「〜ないで」と「〜なくて」 [コメントする]

「〜ないで」と「〜なくて」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/14 00:48:24)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

[263] 「ないで」と「なくて」の区別 投稿者:梅林 投稿日:01/10/12(Fri) 16:22

今中国で日本語を教えています。中国人の新米教師で、よく生徒に質問されて答えられない時があって、はずかしいです。先日「ないで」と「なくて」の区別について質問されました。
 
例えば:「知りもしないで、知ったかぶりをする。」
は、使っても大丈夫なようですが、
「知りもしなくて、知ったかぶりをする。」
は、ダメなようです。
でも、「食べられなくて、苦しんでいる。」も、「食べられないで、苦しんでいる。」も、両方使えるようです。
こうした区別を生徒たちに教えるにはどう教えたらいいか、ご存知の方、教えていただけないでしょうか。宜しくお願いします。
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[264] テ形の用法のまとめ 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/10/12(Fri) 22:54 <URL>

紅林さん、はじめまして。<勉強部屋>へようこそ。管理人のOyanaginiです。
同じ質問を「日本語オンライン」の掲示板にも投稿されているようですが、投稿のマナーとしては同時に同じ質問を複数の掲示板にするのは良くないと思います。(もちろん、そうしたくなる気持ちは分かりますが)
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それはそれとして、ご質問の「〜ないで」と「〜なくて」はこれまでも他の掲示板で似たような話題が取り上げられていると思いますが、せっかくの機会なのでこの掲示板で私なりのまとめを書いておこうと思います。
ここは<勉強部屋>ということで、管理人が好き放題(?)に書くので、あくまで参考資料としてお読みください。
以下は、前半が指導を踏まえたまとめで、後半は私の個人的な考えです。前半の部分は一般的な参考書では似たようなまとめがされていると思うので、もし手元にあったらご参照ください。取り敢えずはこれで対応できると思います。
後半はなぜそうなるのかについての個人的な考えですので、本当に参考程度にお読みください。
(文法の分析好きの管理人の勉強ノートのようなものです)
(注:以下のまとめは動詞の場合に限って書かれています)
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■テ形の用法のまとめ
動詞の「テ形」の基本は、二つ以上の文を接続する用法です。文法では「複文」に関わる文法です。
「複文」を考えるには、前の文と後ろの文の関係に注目して、A(並列節)、B(従属節)に分けて考えるといいと思います。通常、「テ形」の指導の場合にはAとBを区別することはないかもしれませんが、「〜ないで」と「〜なくて」の違いを明らかにするためにここで触れておきます。
その名称が示すとおり、文と文をつなぐという意味ではAが基本でBはその発展です。つまり、Bの場合は主節に対してなんらかの関係をもっている節になっているということです。
以下で、AとBを含めて大きく(1)〜(7)の用法をたてておきます。
(注:細かくみるとこれ以外もありますが省略します)
--------
A:並列節 <基本的用法:二つの事柄を接続するのみ>
(1)並列 「この食品には、Xが入っている。Yは使われていない」
     →「この食品には、Xが入っていて、Yは使われていない」
(2)対比 「この食品には、Xが入っている。その食品にはXが入っていない」
     →「この食品には、Xが入っていて、その食品にはXが入っていない」
(3)継起 「彼はXをした。(そして)Yをした」
     →「彼はXをして、Yをした」
B:従属節 <二つの節の意味を関係づける>
(4)<原因>の意味で関係づけられる場合
      「この食品には、Xが入っている。<だから>危険だ」
     →「この食品には、Xが入っていて、危険だ」
(5)<手段>の意味で関係づけられる場合
      「Xを入れる。<そうやって>おいしくする」
     →「Xを入れて、おいしくする」
(6)<付帯状況>の意味で関係づけられる場合
      「座る。<その状態で>話を聞く」
     →「座って、話を聞く」
      「拍手をする。<それをしながら>ゲストを迎える」
     →「拍手をして、ゲストを迎える」
(7)<逆接>の意味で関係づけられる場合
      「知っている。<それなのに>教えてくれない」
     →「知っていて、教えてくれない」
------
以上の用法において、<否定>の場合に「〜なくて」と「〜ないで」のどちらが使われるのかをみてみます。
→次のツリーで
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[265] 否定の場合 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/10/12(Fri) 22:59 <URL>

