現れにくいものもあるのではないでしょうか。

次の文例はインタネットで検索して得たものです。

1、たま〜に日本にも電話をかける私。しかし、私の電話には大体日本からなんてかかってこない。かかってくるとしても、親ぐらい。まぁ、日本からかけると通話料もバカにならない日本からなんて誰も来てくれないでしょ。

2、離婚をしても理想的な親子関係が保たれていた。 「これJunkoさんに、おかあさんから」 おいしそうなチョコレートケーキをいただく。 前の奥さんからなんて抵抗ありそうだが、そんなことはなく素直にうれしかった ...

例文2では「なんか」は使えますが、しかし、「なんとなく」の意味に変わってしまうようです。先生、いかがでしょうか。

No.665
投稿時間:03/03/21(Fri) 00:47
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
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タイトル:「なんて」の基本から考えれば

huadongさん、こんにちは。Oyanagiです。

> 先生は、「なんか」の(2)の用法では、「○○+格助詞」という形ができるとおっしゃっていますが、しかし、インタネットで文例を調べたところ、格助詞「から」に付く場合は、「なんて」が圧倒的に多く、「なんて」に置き換えにくい文も多いようです。「格助詞」が「なんか」の前に来ることができるといっても、やはりそれぞれの格助詞の性格によって、現れにくいものもあるのではないでしょうか。

上の文の
「なんて」に置き換えにくい

「なんか」に置き換えにくい
のミスタイプかと思いますが、確かに下に引用された文章は「〜なんか」には置き換えにくいですね。

これをどう考えるかですが、先の投稿の考え方に従えば、
(2)の用法(=否定的に取り立てる用法)が主である「〜なんて」のほうが好んで使われるということではないでしょうか。
つまり、「〜からは・・・」という文を否定的にとたえて強調する場合には「〜なんて」が好まれるということです。

「〜なんか」は基本として(1)があり、その上で、(2)がある。一方、「〜なんて」は基本として(2)の用法のみである、と考えれば、その許容度の差の違いに表れるのではないでしょうか。

現に次のような否定的な取り立てではない場合には、「〜からなんか」も不自然ではないと思いますが、いかがでしょうか。

部長「うちの会社からは何人来ているんだ」
部下「たった3人です」
部長「たった3人か。山本商事からなんか50人も来ているんだぞ」

これは私の作文ですが、似ている文章は実際に使われているような気がします。

> 次の文例はインタネットで検索して得たものです。
>
> 1、たま?に日本にも電話をかける私。しかし、私の電話には大体日本からなんてかかってこない。かかってくるとしても、親ぐらい。まぁ、日本からかけると通話料もバカにならない日本からなんて誰も来てくれないでしょ。
>
> 2、離婚をしても理想的な親子関係が保たれていた。 「これJunkoさんに、おかあさんから」 おいしそうなチョコレートケーキをいただく。 前の奥さんからなんて抵抗ありそうだが、そんなことはなく素直にうれしかった ...

助詞のよって「なんか」と「なんて」の使用に差があるかどうかは、もう少し観察してみないと結論は出せませんが、とりあえず基本の<用法>から考えてみると、上のようなことが言えるのではないかと思います。


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