「〜ている+名詞」と「〜た+名詞」 [コメントする]

「〜ている+名詞」と「〜た+名詞」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/14 13:23:52)

※これは過去ログを整理したものです。(管理人)

[377] 「〜ている」がどうして「〜た」になるか 投稿者:イラヒ 投稿日:02/05/18(Sat) 00:49

ここ数年来の疑問です。
状態を表す「〜ている」が連体修飾になると、「〜た」にしかならないものと、「〜た」「〜ている」両方使えるものがありますね。
「あの人はいつも落ち着いている」
「このはさみの先端は尖っている」
「あのおじいさんは腰が曲がっている」
「その子はいつも赤い靴を履いている」
「あの人は肥っている」
これらは連体修飾にしたら、両方使えますよね。(「落ち着いている人」より「落ち着いた人」の方がしっくりくると思いますが)
「彼の作品は誰よりも優れている」
これは、「優れた作品」にしかならないですね。
まあ、ここまではいいのです。
「眼鏡をかけた人」は、
 ほらほら、黒縁のごつい眼鏡をかけたひとがいるでしょ。あの人が田中さ んよ。
のように、ある人の恒常的な状態を表すときに使う
「眼鏡をかけている人」は
 ほら、あそこに黒縁のごつい眼鏡をかけて立っている人、あの人が田中さんよ。
のように、今目の前で見ている時にぴったりする表現
というのも納得できます。
で、私の疑問は、何故、状態を表す「〜ている」が連体修飾となったときに「〜た」となるか、その理屈なんです。いろいろ調べても出て来ないのですよ。私自身が思うには、
状態(結果の存続)は結局英語でいうところの現在完了である。
現在完了は過去から現在までをふくんだものである。
He came here yesterday.
は昨日という過去の一点のことを言っているが、
Spring has come.
は時間を過去から現在まで続いているものと見ている。
「眼鏡をかけている」は今よりも過去の時点で「眼鏡をかけた」、その状態が現在まで続いている。これは、英語の現在完了と同じである。現代日本語では「過去」を表すのも「完了」を表すのもテンスとしては「た」一つである。したがって、連体修飾になると状態を表す「〜ている」は「〜た」になり得る。
ということなんですが・・・・調べた限り誰もそんなことを言っていないようで、もしかしたら私はとんでもない思い違いをしているのかも知れません。
皆様のご教示をお願いしたく、投稿いたしました。
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[378] 補足 投稿者:イラヒ 投稿日:02/05/18(Sat) 03:09

私は英語の文法に関しては、中学・高校で習った以上の知識はありません。
英語では現在完了も「テンス」ですよね。たしかpresent perfecto tens  と習いました。英語の時間に「アスペクト」という言葉を聞いたことはないので、英語にアスペクトというものがあるのかどうかさえ知りません。でももしかしたら、英語の世界でもいろいろな文法があって、「現在完了はテンスではなく、アスペクトだ」なんていう話もあるのでしょうか。進行形は progressive form ですから、テンスともアスペクトとも違うものと意識されているのでしょうか。結果の存続の「〜ている」は英語の現在完了と同じだと言いながら、英文法を知らなくて、誠にお恥ずかしい限りです。
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[379] 私の補足と整理 投稿者:Oyanagi 投稿日:02/05/19(Sun) 04:37 <URL>