■否定の場合
以下のように◯と×を観察すると、(4)の<原因>の場合のみ「〜なくて」が使われて、あとの用法は「〜ないで」を使うと指導するのが、用法ごとに説明する方法です。
この指導方法は、クラスで学習者が用法も含めて学習している場合には有効だと思います。
(※印は、使われるがニュアンスが異なることを示します。これについては後半の書き込みで触れます)
★紅林さんがご質問の文は「知りもしないで、知ったかぶりをする」ですから、用法は<逆接>の意味関係になっています。ですから、この指導方法を使えば、<逆接(「〜のに」の意味になるもの)>は「〜ないで」を使うと説明することになります。
(なぜそうなのかについては、私の個人的な考えを後半に書きます)
それから、紅林さんの次の疑問については、後半の次のツリーで触れます。
>「食べられなくて、苦しんでいる。」も、「食べられないで、苦しんでいる。」も、両方使えるようです。
--------
(1)並列 「この食品には、Yは使われていない。Xが入っている」
     →◯「この食品には、Yは使われていなくて、Xが入っている」
     →※「この食品には、Yは使われていないで、Xが入っている」
(2)対比 「その食品にはXが入っていない。この食品には、Xが入っている」
     →◯「その食品にはXが入っていなくて、この食品には、Xが入っている」
     →※「その食品にはXが入っていないで、この食品には、Xが入っている」
(3)継起 「彼はXをしなかった。(そして)Yをした」
     →×「彼をXをしなくて、Yをした」
     →◯「彼はXをしないで、Yをした」
(4)<原因>の意味で関係づけられる場合
      「この食品には、Xが入っていない。<だから>危険だ」
     →◯「この食品には、Xが入っていなくて、危険だ」
     →×「この食品には、Xが入っていないで、危険だ」
(5)<手段>の意味で関係づけられる場合
      「Xを使わない。<そうやって>おいしくする」
     →×「Xを使わなくて、おいしくする」
     →◯「Xを使わないで、おいしくする」
(6)<付帯状況>の意味で関係づけられる場合
      「座らない。<その状態で>話を聞く」
     →×「座らなくて、話を聞く」
     →◯「座らないで、話を聞く」
      「拍手をしない。<その状況で>ゲストを迎える」
     →×「拍手をしなくて、ゲストを迎える」
     →◯「拍手をしないで、ゲストを迎える」
    
(7)<逆接>の意味で関係づけられる場合
      「知らない。<それなのに>知ったかぶりをする」
     →×「知らなくて、知ったかぶりをする」
     →◯「知りもしないで、知ったかぶりをする」
       (注:「知らないで、知ったかぶりをする」は不自然。強調のために「〜もしない」を使う)
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以上、一般的な参考書の記述を参考にしながらまとめてみました。
ここで、不思議に思うのは、(1)〜(7)の繋がりの中で、「〜ないで」と「〜なくて」がどのように使い分けられているかということです。一見すると<原因>の用法だけが”例外的に”「〜なくて」が使われているように思われますが、どのように考えると合理的に説明できるかについて、個人的な意見を後半(次のツリー)に書きます。
(ちょっと込み入った内容です。興味があればご覧になってください)
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[266] 「〜ないで」が使われる理由 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/10/12(Fri) 23:18 <URL>

