質問者 さんのコメント
(2005/06/10 20:35:01)
以下の「で」の使い方がよく分かりませんので、教えていただけませんでしょうか
A 先生の会話の授業(で)は、いつも活発なやりとりが行われています。
B 上海の町(で)は、いつも交通が混雑しているので、李さんは二度もひどい目にあいました
A文とB文の中の助詞「で」の使い方はそれぞれ何でしょうか
以上よろしくお願いします
どんな「で」を知っていますか?
Oyanagi さんのコメント
(2005/06/10 22:03:32)
質問者さんへ
こんにちは。管理人のoyanagiです。
せっかく投稿してくださったのに、つれないレスで申し訳ありません。
>「で」の使い方はそれぞれ何でしょうか
と書かれていますが、投稿の内容からは、質問者が外国人なのか日本人なのか。日本語学習者なのか、教師なのかわかりませんので、どのように答えたらいいのか、ちょっと困っています。
例えば、
■AもBも「限定」を表す「で」です
と答えるだけで解決するものであればいいのですが・・・・。
質問者さんは、
★どんな「で」なら理解できるのでしょうか?
★その理解できる「で」と投稿された「で」とはどうして違うと思ったのでしょうか?
できれば、この二つについて教えていただけますか。どんなことで困っているのか、もう少し具体的にわかれば、適切なお答えができると思います。
おはようございます
質問者 さんのコメント
(2005/06/11 09:22:10)
私は日本語学習者です。日本語を習い始めてからまもなく三年になりますが、どうぞよろしくお願いします
個人的には、文Aの「で」は手段を表しています。
文Bの「で」は場所を表しているかと思います。
例えば:「田中さんが教室(で)本を読んでいます」この文の中の「で」も場所を表していますね。しかし、なんか文Bの中の「で」の使い方とは多少違うように思いますが、ちょっと分かりませんので、教えていただければうれしいです。
よろしくお願いします
「用法のつながり」の考え方
Oyanagi さんのコメント
(2005/06/12 02:07:53)
質問者さん、 こんにちは。レスをありがとうございます。
「で」の用法を考える場合だけはありませんが、用法が何か考えるときには、それが一番よくあてはまるものと少し違うかなと感じるものがあります。その点を中心に、「で」の用法の考え方を書きますので、参考にしてください。長いので、急ぐようでしたら、■まとめだけ読んでもいいです。
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【Aの「で」の用法について】
Aの「で」を手段と考えているようですが、私は「手段」よりも「場所」と考える方がいいと思います。
>A 先生の会話の授業(で)は、いつも活発なやりとりが行われています。
■「場所らしい場所」「手段らしい手段」
例えば、「勉強する」という動詞の場合をイメージしてください。
「教室で勉強する」だったら、「で」は場所を示すとすぐわかりますね。
これは、「教室」がとても「場所らしい場所」だからですね。
「はさみで紙を切る」だったら、「で」は手段を示すとすぐわかりますね。
これは、「はさみ」がとても「道具らしい道具」だからですね。
それでは、Aの文の「授業」はどうでしょうか。普通は「場所」だとは思いませんね。それでは、「手段」でしょうか。上の「はさみ」と比べると、「道具らしい道具」ではありません。
■文全体を考えてみる。
これでは、はっきりしないので、文全体で考えてみましょう。
(1)「先生が 教室で おもしろい話をした」
(2)「先生が 授業で おもしろい話をした」
(A)「先生の会話の授業で 活発なやりとりが行われている」
上の(1)と(2)を並べてみると、何か共通しているものがあると感じると思います。
つまり、「話をする」という動詞の場合、
・それをする人
・それをする場所
この二つがまず大切な情報となるからですね。上の(1)の例では、
・それをする人=先生
・それをする場所=教室
となります。
それでは、(2)はどうでしょうか。
★「授業」を「場所」のようにみることはできませんか。
「場所」という言葉は変だったら、【場】と考えてもいいと思います。
・それをする人=先生
・それをする【場】=授業
最後に、Aの文はどうでしょうか。受身になっている文を普通の文に戻してみます。
(A’)「学生が 授業で 活発なやりとりを行っている」
・それをする人=学生
・それをする【場】=授業
このように「授業で」は「やりとりが行われている」場所と考えるほうが、「手段」と考えるよりいいと思います。
■具体的→抽象的