イラヒさん、こんにちは。
> ここ数年来の疑問です。
これは放っておけないですね。なんとか解決したいですね。
> で、私の疑問は、何故、状態を表す「〜ている」が連体修飾となったときに「〜た」となるか、その理屈なんです。いろいろ調べても出て来ないのですよ。私自身が思うには、
>
> 状態(結果の存続)は結局英語でいうところの現在完了である。
> 現在完了は過去から現在までをふくんだものである。
> He came here yesterday.
> は昨日という過去の一点のことを言っているが、
> Spring has come.
> は時間を過去から現在まで続いているものと見ている。
> 「眼鏡をかけている」は今よりも過去の時点で「眼鏡をかけた」、その状態が現在まで続いている。これは、英語の現在完了と同じである。現代日本語では「過去」を表すのも「完了」を表すのもテンスとしては「た」一つである。したがって、連体修飾になると状態を表す「〜ている」は「〜た」になり得る。
「〜た+名詞」が「〜ている+名詞」を表わす理由はイヒラさんがお考えのように「〜た」にはテンスだけでなくアスペクトを担っているからだと思います。
■ちょっと補足
英語との比較では、英語では過去分詞が形容詞として使われることと共通点があるでしょう。
・腐ったりんご = rotten apple
このように「変化」を表わす動詞は日本語では「〜た」が結果状態を表わしますよね。
これはたくさんあります。(錆びる→錆びたパイプ、とか)
この種類の動詞の『〜た』をみると、完了の「た」と繋がっていることはもっとはっきりしますね。
■「〜ている+名詞」と「〜た名詞」
この二つの違いはイラヒさんも書かれているとおりだと思いますが、ちょっと整理しておきます。
「〜ている」には次の2つの場合があります。
基本はAです
(A)<時間軸上>のアスペクトの概念で捉えられる場合
   →つまり、過去との比較で現在の状態を描写する
   例:「形が(きのうと比べて)変った」<完了:アスペクト>
        →「(今)形が変っている」<状態:アスペクト>
   例:「(去年と比べて)太った」 <完了:アスペクト>
        →「(今)太っている」<状態:アスペクト>
次にAの<時間軸上>の概念から焦点がはずれるとBが生まれます。
(B)<他者との比較>において現在の状態を描写する
   例:「形が(他のものと比べて)変っている」<状態:形容詞的>
   例:「(他の人と比べて)太っている」   <状態:形容詞的>
そこで、『連体修飾』を考えると、(1)と(2)の二つの場合がありあます。
(1)Aの概念が残っている場合(=アスペクト的な場合)は
  「〜ている+名詞」も「〜た+名詞」も使えます
でも、
(2)Aの概念が残っていない/意識されない場合(=形容詞的な場合)には
  「〜た+名詞」が自然になります
例:(1)◯眼鏡をかけている人、◯眼鏡をかけた人
     ◯太っている人   、◯太った人
                             ↓述部に「〜ている」はOK
  (2)?変っている人、   ◯変った人    (比較:◯あの人は変っている)
     ×堂々としている体格、◯堂々とした体格 (比較:◯体格が堂々としている)
     ?優れている作品、  ◯優れた作品   (比較:◯この作品は優れている)
     注:「(性格が)変った」→「変っている」という意味ではないので
       「変っている人」は?となる
重要なことは、これははっきり区別できるわけでなく、”連続”していることです。
だからやや不自然という場合もあります。
ただ、はっきりしていることは、(B)の概念は<形容詞>と同じだということです。
ですから、意識の中で形容詞のように使われていると感じれば、「〜た+名詞」が自然になるのではないかと思います。
例:?晴れている空、◯晴れた空
           ↑「青い空」
注:文法上は「晴れた」→「晴れている」で「晴れている空」と言えるはずですが、
  実際は<形容詞>のように使う意識が働いて、「晴れた空」が優勢になると思われます。
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[380] まとめ(とりあえず結論) 投稿者:Oyanagi 投稿日:02/05/19(Sun) 04:39 <URL>

■なぜ連体修飾で「〜ている」が「〜た」になるか?
さて、イラヒさんの疑問に対する私の考えですが、以上のことをまとめると、
連体修飾で「〜ている」の意味で「〜た」が使われるのは
★第一に、「〜た」がアスペクト(完了)を担っていること。
 →これは「〜た」を「〜ている」の代わりに使うことができる理由になる
  (※<完了>アスペクトの形式が<状態>アスペクトに拡張されうるということ)
  ・シャツがかわいた → シャツがかわいている
            → かわいたシャツ (「乾いている」という意味)
★第二に、「〜ている」には2つの用法があること。
 「〜ている」は<アスペクト>として状態を表わすだけでなく、
 ”形容詞”のように<他者との比較>で描写する場合にも使われる。
 その場合に、<アスペクト的>な用法の場合、つまり描写される事態が、
 時間軸上で<過去との比較>が想定できるものは「〜ている+名詞」が使えるが、
 それが想定できない、または焦点がはずれる場合は「〜ている+名詞」が使えない。
 そこで、「〜た+名詞」を使うと考えられる。 
 →これはなぜ「〜ている」ではなく「〜た」が自然になるかの理由になる
 →これは形容詞の中で、その反対語に相当する形容詞がない場合に、
  動詞の「〜た」の形が使われる理由になる
*時間軸上の概念があるかどうかで「〜た+名詞」が◯か?に分かれる例
  ・(先が尖った) → 先が尖っている
             ◯先が尖っている鉛筆   ◯先が尖った鉛筆
             ?(先が)尖っている鼻  ◯(先が)尖った鼻
                  ↑            ↑
                <アスペクト的>     <形容詞的>
*反対語としての形容詞が欠けて、動詞の「〜ている」を使う例
 (時間軸上の概念があるかどうかで「〜た+名詞」が◯か?に分かれる)
  ・その答えは『間違っている』 <=> その答えは『正しい』
   →◯間違っている答え(にバツをつける)
     (<アスペクト的>:「答えが間違った」→「答えが間違っている」)
    ◯間違った答え(にバツをつける)
     (<形容詞的>:正しくない答え)
  ・その考えは『間違っている』 <=> その考えは『正しい』
   →?間違っている考え(を正す)
     (<アスペクト的>:?「考えが間違った」→「考えが間違っている」)
   →◯間違った考え(を正す)
     (<形容詞的>:正しくない考え)
*そもそも時間軸上の概念がない例
 (「〜た+名詞」しか使われない)
  ・×「(去年と比べて)堂々とした」 (<アスペクト(完了)>としての用法がない)
   ◯「(他の人と比べて)堂々としてる」<形容詞的>
     →◯「堂々とした態度」     <形容詞的>
     →×「堂々としている態度」   <×アスペクト的>
こんなふうにまとめてみましたが、いかがでしょうか。
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[382] 参考文献(二冊) 投稿者:Oyanagi 投稿日:02/05/19(Sun) 04:44 <URL>