■「〜ないで」が使われる理由
名詞、形容詞の否定の「テ形」は「〜なくて」だけだが、動詞の場合には「〜なくて」と「〜ないで」の二つがあります。しかし、「ない」のテ形はあくまでも「なくて」であって、「ないで」はなんらかの<特別な理由がある>と考えたほうがいいと思います。
言い換えれば、「活用上」のテ形は「〜なくて」であって、「〜ないで」は否定の「ない」に<限定>の助詞の「で」がついたものと考えることができるのではないでしょうか。
<限定>の助詞の「で」が付くということは、主節の出来事に対して、なんらかの『場』を限定するということです。すなわち、並列節ではなく、従属節を作ることを意味します。
ですから、<手段><付帯状況><逆接>のような明確に従属節の性格を表す場合には主節がどのような状況で生起したのかを限定する意識が働き、「〜なくて」ではく、「〜ないで」が選ばれるのだと思います。
逆に言えば、基本的な用法である、二つの出来事を単につなぐだけの用法の場合には、活用上のテ形で済ますことができるために、<並列><対比>では「〜なくて」がごく自然に使われます。
ここで、ポイントが2つあります。
一つは<原因>の場合には”従属節”に分類されながらも「〜ないで」ではなく、「〜なくて」が使われることです。
これは、「テ形」が表す<原因>の性質を考えれば答えが出ると思います。
後件には意志表現ができない、つまり<理由>ではなく<(自然な)因果関係>のみを表します。ですから、「〜ないで」ような『場』を限定する意識が働くものではなく、ニュートラルな意味で接続できる「〜なくて」が選ばれるのだと思います。
もう一つのポイントは<継起>は元々”並列節”に分類されているのに、なぜ「〜なくて」ではなく、「〜ないで」が使われるのかということです。
これは、私の推測ですが、肯定文においては「〜て」は<継起>を表すことができますが、否定文の「〜ない」ということは、その時点で<継起>にはなり得ないのでしょう。
つまり、「窓を閉めた。(そして)寝た」は<継起>の用法で、「窓を閉めて、寝た」という文が成立するのですが、「窓を閉めない。(そして)寝た」という文においては、『窓を閉めない』状態で『寝た』という解釈になるために、<継起>ではなく、<付帯状況>になっているということです。
(注:「日本語文法ハンドブック」スリーエーネットワークp.192、には、はっきり<継起>の用法には否定形がないとしています)
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そうすると、(1)〜(7)の用法は、否定の場合には次のように組み変わることになります。
A:並列節
(1)並列    「〜なくて」
(2)対比    「〜なくて」
B:従属節            ↑<二つの文をニュートラルに接続する>
(4)<原因>  「〜なくて」  
 -----------------------------------------------------------
(5)<手段>  「〜ないで」  ↓<主節が生起する『場』を限定する>
(6)<付帯状況>「〜ないで」 注:(3)<継起>は否定の場合に(6)になる
(7)<逆接>  「〜ないで」
このように考えると、(4)と(5)の間で線が引かれて、上は「〜なくて」、下は「〜ないで」を使うとまとめられると思います。(4)はその意味ではボーダーに位置していて、文法カテゴリーとしてはBに分類されながらも、意識としては「〜なくて」を使う、つまり、ニュートラルにつなげる意識がより強いと考えられます。
このような<階層>を想定すると、先の書き込みで※印をつけた文の扱いも説明が出来ると思います。
先のまとめでは(1)と(2)は「〜ないで」も使うことができるということでした。そうしたために、<原因>だけが”例外的に”「〜なくて」を使うというふうに説明されましたが、私の考えでは、上のような階層になっていて、
★(1)と(2)は「〜なくて」を使うのが基本だと考えます。
(注:「日本語教育能力検定試験 傾向と対策 Vol.1」p.145ではそのような記述があります)
★つまり、(1)と(2)でもし「〜ないで」を”わざわざ”使えば、あるニュアンスがともなうということです。
具体的には、『主節が生起する場として、何かを述べる』という話者の態度です。
「太郎は/が来なくて、次郎は/が来た」と
「太郎は/が来ないで、次郎は/が来た」を比べたときに、「〜なくて」はよりニュートラルに繋がっているように感じて、「〜ないで」のほうは「太郎は来なかった。<その代わりに>次郎が来た。<どうなっているんだ>」のような話者の態度がより強く感じるられるのではないでしょうか。
★さらに、それは<原因>の用法の場合にも起こりうるということです。
さて、ここで、先に保留しておいた紅林さんの次の疑問についてです。
>「食べられなくて、苦しんでいる。」も、「食べられないで、苦しんでいる。」も、両方使えるようです。
通常の参考書では<原因>の用法は「〜なくて」を使うと解説されています。ところが、実際にこのような文は使われていると思われます。その理由は、これまでの考え方を使えば、「〜なくて」は<自然な因果関係>を述べるニュートラルな接続になっていて、「〜ないで」のほうは「苦しんでいる」のがどのような<状況>なのか、その『場』を示す意識が強く働いていると考えられます。
「食べられないで、苦しんでいる」という文を基本どおり、不可とするか、そういう使い方もあると説明するかは教師によって判断が分かれるかもしれませんが、中級レベルであれば、ニュアンスの違いを説明して理解してもえるのではないかと思います。(ちょっと楽観的かもしれませんが)
------
ということで、まとめてみると、従属節を強く意識する場合(:主節に対する場、状況を説明する場合)には限定を意識するために、「で」が使われて「〜ないで」の形になる。
◆典型的には(5)(6)(7)の用法
そうではなく、ニュートラルに結び付ける場合、つまり並列節になる場合には活用どおり「〜なくて」が使われる。
◆典型的には(1)(2)の用法で(3)がそれに付け加わる。
◆しかし、話者がなんらかの意味づけ(=『場』を設定する)をすれば、「〜ないで」も使うことは可能である。
だから、(1)(2)(3)も基本的な「〜なくて」ではなく、「〜ないで」を使うことも可能である。
長々と書きましたが、このツリーに書いたことは個人的な考えです。これまでの考察もそうでしたが、文法として提示する部分というのは、あくまでも一つの”典型的”なものをまとめたものにすぎず、話者の意識のもちかた次第で柔軟に変化するのが言葉だという考え方にたっています。
しかし、あれも言える、これも言えるでは学習者に指導するという点で不都合が生じますから、実際に指導するということでしたら、前半に書いたように用法ごとにできる、できないを明示したほうがいいと思います。
不明な点、ご意見があれば遠慮なく書き込みをお願いします。
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[274] Re: 「〜ないで」が使われる理由 投稿者:かおりん 投稿日:01/10/30(Tue) 16:21

