こいけ さんのコメント
(2006/02/27 23:16:51)
はじめまして。
今、数量詞を教えていますが
靴下や靴を数えるときの数量詞で
「何足」は「なんぞく」と読むのでしょうか
それとも「なんそく」でしょうか。
教えて下さい。
発音のゆれ
oyanagi さんのコメント
(2006/02/28 23:05:11)
こいけさん、こんにちは。管理人のoyanagiです。
教えているのは、初級でしょうか。助数詞の導入は、不規則な発音で学習者も大変だなと思いまが、教える側も大変ですよね。
さて、ご質問の「〜足」の読み方ですが、現在「規範」とされているのは、『NHKことばのハンドブック』(NHK放送文化研究所編)の「数字の発音・用例集」(p.303-315)にあるとおり、
★「三足」(さんzoく)
ですが、「さんsoく」「なんsoく」と発音する人も少なくないと思います。
※「何足」は「三〜」と同じと考えていいと思うので、「なんzoく」でしょう。
※ひらがなですと、濁点の有無がわかりにくい場合があるので、ローマ字で書いておきます。
上記の図書では、「三足」の読みとしては、zoを挙げていて、soは並記されていません(=許容ではないですが、参考までに、助数詞の中で、このように【3〜】で「濁る」ものと「濁らないもの」の対立があるものを書いておきます。
初級レベルでは、
■三回(さんkaい)
三階(さんgaい)
■三件(さんkeん)
三軒(さんgeん)
ほかには次のようなものもあります。
■三貫(さんgaん)
三巻(さんkaん)
三缶(さんkaん)
■三升(さんjoう)
三章(さんshoう)
三勝(さんshoう)
対立はありませんが、濁るものとして次のようなものもあります。
■三尺(さんjaく)
■三寸(さんzuん)
このように「濁音」になることが上記の参考図書に記されているわけですが、今の若い人は濁らないで発音すると思っている人が少なくないと思います。いわゆる「発音のゆれ」であると言えます。
(→これについては最後に参考リンクをあげておきます)
「三階」については、若者ほど濁らない発音をしていることが、調査で明らかになっています。(→最後に参考リンクをあげておきます)
この類推でいくと、「三軒」や「三足」も濁らないで「さんkeん」「さんsoく」と読む人もいて、発音が揺れているのではないかと思いますが、確かなことはわかりません。
もっとも、「尺」「寸」などの単位は現在は使う機会もめっきり減りましたから、「アルプス一万尺(jaく)」や「舌先三寸(さんzuん)」のような慣用句となっているものを除けば、濁らないで読むと考える人がが多くなっているのはないかと思います。
ということで、私なら、
(1)「三軒」「三足」は【濁る発音】で教えて
(2)「三階」は【濁る発音】と普通に【濁らない発音】の両方があると教える
と思いますが、現実的な面を見えれば、(1)は、 <<【濁らない発音】をする人もいる>> と付け加えておくのがいいのではないでしょうか。
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参考図書と参考リンク
■「三回」と「三階」の読み方にみられる発音のゆれについては、国語審議会の記録に書き留められています。
文化庁の「国語施策情報システム」の次の階層に書かれています。
http://www.bunka.go.jp/kokugo/
>国語審議会の記録
>第20期
>言葉遣いに関すること」
>「4 その他、(1)語彙・語法等の問題
■「三回」と「三階」の読み方についての調査
『平成15年度 国語に関する世論調査』
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/frame.asp%7B0fl=list&id=1000001687&clc=1000000073%7B9.html
■助数詞の規則と例外の読み方については、日本語教育の参考書の中ではたとえば
『A DICTIONARY OF INTERMEDIATE JAPANESE GRAMMAR
日本語文法辞典 中級編』p.685-686
で、「三足」は「soく」ではなく、「zoく」であると書かれていますが、
「三階」については、「kaい」と「gaい」の二つをあげています。
以上、調べたことをまとめておきましたが、何か不明な点がありましたら、遠慮なくご質問ください。
「何足」に関して ありがとうございました
こいけ さんのコメント
(2006/03/03 21:56:23)
私自身「なんZOく」という言い方に違和感を覚えていたのですが「ZO」が正しいとしり、勉強になりました。
教えているのは初級で、中国の大学生です。日本で教えているわけではないので、また色々と問題が出てくると思いますがその際はまたご指導宜しくお願いします。