最後に参考文献を挙げておきます。もし入手できるようでしたら、ご覧ください。
■参考図書
*アスペクトの「ている」と「た」について日本語教師には超オススメの本
『日本語のシンタクスと意味II』寺村秀夫(くろしお出版)
  私流に言えば
  「文法というのはかくのごとき連続している」ということをわかりやすく説明しています。
  日本語教師が文法の知識を深めるには非常にいい参考書です。
  特にp.137-143が今回の問題と関係しています。
  <過去との比較><他者との比較>という考え方はこの本によっています。
*英語との比較について、本格的な勉強をしたい方にオススメの本
『日英語対照研究シリーズ5 動詞意味論』影山太郎(くろしお出版)
  専門書ですが、英語と日本語の「スル言語」「ナル言語」を
  別な観点から論じた(私にとっては)名著です。
  ここで、今回の問題と関係することとして「完了形容詞」の項があります。
  そこで「〜た」も論じられています。特にp.130-134
  (ただし、最初から読まないと、論点が理解できないかもしれません)
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[383] Re: 参考文献(二冊) 投稿者:イラヒ 投稿日:02/05/19(Sun) 12:24

oyanagiさん、どうもありがとうございました。
> *英語との比較について、本格的な勉強をしたい方にオススメの本
> 『日英語対照研究シリーズ5 動詞意味論』影山太郎(くろしお出版)
>   専門書ですが、英語と日本語の「スル言語」「ナル言語」を
>   別な観点から論じた(私にとっては)名著です。
>   ここで、今回の問題と関係することとして「完了形容詞」の項があります。
>   そこで「〜た」も論じられています。特にp.130-134
>   (ただし、最初から読まないと、論点が理解できないかもしれません)
わたしは当分スペイン語圏で暮らすと思うので、スペイン語と日本語の比較対照をこれからしようと思っています。でも、「〜た」のことも知りたいので、『動詞意味論』も読んでみようと思います。
手元に水谷信子さんの『日英比較 話し言葉の文法』があります。これなら英文法について専門知識がない私でも読めますが、書いた人はものすごく深い知識があるわけですよね。
くろしお出版が日本語とスペイン語文法の比較対照シリーズを出しているようですが、学術書ですから、スペイン語を未だにマスターできない私にはむずかしすぎるだろうと思います。何しろ、スペイン語と比べたら、「英語は文法がない」という人がいるほど、スペイン語は文法が複雑です。特に動詞の活用が煩雑です。外国語というとまず英語を習ってしまった者にはとんでもない言葉だと、怠け者の私は思ってしまいます。
そんなわけで、当分はスペイン語の文法と格闘してみようと思います。
スペイン語の辞書を見ると、「完了」はテンスの中に含まれます。ただ参考書で「現在完了」と訳されている原語を見ると、「完了過去」」ですね。
さらに補足しますと、大きく、「単純時制」と「複合時制」に分かれていて、
単純時制は
「現在」
「未完了過去」(分かりやすいように「線過去」という言葉が使われ、「・・していた」と訳す)
「単純完了過去」(「点過去」「・・・た」と訳す)
「未完了未来」(訳語では「未来」)
「可能」
複合時制は
「完了過去」(訳語は「現在完了」)
「過去完了過去」
「直前過去」
「完了未来」
「複合可能」
となっています。
自分で書いていても何がなにやらさっぱり分からないので情けなくなります。
このような細分化したテンスを日本語では主にテンスとアスペクトの組み合わせで表現し分けるわけですよね。
ところで、新明解国語辞典で、「アスペクト」を調べたら、
 主として動詞によって表される動作がどのような時間的過程にあるかを記述する文法形式。継続・完了・結果・存続など。
とでていました。
これに「経験」が加わると、まるっきり英語の現在完了ですね。
でも「経験」は「〜たことがある」の他に「ている」を使って言うこともできますね。「3回富士山に登っている」
He has gone to france.
これを「彼はフランスへ行ってしまった」と訳せと中学時代習いましたが、
「彼はフランスに行っている」という結果の存続、つまり状態であるとも言えますね。また、過去のある時から今までそこに居続けているという「継続」という側面もあると思います。まこと、文法ははっきりと境界線が引けるものではありませんね。
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※この投稿は管理人の判断で削除されました※
(2006年7月17日)

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