Oyanagiさん、梅林さん、こんにちは。
しばらくこの「ないで」と「なくて」について考えていたのですが、どうもこの並列節にひっかかりました。
> -----
> そうすると、(1)〜(7)の用法は、否定の場合には次のように組み変わることになります。
>
> A:並列節
> (1)並列    「〜なくて」
> (2)対比    「〜なくて」
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そこで、次の例文を考えてみたのですが、いかがでしょうか。
1)この料理には油は入っていない。酢が入っている。
 1’)→この料理には油は入っていなくて、酢が入っている。
2)この料理には油を入れていない。酢を入れている。
 2’)→この料理には油を入れていなくて、酢を入れている。 
*3)この料理には油を入れない。酢を入れる。 
 3’)→この料理には油を入れないで、酢を入れる。
3’)では「ないで」の方が適当だとすると、「なくて」との違いは述部の意志性によるものだと考えたのですが、いかがでしょうか。あるいはこれはすでに「並列節」ではなくなっているのでしょうか。
1人でずっと考えていて、混乱気味なのですが、Oyanagiさんや梅林さんのお気づきの点をご指摘頂けるとうれしいです。
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[275] 例文その(2) 投稿者:かおりん 投稿日:01/10/30(Tue) 17:42

Oyanagiさん、再び失礼します。
また例文を考えていたのですが、下の例文では「ていないで」が「禁止」の意味にとられる可能性があるので、必ず「なくて」を使うのでしょうか。あるいはやはり後件のアスペクトの問題だと言えるのでしょうか。どんどん深みにはまっていきます。脱出の糸口があれば、お願い致します。
【同一主語の場合】
<辞書> ?セーターを着なくて、上着を着る。
      セーターを着ないで、上着を着る。
<過去> ?セーターを着なくて、上着を着た。
      セーターを着ないで、上着を着た。
<ている> セーターを着ていなくて、上着を着ている。
     * セーターを着ていないで、上着を着ている。
<ていた> セーターを着ていなくて、上着を着ていた。
     *セーターを着ていないで、上着を着ていた。
【主語が異なる場合】
<辞書> ?課長が話さなくて、田中さんが話す。
      課長が話さないで、田中さんが話す。
<過去> ?課長が話さなくて、田中さんが話した。
      課長が話さないで、田中さんが話した。
<ている> 課長が話していなくて、田中さんが話している。
     *課長が話していないで、田中さんが話している。
<ていた> 課長が話していなくて、田中さんが話していた。
     *課長が話していないで、田中さんが話していた。
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[276] まずは「反省」から 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/10/31(Wed) 05:14 <URL>

