「まんざら」 [コメントする]

「まんざら」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 02:12:00)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

No.627
投稿時間:03/02/17(Mon) 18:53
投稿者名:ゴン
Eメール:
URL :
タイトル:「まんざら」について

Oyanagiさん、こんにちは。本日「自然な日本語22課」からの質問があります。用例3の「まんざら」です。この用法を教える時、「まんざら〜ではない」「まんざらでもない」などにわけて私は教えようと思うのですが、果たしてそれでいいものか。Oyanagiさんに質問をしたいのですが、自分でもうまく整理できず困っております。今回、自分の考えなしにOyanagiさんに質問することになってしまいますが、「まんざら」の導入方法を教えていただけませんでしょうか。
 話は少し変わりますが、日本語教えていると、「これは正しい例文か、それとも違うか。」と分からなくなってしまうことがありますね。「まんざら」はまさに、その例です。年配の方はよく使うのかな?とも思うのですが、私はまだ若い?ので今まで生きてきて、一度も使ったことがありません。それに、めったに「まんざら」、この言葉を耳にしたり目にしたりしたことがありません。私はこのような自分がめったに使わない言葉を教える時、不安になるのです。辞書などで調べて意味がだいたい分かっても、それを分かりやすく教える例文を考えるとなると、これでいいのか!と思ってしまうのです。これからいろいろな本を読んだりして、自分自身、言葉を増やしていかなければなりませんね。がんばります。
 「まんざら」の導入方法ですが、ご指導いただけますでしょうか。どうぞよろしくお願いします。

No.632
投稿時間:03/02/19(Wed) 01:34
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:私の思い出と雑感

>  話は少し変わりますが、日本語教えていると、「これは正しい例文か、それとも違うか。」と分からなくなってしまうことがありますね。「まんざら」はまさに、その例です。年配の方はよく使うのかな?とも思うのですが、私はまだ若い?ので今まで生きてきて、一度も使ったことがありません。それに、めったに「まんざら」、この言葉を耳にしたり目にしたりしたことがありません。私はこのような自分がめったに使わない言葉を教える時、不安になるのです。辞書などで調べて意味がだいたい分かっても、それを分かりやすく教える例文を考えるとなると、これでいいのか!と思ってしまうのです。これからいろいろな本を読んだりして、自分自身、言葉を増やしていかなければなりませんね。

その気持ちはよくわかります。日本語教師に向いている向いていないというのは一般論としてはあるのでしょうが、その人の持っている語彙力とでもいう力はその人の生きて来た経歴そのものですからね。若いころ(何歳までかははっきりわかりませんが)にどのような言葉の世界に生きていたかが、その後の言語使用/言語理解に影響を与えるのでしょう。

自分の恥をさらすようで、気が引けるのですが、私は「日本語能力試験対策」のクラスで、過去問題を学生にやらせていて、わからない文法問題が二つありました。
(1)〜がてら
(2)〜こととて
他に人にしてみれば、「え! どうして知らないの?」と言われるのでしょうが、知らなかったのだからしょうがないですね(笑)
でも、その後気が付いたのですが、『自分では一度も使ったことがない』ということは正しくても、『一度も聞いたことがない』というのは間違いでした。本当は『聞いてはいたのだけど、気が付いていなかった』だけでした。そのとき思ったことは、『自分の語彙』として頭にないものは、けっこう聞き流してしまっているのでは、ということです。
「まんざら」というのは、確かに若い人の間ではあまり使わなくなった副詞だろうと思いますが、書き言葉ではないので、聞く機会はゴンさんが考えているほど少なくはないと思いますよ。
ただ、子供が「まんざらでもないな」などと言えば、なんか大人びたように聞こえますから、大人の使う表現なのでしょう。そしてゴンさんの考え方からすると、もう若者の間では「おじさん/おばさん言葉」になってしまったのかもしれませんね。

No.633
投稿時間:03/02/19(Wed) 01:43
投稿者名:oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:「まんざら難しくはない」って思えるかな・・・

ゴンさん、こんにちは。自然な日本語も22課まで来たんですね。

「まんざら」のような副詞はいわば会話のスパイスのようなものですから、なくても「おかず」は食べられますが、使うことで、「ぴりっと」旨味が出るところを、なんとか学習者に伝えてくださいね。

