マンボ さんのコメント
(2005/11/11 09:50:33)
こんにちは。
私はボランティアで日本語教師を始めたばかりの者です。
どなたか、教えていただければと思い書き込みさせていただきます。
形容詞のテ形ですが:
× 私の部屋は狭くて、キレイです。
○ 私の部屋は狭いですが、キレイです。
なぜ×の方は駄目なのか、学習者(「みんなの日本語」L15まで既習)に
道説明すれば分かってもらえるかで悩んでいます。
ついでに上記にも通ずる事かもしれませんが、
形容詞のテ形並列を導入するにあたってその形容詞の持つ性質によって
+の意味と−の意味のものがありますよね。あれもどう説明すればいいのか
困っています。やっていくうちにどんどん混乱して来ています(^^;)
例えば(イ形容詞なら):
この家は新しくて、安いです。 → + くて +
この家は古くて、高いです。 → − くて −
になりますよね。これも「この形容詞は+」と、言うふうには教えられない
なぁーと思いどつぼにはまりました。
どなたか分かる方、教えていただけますか?お願いします。
練習の落とし穴
Oyanagi さんのコメント
(2005/11/13 02:34:55)
マンボさん、こんにちは。管理人のoyanagiです。
形容詞をプラスイメージとマイナスイメージにわけて、て形で並列させる場合には、「プラス+プラス」「マイナス+マイナス」とするという考え方は、分かりやすいですし、実際に指導書の中にはそのように書いてあるものもあります。
しかし、利便性のある反面、重要な点を見落とし、落とし穴に落ちてしまうおそれがありますので、注意が必要です。「〜て」の並列がどのようなものなかのをしっかり理解して、その上で練習する単語を吟味しておくのがいいと思います。
■「〜て〜」形容詞の並列の原則
並列の基本は、順接と逆接です。
★順接:二つのことが対立しない。
★逆接:二つのことが対立する。
「〜て〜」の並列の原則は、順接の接続です。
逆接の場合には「〜が」「〜けれども」を使います。
実は、「プラス+プラス」が“見かけ上”うまく説明できそうに感じるのは、順接が「二つが対立しない」ということなので、「プラス」と「プラス」は対立することが(しないことより)多いからに過ぎません。
マンボさんが書かれた最初の例文はこの原則に従っています。
(1)× 私の部屋は狭くて、キレイです。
(2)○ 私の部屋は狭いですが、キレイです。
これは、見かけ上。“一つ一つの言葉を考えれば”「狭い」はマイナスで、「きれい」はプラスですが、本当は“二つの関係を見て”どうなのかを考えなければいけません。つまり、
★一方が「マイナスイメージ」で他方が「プラスイメージ」で、この二つは“対立”するから、「〜て」は不適切だ
と考えなければいけません。
対立しないということは、単語そのものが中立的で、プラスやマイナスイメージを喚起しないものも含まれます。
ですから、たいてい初級の形容用の並列には、「色」の形容詞を一方に使わせるものが入っています。
(3)彼女は、髪が長くて、黒い。
(4)あの黒くて大きい箱を持ってきてください。
■プラスとマイナスの説明でうまくいかなかったのか
(5)この家は、新しくて、安いです。
+ +
これを、単に「プラス」同士だからという見かけ上の特徴で処理しようとすると落とし穴に落ちてしまいます。
原則は、順接になっているか、二つが「対立しない」関係になっているかです。
そのような視点で見れば、「新しい」ことと「安い」ことは通常の考え方からすれば「対立しています」
つまり、普通は「新しければ高い」と考えるからです。
(6)この家は、古くて、高いです。
− −
これも同様です。「古ければ安い」と考えるのが普通ですから、「〜て〜」で並べることはできません。どちらも逆接になるので「〜が〜」を使うことになります。
このような原則を理解した上で、組み合せる単語をあらかじめ吟味して提出するようにすれば、落とし穴に落ちることはないでしょう。
■まとめ
一つ一つの単語がプラスなのかマイナスなのかと考えてはいけません。
並列の用法の原則は、「順接」か「逆接」か、つまり二つの関係をみなければいけません。
以下、蛇足ですが、順接のバリエーションと原則からはずれるものを書いておきますので、参考になさってください。
■蛇足
順接の中には「対比」と呼ばれるものがあります。この場合は、「Aは・・・て、Bは・・・・」のように、二つが「〜は」によって示されるのが普通です。そして、この場合は、対比ですからAの内容とBの内容は、反対のものが入ることがあります。つまり、プラスイメージとマイナスイメージのものが入ることがあるということです。
(7)この本は新しくて、その本は古いです。
また、「〜て〜」は順接が原則ですが、逆接になる場合が全くないわけではありません。たいていは慣用的な言い方です。
(8)彼はそのことを知っていて教えてくれなかった。
(9)木を見て森を見ず。
以上です。何か不明な点がありましたら、遠慮なくご質問ください。
形容詞のテ形 導入授業終わりました
マンボ さんのコメント
(2005/11/17 17:01:07)
こんにちは。
oyanagiさん、コメントありがとうございました。
実は前にも「トム」という名前でこちらに数の数え方を質問させていただいた事があります。あの時同様、とても丁寧にご返信くださってありがとうございます(*'‐'*)
さて、授業は終わってしまいました。
緊張と冷や汗でダッシュで逃げたい気分でしたがとにかく無事終了です。ココに書き込みをしたあとでも「学習者が何を習いたい(=覚えたい=使いたい)か」、「どうすればわかりやすく説明できるか」など色々考えていました。
結局 + − という説明の仕方をしましたがそれは話し手の文脈によって違うんだよ、というふうにしました。
oyanagiさんの言う通り、逆説もあるんですよね。
ですが今回は逆説は何一つ説明しませんでした。(この課では並列の導入という形だったので) ただ、質問が来るかも?と思い準備はしましたが(笑)。
+ + のもの
− − のもの
+ − のもの
0 0 のものがあるんですよね
(0は評価なし。oyanagiさんの言うように:彼女の髪は黒くて、長い のようなもの)
毎回難しいなぁ(´ー`;)と思いながら足りない脳みそをひねってひねって、もう何も出て来ないっ!ってくらいひねってやっています。今回は学習者も理解してくれて、最後の運用あたりでは笑いも飛び出すクラスでした。(内心かなりホッとしました(笑)。)これからも自分のペースで頑張りたいと思います。
これからもよろしくお願いします(*'‐'*)
今回もありがとうございましたm(_ _)m
お疲れさまでした
Oyanagi さんのコメント
(2005/11/17 20:25:04)
授業お疲れさまでした。
テ形の導入なので、「逆接」となる用法はもちろんなしですね。
初級の導入と練習の場合、文法についてどの程度説明するかは、教師の判断によります。初級前半だと、説明よりは、適切な例と「しっかりと準備された」ドリルが重要になるでしょう。
何でも最初からうまくいくということはないと思います。私もそうでしたけど、失敗を重ねて、それを次回にどう生かして授業できるかがポイントだと思います。
たとえ、「これがベストな導入方法だ」というのが書かれてあっても、それをする教師が10人いれば10の授業が生まれるはずです。要は、お仕着せのやり方よりは、自分で考えて、やってみて、そして直して行くという姿勢だと思います。
この掲示板も、そんな方のお役に(少しでも)役立てばと思っています。どうぞまた(いつでも)いらっしゃってください。