かおりんさん、こんにちは。
改めて自分の書き込みを読んでみると、変なところがいくつか。
かおりんさんの挙げられた例文を読んで気が付いたのですが、私が先の投稿で「並列」「対比」として挙げた例文は<状態表現>になっていますね。
「〜ています」とか「〜てある」とか、<状態表現>は基本的に形容詞と同様に扱うということで、「ない」→「なくて」と考えるほうがいいですね。
そうすると、私の先の投稿で※印をつけた文はまずい文ですね。反省(^_^;
------<引用開始>-------
(1)並列 「この食品には、Yは使われていない。Xが入っている」
     →◯「この食品には、Yは使われていなくて、Xが入っている」
     →※「この食品には、Yは使われていないで、Xが入っている」
(2)対比 「その食品にはXが入っていない。この食品には、Xが入っている」
     →◯「その食品にはXが入っていなくて、この食品には、Xが入っている」
     →※「その食品にはXが入っていないで、この食品には、Xが入っている」
------<引用終了>--------
※印の文はあとで、ニュアンスの違い示すつもりでいたのですが、その違いを示す文では<動作>の表現になっていました。※印の文はやはり<状態表現>ですから、「〜なくて」のみが正しいとするべきでした。深く反省(;_;)
そうすると、かおりんさんが疑問に思われたように、「並列」と「対比」は動詞の場合にはどう考えればいいのかということが改めて問題になります。
はたして、動詞文で「〜なくて、〜」という表現が「並列」とか「対比」と呼ばれる構文と関係があるのかどうか、かおりんさんが挙げてくださった例文を出発点にして考えてみたいと思います。
まだ具体的に考えがまとまっていませんが、かおりんさんが挙げた文をさっと読んでみて、一体その文がどのような意味で使われるのかが気になりました。?がついていない文(=成立するとした文)にしても、それがどのような場面で使われるのか、?がついている文はどのような文脈だったら「〜なくて」が使えるかなどと・・・。
それから、私も先の投稿では吟味しませんでしたが、「〜は」と「〜が」(有題文と無題文)の区別とかも考えてみる必要がありそうです。主語が異なる場合の例文で一方を「は」にしたら、両方を「は」にしてみたらどうなかなどと・・・。主語が同じ場合の例文でも目的語を「は」で取り立てたらどうなるかとか・・・。
ということで、具体的なコメントはまた改めて。
いつもながら刺激的な(:私にとってこれは『超ウレシーイ!』という意味です)ご指摘に感謝しております。
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[277] Re: 「ないで」と「なくて」の区別 投稿者:Shuji 投稿日:01/11/03(Sat) 10:14 <URL>

紅林さん、かおりんさん、Oyanagiさん、こんにちは。
興味深いテーマのうえに、かおりんさん、Oyanagiさんの問題提起に触発されて、私も少し考えてみました。
まず、紅林さんの示した文例を観てみます。
<知りもし(Oないで)(xなくて)、知ったかぶりをする。>
この場合の(ないで)は「Aしない状態で(それでも=譲歩)Bの結果が起きる」の意。
<食べられ(Oないで)(Oなくて)、苦しんでいる。>
この場合の(ないで)は、「Aしない状態で(それで=原因理由)Bの結果が起きる」の意。
(なくて)は、「Aしないという原因理由が続く間ずっとBの結果が存続する」の意。
(これらの用法の分類は私のサイトの掲示板にまとめているので参考にして下さい)
次に、かおりんさん提示の文例を観てみます。
1<この料理には油は入ってい「なくて」、酢が入っている。>
2<この料理には油を入れてい「なくて」、酢を入れている。>
(Shuji註:「入れる」の他動詞性を考えると、この文は
<この料理には油を入れてなくて、酢を入れてある。>のほうが自然かもしれません)
1、2の文とも「状態を示す動詞表現」+「なくて」の文で、「Aの状態でなくてBの状態である」
の意の用法です。
一方、
3、<この料理には油を入れ「ないで」、酢を入れる。>
は「AしないでBする(Aする代わりにBする)」の用法で、おっしゃるとおり、ここでは「なくて」は使えません。
その理由は、「なくて」がこの用法に使われるのが、
<(この子は)勉強し「なくて」、(あの子は)勉強する>
のように「前節と後節の主語が異なる場合」だからではないか、と考えられます。
以上、参考になればいいですが。
なお、私の掲示板にもこのテーマについて言及してありますので、ご覧になって下さい。
Shuji
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