前回失敗したように、他の表現で言い換えて「これと同じです」だけでは、スパイスの良さは伝わりませんから、この副詞に込められた話者の態度と状況を十分把握して、授業にのぞんでください。

> 本日「自然な日本語22課」からの質問があります。用例3の「まんざら」です。この用法を教える時、「まんざら〜ではない」「まんざらでもない」などにわけて私は教えようと思うのですが、果たしてそれでいいものか。

この課では「まんざら」は用例のところに例文が出ているだけで、練習問題がついていませんね。そういう場合は、(このテキストの著者にしてみたら)練習するほどの言葉ではない、使い方が分かればいい、聞いて分かればいい(理解語彙)という考え方なのかもしれません。
まあ、そうであっても、学習者に十分理解させるために、例文を補充したり、使い方を理解している確認する練習は必要なわけですね。

これまでの「自然な日本語」についての投稿でも触れましたが、まずするべきことは「用例」をよく読んで、どんな『状況』で、どんな『文型』で教えるかを考えるということですね。
「まんざら」も陳述の副詞と呼ばれるものですから、話者のどのような心的態度が表れているの、そしてそれがどういう文型になって表れるのかを、教える側がしっかり把握しておく必要があります。

****例文の引用******
(0)まんざら、はずれとも言えないなあ。(会話文より)
(1)文明から離れた生活も、まんざら悪くはない。
(2)病気だというのは、まんざらうそではないらしい。
(3)世の中、まんざら捨てたものじゃない。
(4)いやだと言っているが、まんざらでもない様子だ。
********************
■この例文から読みとれることは、
用法A:自身の直接の経験からそれについて自分自身の判断を示す(0)(1)(3)
用法B:他者の言動を見聞きして、それに基づいて推量する   (2)(4)
このように二つの使い方があるようですね。

■話者の態度を考えてみると
「〜と思っていたけど、必ずしも・・・とは言えない」
「〜と思っていたけど、それほど・・・ない」
「まったく〜だ、とは決めつけられない」

 ★ポイント1「〜」の部分は否定的な思い込みが来る
  だから、「まんざら良くはない」という文はない
 ★ポイント2 話者の気持ち/態度の“変化”がある

■そして、文型としては
A→「〜も、まんざら・・・ない」
  「〜も、まんざら・・・とは言えない」
  (〜も、まんざらでもない)

B→1)「(〜を見ると/聞くと、)〜は、まんざら・・・ないらしい/ようだ」
  2)「〜が、まんざらでもない様子だ/顔つきだ/口ぶりだ」
    「〜が、まんざらでもなさそうだ」
このように、Aは自身の判断で、「〜ない」「〜とは言えない」となり、Bは推量で「らしい」「ようだ「そうだ」か、「様子」とそれに類似する言葉が来ますね。

■最後に「〜」と「・・・」にどんなものが来るか他の用例を調べてみると、
典型的には、『善し悪し』『好き嫌い』に関することが来るようです。
「(悪いと思っていたけど)(実際に〜てみると)まんざら悪くはない」
「(嫌いだと思っていたけど)(あの話し方からすると)まんざら嫌いでもないようだ」

用例の(1)は「悪くはない」ですね。例文の(4)は「いやではない」ですね。
(3)の「捨てたもんじゃない」は慣用句と考えてもいいですが、やはり「悪くはない」という意味ですね。
(0)の「はずれとも言えない」も一つのバリエーションですが、やはり「だめではない」とつながっていますね。

ということで、どのような導入をすればいいかですが、
典型的な「善し悪し」「好き嫌い」の意味になる例文で、
話者の態度がわかるような文脈を与えて、
その際には★ポイント1、2に注意して状況設定して、
典型的な文型を使って導入すればいいでしょう。
その後、表現のバリエーションを与え、「捨てたものじゃない」のような慣用表現を使って文を作ったりすればいいでしょう。

具体例までは書きませんが、これを参考に導入を考えてみて下さい。

No.636
投稿時間:03/02/19(Wed) 10:17
投稿者名:ゴン
Eメール:
URL :
タイトル:ありがとうございました。

Oyanagiさん、こんにちは。ご指導ありがとうございました。「まんざら」、この言葉を使う場面をよく考え、分かりやすい例文作りを!を心がけて、これから教案作りを始めたいと思います。いつもいつも、本当にありがとうございます。


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