いく さんのコメント
(2005/03/10 22:30:31)
今日熱心な学生から質問されて、今まで考えたこたがなかった「必要ない」の「必要」の品詞は何か、ということで悩んでいます。
文化中級日本語第2課の読解に、「敬語は必要ない、……と考えるひとがいる。」という文があります。
「必要」を名詞と考えると「必要は/がない」のはずですし、ナ形なら「必要ではない」のはずです。
学生は、「これは省略ですか。」と聞いてきました。
でも、読解の「書き言葉での主張」に、話し言葉のような助詞の省略があるのも不自然です。
「必要ない」は「情けない」のようなイ形なのでしょうか?
動詞を付けると「話す必要は/がない」は言えるけれど「話す必要ない」とは言えないし(書き言葉では)、他の活用もイ形と同じようにできると思われるのですが‥。
御意見をお聞かせください。
複合語
Oyanagi さんのコメント
(2005/03/10 23:18:53)
いくさん、こんにちは。
「必要」の品詞は、その意味と活用から考えて、(一部の辞書にも品詞の表示があるとおり)、名詞と形容動詞の両方の場合があると言えます。
それで、ご質問の「必要ない」ですが、いくさんもお気づきのように、「名詞+ない」で形容詞になった語だと言えます。
このような「ない」の使い方については
ウェブ上の大辞林の「ない」の項目にも解説があります。
→http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?id=1441600-0000&kind=jn&mode=5
(9)の項目をご覧下さい。
「情けがない」→情けない
「頼りがない」→頼りない
などと同じグループとなりますが、上の例が「が」がある場合とない場合で微妙にニュアンスが異なるのと比べると、「必要がない」と「必要ない」はそれほどの差は感じられませんね。その意味で ”単に助詞が省略されている”という印象を与えるのかもしれません。
その点では、「仕方がない」と「仕方ない」のような例と近いのかもしれません。
「必要ない」で形容詞(複合語の形容詞)だと考えれば、「〜する必要ない」のように連体修飾ができないのも理解できます。連体修飾は名詞にかからないければいけないからです。
ただ、「必要なし」となった場合には、「〜する必要なし」という言い方は普通に使われていますね。「なし」のような文語が続く場合には、二語が一体化して形容詞になるというよりは、「〜する必要(は)なし」のように考えるのでしょう。
ということで、助詞が省略されているかどうかという点から見れば、
*「必要ない」は一体化して複合形容詞になった語
*「必要なし」は名詞としての「必要」の働くを残している
と言えると思いますが、いくさんはどのように思われたでしょうか。
ところで、「ない」を語尾に持つ形容詞については、勉強部屋(ch5)の文法考察ファイルの#32と#39にアップされていますので、興味があればどうぞご覧下さい。