「友」と「友達」;「たくさんのお金が欲しい」と「たくさんお金が欲しい」 [コメントする]

「友」と「友達」;「たくさんのお金が欲しい」と「たくさんお金が欲しい」


笑陽 さんのコメント
 (2005/08/26 15:56:23 -
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日本語は母語ではないから、どうしても分からないことがある。
昨日、授業した時、生徒さんから「友」と「友達」どう違うか;「たくさんのお金が欲しい」と「たくさんお金が欲しい」どう違うかと質問された。
日本人の友人に聞いて、答えはどうしても足りないところがあると感じる。
友達の答えは以下のように書いた:


「友達」が一般的で、話し言葉としては「友達」だけと考える。「友」は、小説とか散文に見かけるくらいだ。
「たくさんのお金」の場合、「たくさん」は「お金」を修飾している。「たくさんお金」の場合は必ずあとに動詞がきて、「たくさん」はその動詞を修飾するのだ。



でも、私の考えは、「友」はもっと種類的な意味がある。例えば、インタネットで調べると、よくママ友、アホ友、ギャル友など言葉を見られる。
日本人の友達に聞いたとき、「たくさんのお金」と「たくさんお金」はどう違うだけ聞いた、でも、後ろ「がほしい」についてる時、この説明は不十分だと思う。「欲しい」は形容詞、動詞ではないだから。
皆さんのご意見と考え方ぜひ教えてください。よろしくお願いします!


「ネット友達」が「ネッ友」になるわけ

Oyanagi さんのコメント
 (2005/08/28 11:30:19)

笑陽さん、こんにちは。管理人のOyanagiです。

「友達」と「友」の違いについてですが、笑陽さんの友達の答えは基本的に間違っていないと思いますが、少し補足しておきます。

■一般的な単語とそうでない言葉

「友達」と「友」に限らず、意味がほとんど同じ言葉というものはたくさんあります。それがどのように使い分けられているかというと、例えば、「日常語(一般的な語)」と「そうではない語」という区別があります。「そうではない語」というのは、硬い言葉だったり、書き言葉的だったり、一部の人が使う語だったり、特別なニュアンスがあったりする言葉です。

今回の「友達」と「友」を考えると、次のような”日常的に使う会話文”で「友達」を「友」に使うと不自然です。
「友」を使うと、かしこまった印象を与えますし、何か修飾語がつかないと落ち着かないでしょう。
「友」は、はやり、書き言葉で使うか、硬い印象を与える内容を話す場合に使うのがいいでしょう。

○「こちらは、わたしの友達で、田中さんです。」
          ?友で、
○「わたしの友達を紹介します」
     ?友を
○「きのう友達の木村さんに会いました」
    ?友の
○「困っているときに、犠牲を払ってでも助けることができるのが真の友/友達である」
○「わたしは、良い友/友達に恵まれて幸せだ」

■造語成分としての「友達」と「友」

「友」は書き言葉的な言葉だというのは、それが一つの独立した単語として使われる場合です。
笑陽さんが、書かれたような「ママ友」「ギャル友」というのは、「〜友」のように、ある言葉と組み合わさって新しい言葉を作る場合です。

このような造語成分として考える場合、次ような傾向があると言えると思います。
「○○友達」:一般的な単語で、そんなに数はない。
       ※これは「 」が一つの単語となる場合のことで、「昔から知っている友達」のようなものは含みません。
       例:男友達、女友達、幼友達(おさなともだち)、飲み友達、遊び友達

「○○友(○○とも)」:これまでは、「○○・・・・友達」と説明していたものが、
      特に若者の間でリズム感のより「○○友」と造語されたもの。
      例:「メールでやりとりする友達」→「メル友」
        「母親(=ママ)同士の友達」→「ママ友」
        「同じクラスの友達」→「クラ友」
        「同じギャル系同士の友達」→「ギャル友」

つまり、「○○友」というのは、若者言葉的で、俗語という印象を与えるものが多いと思います。
見方を変えると、「○○友」というのは、造語力が強く、なんでも短くして「○○友」という言葉を作ることができるとも言えます。例:「貧乏同士の友達:→「ビン友」とか(^^;
インターネットで検索すると、「ネッ友」という用語があるようですが、これも「ネット友達」という普通の(説明的な言葉)を、より身近で俗語的な言い方にしたものが「ネッ友」だと言えると思います。

<注1>
上の説明は「友」を「とも」と読む場合です。「友」を「ユウ」と音読みする場合は、「親友」「旧友」「旧友」「悪友」のように普通の言葉として、定着しているものが少なくありません。

<注2>
「友」は書き言葉的で硬い印象を与えると書きましたが、昔から使われている慣用句には、例えば「竹馬の友」「類は友を呼ぶ」のような使いかもと残っています。このような慣用句は、いくら会話で使うといっても、固定した言い方ですから「友」という言葉を使います。ほかにも、例えば「oyanagiの勉強部屋 友の会」という言い方にみられる「友の会」も固定した使い方で、「友達」で言い換えることはできません。