上で考えたことをもう少し進めると、「具体的」な場所を示すのか、それとも「抽象的」な場所を示すのかの違いだと言うこともできます。
★具体的な場所=目でみることができる空間=場所らしい場所
・教室
★抽象的な場所=【場】
・授業
次のような「論文」「仕事」も、用法としては、「場所」の「で」と考えるのが一般的な見方だと思います。
(4)この論文では、○○についての考えが詳しく述べられている。
(5)新しい仕事で、ミスをしてしまった。
ここまで考えてみると、「で」の用法は「述部が示す内容について、範囲を限定する」していると言ったほうがいいかもしれませんね。
■動詞を変えてみれば
さて、文全体で考えるとAの「で」は「場所」を示すと考えたほうがいいと書きましたが、動詞が変われば、「手段」の意味が強くなることがあります。
(A)先生の会話の授業で 活発なやりとりが行われている。
(=授業という場で)
(3)先生の会話の授業で 交渉術を身につけた。
(=授業で教えてもらうことによって)
こもちろんこの文でも「授業で」は【場】の意味で解釈するほうがまだ強いと思いますが、Aより「手段」の意味が少し強くなると思います。
それは「授業で」=「授業で教えてもらうことによって」という意味に解釈するからだろうと思います。さきほどのAの場合は、「授業で」=「授業という場で」という意味に解釈されています。
■Aの「で」のまとめ
「授業」は、「教室」のような「場所らしい場所」ではないけれども、広く考えて、「それが行われる【場】」と見れば、場所の「で」だと考えることができます。
そして、Aの文のように「活発なやりとりが行われている」という述部の場合は、手段の解釈より場所の解釈のほうが自然です。
具体的な場所は、それとすぐわかりますが、Aのような名詞の場合には、抽象的な場所(=場)を示す用法だと考えればいいでしょう。
【Bの「で」の用法について】
「上海の町」という言葉は、場所を表す言葉ですから、「で」は場所を示すと考えていいと思いますが、「田中さんが教室(で)本を読んでいます」の「で」と違うのかどうか考えてみましょう。
■文全体で考えてみる
Aでしたように、文全体を見てみましょう。
(4)田中さんが 教室で 本を読んでいる。
・それをする人 =田中
・それをする場所=教室
(B)上海の町では、いつも交通が混雑しているので、
李さんは二度もひどい目にあいました。
この文は「〜ので」の文と、そのあとの文の二つがありますね。
(ア)
・混雑しているものもの =交通
・混雑している場所=上海の町
(イ)
・ひどい目にあった人 =李さん
・ひどい目にあった場所=上海の町
(イ)の場合は、「で」は場所だと考えていいですね。問題は(ア)の場合ですね。
■状況が成立する場所(=範囲)を示す「で」
次の文の「で」を考えてみてください。
(5)田中さんはクラスで一番背が高い。
「で」はいつも動作を表す動詞と一緒に使われるわけではありません。
(5)では、「背が高い」という文ですね。このような文の場合、確かに「で」は場所をしめしますが、「動作をする場所」や「できごとが起こる場所」ではなくて、「背が高い」という状況が成立する場所(=範囲)を示しています。次の(5)(6)もそうです。
(6)日本では、車のハンドルは右ですが、アメリカでは左です。
(7)日本では、そのような結婚式は一般的ではありません。
さて、問題のBの前半の文は、このような「で」と同じだと考えてもいいと思います。
つまり、「教室で本を読む」のような「動作」の場所ではなくて、「いつも混雑している」という状況が成立する場所のことですね。
ただ、「混雑している」の場合は、状態を表していて、形容詞のように使うことができますから、次のように「で」を使わないで、「〜は」だけで言うことも可能です。
(8)上海は、いつも交通が混雑しているので、・・・。
■Bの「で」のまとめ
Bの「で」は前の文にかかる場合も、後ろの文にかかる場合も、場所の「で」と考えることができます。
ただ、前の文にかかる場合は、「動作の場所」示す「で」とはちょっと違って、述部が示す内容が成立する場所(範囲)を示す用法になっていると考えることができます。
■全体のまとめ
「場所」の「で」といっても、はっきりとした「場所」から抽象的な「場所」、そして状況が成立する「場所」まで“幅が広い”です。どの文がどれになるかは、「〜で」の「〜」の単語だけでなく、文全体(=述部)をよくみて考えなければいけないと思います。
以上です。何か不明な点があったら遠慮なくご質問ください。
どうもありがとうございます
質問者 さんのコメント
(2005/06/12 16:21:01)
早速の回答どうもありがとうございます。詳しくご説明いただきまして、本当に感謝にたえません。
とても参考になりました。
これからもよろしくお願いします