「太りもします」の「も」 [コメントする]

「太りもします」の「も」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/14 13:53:25)

※これは過去ログを整理したものです。(管理人)

[459] 「太りもします」の『も』について 投稿者:ゴン 投稿日:02/10/02(Wed) 21:03

 Oyanagiさん、こんにちは。「自然な日本語」から再び質問です。会話(9)の用例5。1.あれから10年もたつんだから、大きくもなりますよ。
2.こんな生活をしていたら、死にたくもなりますよ。3.毎日、こんなに食べていれば、太りもしますよ。「大きくもなる」「死にたくもなる」「
太りもします」の「も」は、どんな働きをしているのでしょうか。強調の「も」(???)と考えましたが、違う気もしますし。。。。また、例えば、3の文だと、「毎日こんなに食べていれば、太るのは当たり前だよ!」のニュアンスも感じられますが。実際のところどうなんでしょうか。教えてください。よろしくお願いします。
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[461] Re: 「太りもします」の『も』について 投稿者:oyanagi 投稿日:02/10/03(Thu) 00:48 <URL>

ゴンさん、こんにちは。
> 「大きくもなる」「死にたくもなる」「太りもします」の「も」は、どんな働きをしているのでしょうか。強調の「も」(???)と考えましたが、違う気もしますし。。。。また、例えば、3の文だと、「毎日こんなに食べていれば、太るのは当たり前だよ!」のニュアンスも感じられますが。実際のところどうなんでしょうか。教えてください。よろしくお願いします。
■前置き
自然な日本語の(9)ですね。内容を確認しました。ここでの用法はゴンさんが考えたように「〜ば/たら(だれだって/当然)・・・という結果になる」という用法ですね。
この(だれだって/当然)の部分は、条件の前件と後件を「強く」結び付けるわけですから、一言で言えば、「強調」でいいんじゃないですか。
まあ、「強調」というのは表現効果ですから、もとをたどれば、やっぱり「も」の基本である『累加』となるでしょう。
■考え方の流れ(その1)
初級で勉強した(1)が基本ですよね。
(1)(山田さんが行く。)佐藤さんも行く。
この『累加』というのは、「も」の文を示しながら、その含みの部分、つまり( )の部分ですね。これについてもあわせて伝えることですから、ここから(2)の用法が理解されます。
(2)この問題は(小学生はもちろんできないし)大学生もできない。
この文では、【程度の評価】が入って来ます。つまり(2)ではそれくらいこの問題は難しいということですね。
この流れからすれば、(3)のように問題の文が理解できるはずです。
(3)こんな生活をしていたら、(いやになるし)死にたくもなりますよ
つまり、「も」の文が程度の強調された部分になるわけですね。この用法が確立すると、含みの( )の部分が補えなくても、単に程度を強調したい部分のみを述べるようにもなるわけです。それが(4)ですね。
(4)そんなに食べていたら、(※特になし)太りもしますよ。
たぶん、これで大丈夫だと思うのですが、もう一つのアプローチがあります。
■考え方の流れ(その2)
(1)の基本は同じです。
そして、初級で勉強した<数+も>の用法を復習します。
(2’)元の文:パーティに 100人来た
    「も」:パーティには100人「も」来た。
この「も」の文は100人来たという事実を述べるだけにとどまらず、話者の【程度の評価】が入りますね。
つまり、「量が多い、程度が高い」ってことですね。
(このような用法があるのは、こじつけっぽくなりますが、『累加』が基本にあるからと言っていいのではと思うのですが。)
そうすると、(3)の文も「〜たら、・・・」の部分だけでは普通の条件の帰結だけを述べる文になるけども、「・・・」の部分に「も」が入ると、その「程度が高い」→「そのような程度になるほど、結び付きが強い」→「(だから)だれだって/当然・・・となる」という流れが理解できるのではないでしょうか。
(3)の元の文:こんな生活をしていたら、死にたくなりますよ
(3)「も」 :こんな生活をしていたら、死にたく「も」なりますよ
■結論
ということで、どちらのアプローチをとるにしても、「程度が高い」ということを取り立てによって示す「も」の用法と「〜ば/たら・・・」という条件文が組みあわさって、『だれだって/当然・・・という結果になる(くらい結び付きが強い)』という表現効果が生まれると考えればいいと思います。
■蛇足
ところで、自分がこの教科書を使っていたときには、学生にはこの「も」は何だとはいちいち説明はせずに「文型」として覚えてもらったと記憶しています。「も」は母語話者にとっては当り前ように使っていますが、改めて「も」が使われている表現を考えてみると、同じようなアプローチが使えるかもしれませんね。
それでは、このへんで。
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[464] 質問その2 投稿者:ゴン 投稿日:02/10/07(Mon) 17:25

Oyanagiさん、こんにちは。返答、ありがとうございました。Oyanagiさんの最後の文で、「文型として教えた」というのは、「〜もします」「〜にもなります」で、『だれだって/当然・・・という結果になる』というように教えたということでしょうか。
 Oyanagiさんが言うように、「も」だけの説明というのはしなくていいと、私も思います。でも、時々、生徒の中には細かく聞いてくる人もいますね。これとは関係のない話かもしれませんが、以前「電気がつけっぱなしになっている」という文を教えた時、「先生、つけっぱなしになっているの「っ」は何ですか?」と聞かれたことがあります(笑)。
 
 ありがとうございました。 ゴン
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[469] Re: 質問その2 投稿者:oyanagi 投稿日:02/10/09(Wed) 01:27 <URL>

ゴンさん、こんにちは。
> 「文型として教えた」というのは、「〜もします」「〜にもなります」で、『だれだって/当然・・・という結果になる』というように教えたということでしょうか。
そうですね。幸い、(私の場合は)この「も」は何ですかという質問はありませんでしたが、もしそのような質問が出たら、先に書いたことを「さっと」やって「あ、そんなつながりがあったのか」と分かったつもりにさせるぐらいはするでしょうね。
※ここでの「わかったつもり」はいい意味で使っています。
自然な日本語という教科書にはいろいろな表現・文型が取り挙げられていますが、特に「陳述の副詞」などは非常によくひろわれていて助かりました。ただ、学習者は自国語の辞書でその副詞の意味を調べて、「あ、これなら自分の国の言葉だ」と思って安心してしまうところがあります。
つまり、意味だけわかって「使えるようになった気になる」わけですね。ところが文を作らせてみると、皮肉なことに「自然な日本語」にならないことがあります。そんな時には、陳述の部分(=文がどのような表現で終わるのか)にまで注意させて、それと一緒に使うように指導しました。いろいろな使い方があっても、やはりよく使われる『文型』で教えることが第一だと思います。そういう意味で文型で教えた、と書きました。
※テキストの例文ではそれが抜き出せるようになかなかいいものがそろっていると思いますよ。
>以前「電気がつけっぱなしになっている」という文を教えた時、「先生、つけっぱなしになっているの「っ」は何ですか?」と聞かれたことがあります(笑)。
いや、気になる学生というのはどこにでもいるもので、逆にそういった「気付き」が教師の勉強を促すこともあります。
話はちょっと違いますが、私がまだ日本語教師になったばかりのころ、韓国の学生に「五段動詞と一段動詞の見分け方を知っていますか」と聞かれて、どきっとした覚えがあります。その学生は自国で教えてもらった「方法」を披露してくれましたが、それがきっかけで、自分でも考えることになりました。
それではこれからもよろしく。
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