<注3>
それ以外にも、「〜になる」という場合は、「友達になる」という言い方しかないので、硬い表現にしたいと思っても「山田さんと友になる」という言い方はしません。


数量副詞について

Oyanagi さんのコメント
 (2005/08/28 22:28:02)

笑陽さん、こんにちは。
もう一つの質問の「たくさん」と「たくさんの」ですが、これも基本的に笑陽さんの友達の言われたことでいいと思いますが、少し補足しておきます。

まず何を修飾するかということですが、「たくさん」は副詞として【述語】を修飾すると言えば、問題ないでしょう。動詞も形容詞も修飾することができます。そして「たくさんの」は名詞を修飾します。

■意味は同じ

それで、「たくさんお金がほしい」と「たくさんのお金がほしい」の意味についてですが、これは同じだと言っていいと思います。数量をあらわす言葉はその位置によっては、意味が異なる場合がありますが、「たくさん」のような量を表す副詞は、次の(1)〜(3)の文ができて、どれも意味は同じだと思います。
ただし、最も自然な語順は(1)だと思います。
(1)お金が<たくさん>ほしい。
(2)<たくさん>お金がほしい。
(3)<たくさん>のお金がほしい。

「たくさん」のような<量>を表す副詞は、本来の用法として「たくさん・・・動詞/形容詞」となる場合のほかに、「の」をつけて、「たくさんの名詞・・・・」のように名詞を修飾することができます。
このような副詞はほかに、<いっぱい><少し>などがあります。
「いっぱいご飯を食べる」/「いっぱいのご飯を食べる」
「少し勇気が必要だ」/「少しの勇気が必要だ」

(1)と(2)は「たくさん」が副詞として、「ほしい」という述語を修飾しています。
(3)は「〜の」をつけて、「お金」という名詞を修飾しています。
このように修飾関係は異なっても、結果として、「ほしい物」=「お金」なので、意味していることは同じになります。

(1)(2)は話し言葉として普通に使われる文型ですが、それと比べて(3)はやや硬い印象を与えるという違いはあるかもしれません。

<注意>
これが、例えば、「20ページの論文を読む」と「論文を20ページ読む」「20ページ論文を読む」は意味が異なる、ということは、ここでは触れません。

■制限があって、使えない場合があることについて

(1)(2)のような位置に「たくさん」を使うことができるのは、原則として文型が「〜が+述語」「〜を+述語」になっている場合に限られます。それ以外の場合には、同じ意味で使うことができないか、意味が解釈できません。

このような意味の違いが出るのは、上で説明したように、(1)(2)は副詞で述語を修飾していて、(3)は「〜の」で名詞を修飾しているからです。「〜が」「〜を」では、たまたま結果的に意味が同じになるのですが、それ以外では、修飾関係の違いから意味が異なることになります、

(A)「<たくさん>の+名詞+を+述語」の場合
 「たくさんのお金を失った」
 =「たくさんお金を失った」
 =「お金をたくさん失った」

(B)「<たくさん>の+名詞+が+述語」の場合
 「たくさんのお金が消えた」
 =「たくさんお金が消えた」
 =「お金がたくさん消えた」

(C)「<たくさん>の+名詞+に+述語」の場合
 「たくさんのお金に目がくらんだ」=
    意味:お金がたくさんあって、それに目がくらんだ。
 =×「お金にたくさん目がくらんだ」
 =×「たくさんお金に目がくらんだ」
    意味:何回も目がくらんだ

 「たくさんの人に会った」
    意味:会った人がたくさん。
 =×「たくさん人に会った」
 =×「人にたくさん会った」
    意味:会った回数がたくさん。
<注意>
「〜に会う」は微妙ですが、やはり意味していることは違います。
同じ人(山田太郎)に会う場合には、
「たくさんの山田太郎に会った」とは言えませんが、
何回も会ったという意味で、
「たくさん山田太郎に会った」「山田太郎にたくさん会った」とは言えます。


(D)「<たくさん>の+名詞+で+述語」
 「たくさんのお金で良い人材を集める」
     意味:お金をたくさん使って良い人材を集める
 =×「お金で良い人材をたくさん集める」
 =×「たくさんお金で良い人材を集める」
     意味:お金を使って良い人材をたくさん集める

このように、
★「<たくさん>の+名詞+助詞+述語」でしか言い表せないものもあります。

■まとめ

「<たくさん>の+名詞+が/を+述語」の場合は、
「<たくさん>+名詞+が/を+述語」
または
「名詞が/を+<たくさん>+述語」と意味が同じになります。
ただ、「〜の」のほうは、やや硬い印象を与えます。

そして、「が」「を」以外の場合は、そのような言い換えができない場合もあるし、意味が異なる場合もあります。
「<たくさん>の〜」でしか言えないものは、上のような言い換えができません。

このような違いは、「たくさん」のような量を表す副詞に共通して言えることです。


笑陽 さんのコメント
 (2005/08/29 09:40:23)

はい、Oyanagi さんの説明を読んでちゃんと分かりました。ご親切どうもありがとうございます:)


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