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「後程」の使い方


ゆたぽん さんのコメント
 (2004/08/13 19:43:04)

Oyanagiさん初めまして。

最近気になっているのですが、よく会話やメールなどで、後で返事をする際に「後程返事をします。」などといいますが、この「後程」はどのくらいの期間まで有効なのでしょうか?
私としては、数時間から当日以内と受け取っております。
というのも、「後程」と言って当日以内に返事をくださる人も入れば、半年から1年以上経過しても返事がない人がいらっしゃったので、どうもこの言葉の用法に確信が持てないのです。
お手数ですが、何か良い知恵をお貸し下さいませ。


二つを分けて考えてはどうでしょう

Oyanagi さんのコメント
 (2004/08/16 00:42:23)

ゆたぽんさん、こんにちは。

この勉強部屋へのご訪問客はひさしぶりでして、ちょっとびっくり・・・・(^^;

さて、「のちほど」がどのくらいの期間を指すかですが、ここでは2つのことを区別して考えたほうがいいと思います。
まず(1)「のちほど」が慣習的にどの程度の期間を指すのかとうこと、
次に(2)「のちほど」をどのような意図、態度で使われるかということ、

■(1)について

(1)についてですが、これはゆたぽんさんのお考えでいいのではないかと思います。
 『大辞林』:少し時間があってから
 『新明解国語辞典』:少し時間があった時(に)
この意味が(1)であると考えていいでしょう。
ですから、通常は
「それでは、後ほど連絡します」
「それでは、後ほど説明します」
と言われれば、多くの人は、当日のうちに連絡が来ること、説明があることを期待するだろうと思います。
もし翌日になったら「『後ほど』と言ったのに、どうしたんだろう???」と思う人が多いのではないでしょうか。

ただ、辞書の意味にしても「少し」という相対的な形容詞を使っていますから、絶対的に「何時間」とか「何日」とかは決められないでしょう。そうすると、やはり「少し時間」とはどのくらかいかという疑問が生じますが、その場合は、自身の語感に頼ることになりますが、ちょっと不安になら、100名くらいにアンケートして統計をとってみると、どのくらいの期間が多くの人の共通した認識なのか見えてくると思います。(1)の「慣習的」にとはそのような意味で使っています。

■(2)について

(2)についてですが、「のちほど」は、慣用的には、
★「すべきことを少し時間があってからする」という意図、態度で使うことが多いのではないでしょうか。

相手に対して、とりあえず「のちほど」と答えておいて、結局すべきことをしない人というのは、世の中には少なくないだろうと思います。そう考えれば、1年以上たっても連絡が来ないからといって、その人が「後ほど=1年以上たって大丈夫」と考えていることにならないでしょう。そう考えるよりは、社交辞令として「のちほど=あとですぐに」と言ったものの、それができなかった、と考えるのがいいのではないでしょうか。

※簡単な例で言えば、「今すぐ行くよ」と言った人がなかなか現れなかかったからといって、「今すぐ」の意味を疑うことはなく、この人は「今すぐ」という意図を実現させられなかったと考えるほうがいいというわけです。
ということで、【「のちほど」と言ったのに何年たっても音沙汰ない人】のことで「のちほど」の意味を考え直す必要はないと思います。

■補足(意味の拡張について)

ただ、「コア」の意味から拡張している部分は、少し考えておいたほうがいいかもしれません。ここで言う「コア」というのは、多くに人が共有している意味のことで、代表的には辞書に書かれているような意味(=1)です。どの言葉にも程度の差こそあれ、意味の「ゆれ」というものがありますから、「のとほど」の期間も場合によっては、翌日以降に及ぶ場合もあるかもしれません。
たとえば、うちの会社では、社員が次のような言葉遣いをします。
(ちょうどぴったりの例があったのでここで紹介します)

相手「申込書を送ってください」
 (住所、氏名などの聞いたのちに)
社員「それでは、のちほどお送ります」

これを最初に耳にしたときは、ちょっと違和感がありました。というのは、実際の「郵送する(=投函する)」という行為は必ずしも当日に行われるとは限らず、翌日または翌々日の場合もあるからです。発送に3日くらいかかると言っておきながら、最後に「それでは、のちほどお送ります」というのは、どんなんだろうかと。
これを(1)の拡張の例とみることもできると思います。
「ある程度時間がかかるとの了解が得られるもの」については、「のちほど=数日」の場合もあると考えていいのでしょうか。この考えが正しいとすると、「のちほど調査いたします」なんかも、数日にわたってもよさそうな気がしてきますね。冒頭に挙げた「のちほど説明します」も「説明」の種類、内容そして文脈によっては、翌日の場合もありかなという気がしてきます。

それとは別に、(2)が(1)に影響して、(1)の意味が拡張すると考えることもできると思います。これは(2)の意識の影響で、本来は使えない期間についても、使ってしまうということです。
つまり、(2)の意識(=相手に対して、すべきことを少し時間があってするという態度を示す)が働くことで、本当は当日処理できなことだとわかっていることについても「のちほど」を使ってしまったということです。ただ、さすがに、1週間後に送ることがわかっている場合には、「のちほどお送します」とは言っていないようですから、意識が先行するといっても、コアの意味がいくらでも延びるというわけにはいかないようです。
(※絶対に言っていないかというと疑問符がつきます。というのは、「口癖」となって形式的に言っている可能性もありです。)

以上まとめると、一方で「コア」の意味は慣習的に決まっている(=1)けれども、「何をするか」によって、または対人態度(=2)の意識の強さによって、ある程度拡張すると思います。ただし、拡張といっても限度があって、やはりコアの意味を中心に少しだけと言えると思います。「1年たっても連絡がない」のは、「のちほど」の期間の解釈に問題があるのではなく、そのように意図したことが単に実現しなかったことだと考えるのがいいと思います。


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