「ゆっくり」の品詞 [コメントする]

「ゆっくり」の品詞


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/14 13:17:04)

※これは過去ログを整理したものです。

[361] 「〜り」の品詞・・・ 投稿者:ちゃっちゃん 投稿日:02/04/11(Thu) 08:21

先日NHKテレビ夜7時半の放送で
「ゆっくりな生活、スローライフ について次回考えます」と司会者。
さて「ゆっくりな」とは? と教師仲間でこの用法の違和感が話題になりました。
ところが広辞苑では「ゆっくり」の品詞は名詞です。とすると「元気な」「心配な」「不安な」などと同じ用法であり、間違いじゃなかろう・・・ということに一件落着したのですが、どうも日本語としての違和感は否めません。
調べてみると我々日本人が日常副詞的につかっている「ゆっくり」をはじめ
「あっさり」「がっかり」「こっそり」「じっくり」「にっこり」「ねっとり」等々あるわあるわ・・・なんと副詞と思っていたものの多数が名詞。
ところが「しっかり」「すっかり」「たんまり」「てっきり」などは副詞・・・
そこで我々は悩みました。「〜り」の品詞の見分け方はどうなっているのだろうと。
誰か見識高き人・・・教えてください。
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[363] <ラベル>貼りの呪縛から解放 投稿者:Oyanagi 投稿日:02/04/18(Thu) 02:20 <URL>

ちゃっちゃんさん、こんにちは。管理人のOyanagiです。
> 先日NHKテレビ夜7時半の放送で
> 「ゆっくりな生活、スローライフ について次回考えます」と司会者。
> さて「ゆっくりな」とは? と教師仲間でこの用法の違和感が話題になりました。
ほ〜。NHKさんですか。それは気になりますね。
> ところが広辞苑では「ゆっくり」の品詞は名詞です。
これは<副詞>の間違いでは?いや、あとの説明を読むと広辞苑さんは
<名詞>扱いしているのでしょうかね。
ちなみに、手元にあった『新明解』(三省堂)と『現代国語例解事典』(小学館)は<副詞>でしたね。
それで、この「〜り」の単語についてですが、いわゆる擬態語については
品詞の扱いは辞書によってまちまちだと思います。
以前の投稿でも触れましたが、擬態語には
(1)副詞として動詞を修飾する
   ※「〜と」「〜に」をともなうこともある
(2)状態を表わし、「〜な」の形で名詞を修飾する
(3)状態を表わし、「〜だ」の形で述語になる
(4)状態を表わし、「〜の」の形で他の名詞を修飾する
(5)状態を表わし、「〜する/している/した」の形で
   名詞を修飾したり、述語になったりする
の5つの場合が考えられます。
いつも5つができるというわけではなく、単語のもつ意味特徴やその他の要因(:これははっきりとはわかりませんが)で、形がないものもあります。
先にあげた小学館の辞書では(2)または(3)の用法があれば(=「〜な」「〜だ」の形で使う)<形容動詞>、(4)の用法があれば(=「〜の」の形で使う)<名詞>という品詞が付けられています。
そこで、「ゆっくり」を考えてみると、
(1)は問題なくOK →「ゆっくり+歩く」
(2)が今回問題になった使い方→「ゆっくりな+生活」
(3)の場合 →「歩きかたがゆっくりだ」
(4)の場合 →「ゆっくりの+生活」
(5)の場合 →「ゆっくりした+生活」
★「〜り」に限らず、日本語では<副詞>とよばれる品詞は名詞を修飾できたり、文の述語になったりできるところがユニークです。
そんなことができるなら<副詞>とは呼べないだろうということになりますが、そのせいで、『使われ方』によって、この場合は<名詞>、これは<形容動詞>だというふうにいわれたり、元々は<副詞>で、これはその名詞用法とか、これは元々は<名詞>で、それは副詞用法だとか、もう何が何だかわからなくなります。
辞書によって<ラベル>がまちまちなのもそのせいでしょう。
★これは、<品詞>というものにこだわりすぎるからで、何にでも<ラベル>をはろうと思えば無理がでるものです。
それに「〜な」がつくのか「〜の」がつくのか、それとも両方つくのかというのも人によってかなりユレがあるようです。
結局はその単語が示す意味(:状況や事態)を私たちがどのように認識しているかってことだと思います。
しょせん<ラベル>は人間があとから分類したくてつけたものですから。
注:誤解がないように付け加えておきますが、実際に日本語を教える時に<品詞>という分類が意味がないということではありません。
あくまでも教師側の考え方としてです。
「ゆっくり」についていえば、
■動作の様態に注目すれば
 <副詞> →「ゆっくり歩く」
■(変化もある)状態性に注目すれば
 <形容詞>→「ゆっくりな生活」
■(ある程度固定した)属性とみれば
 <(状態性の)名詞>→「動作がゆっくりの人」
のように考えられるのではないでしょうか。
なんか、わかりにくい説明になりましたが、「〜り」に限らず
形容動詞と名詞の境界はアイマイです。
そのアイマイさが実は言葉の実態なのだと思います。
これはあくまでも考え方の一つですので、ご自信で考える上でのご参考になさってください。
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