接辞の「お」と「ご」 [コメントする]

接辞の「お」と「ご」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/13 23:20:12)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

[167] お・と・ごの違いは何ですか? 投稿者:banana10s 投稿日:01/06/14(Thu) 04:27

私は初心者です ちょっと質問なんですが あるある人から質問されま
した お弁当・お茶 などの お・と ご理解・ご無理などの ご・の
違いはなんですか?法則はありますか?もし宜しければ 教えて下さい
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[169] (1)「お」「ご」の区別 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/06/14(Thu) 18:45 <URL>

banana10sさん、<勉強部屋>へようこそ。
「お」と「ご」の区別についてのご質問ですね。
敬語は一般に『尊敬語』『謙譲語』『丁寧語』の3つに分類されています。他の分類もありますが、外国人に教える上ではこの3つ(またはあとに書く『美化語』を加えて4つ)でいいと思います。
「お」「ご」がつく名詞の分類はこのどれかに当てはまるのですが、それについては別のツリーで書くことにしてまずは「お」と「ご」の区別について一般的に言われていることを書きます。
例えば、『外国人のための日本語 例文・問題シリーズ』という荒竹出版から出ている練習問題付き参考書があります。これはタイトルが示すとおり外国人が自習できるように作られたものですが、文法点のまとめがすっきりしていて、教師が見ても役に立ちます。このシリーズの10が敬語で、「お」と「ご」の区別についてこの参考書では次のようにまとめています。
+++++++++++++<引用開始>++++++++++++++++
1 和語(もともとの日本語)には普通オをつける。
  「お所」「お考え」「お招き」
  「お湯」「お鍋」「お皿」「お箸」
  「お忙しい」「お暑い」「お高い」
  【注】和語でもゴがつくものが少しある。
     「ごひいき」「ごゆっくり」
2 漢語(漢字の音で読む語)には普通ゴをつける。
  「ご住所」「ご意見」「ご招待」
  「ご職業」「ご質問」「ご利用」
3 漢語でも漢語的意識のうすくなったものはオをつける。
  「お宅」「お茶」「お肉」
4 日常生活でよく使われる言葉は、漢語でもオをつけることが多い。
  「お料理」「お弁当」「お菓子」「お食事」「お洋服」「お蒲団」
  「お電話」「お時間」「お風呂」「お世話」「お勉強」
  【注】「ご返事」「お返事」などのように、両方使われているものもある
5 外来語には原則としてつけないが、つける場合にはオをつける。(美化語としてのみ)
  「おソース」「おビール」「おズボン」
+++++++++++++<引用終了>++++++++++++++++
ということで、ご質問の「お茶」「お弁当」の「お」はそれぞれ3と4の例で、「ご理解」「ご無理」の「ご」は2の例ですね。
法則と言えば、1と2が原則で、意識の変化・慣用によって3、4のように「お」がつくようになったと言えるでしょう。
あと補足で、次のツリーで「お」「ご」の分類を書いておきます。
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[170] Re:(2)「お」「ご」の分類 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/06/14(Thu) 18:48 <URL>

簡単にまとめると、『尊敬語』は<相手側の行為・状態を高める>ことで、『謙譲語』は<自分側の行為・状態を低める>ことで尊敬すべき人に対して敬意を表すために言葉や表現です。『丁寧語』は聞き手に対して<丁寧な話し方をする>ための言葉や表現です。
そうすると、『ご(理解)』や『お(弁当)』は何かということですが、2つの括り方ができます。
(1)このような「ご」「お」を三分類『尊敬語』『謙譲語』『丁寧語』に入れてしまう。
(2)このような「ご」「お」を『尊敬語』『謙譲語』と『美化語(または丁重語)』とする
(2)の立場は『丁寧語』は聞き手に対する敬語だから、物事(の名詞)を上品にするためにつける「お」や「ご」は別の種類(=『美化語』)だとする考え方です。
ちなみに上記の参考書では丁寧語・美化語でいっしょにされているので、ここでは簡単に3分類で考えてみます。
(A)尊敬語としての『お』『ご』:<相手側の行為・状態に関することにつける>
   「お帰り(は何時ですか)」
   「お考え(をお聞かせください)」
   「お仕事(は何をしていらっしゃるんですか)」
   「お便り(拝見しました)」
   「(ずいぶんと)お若い(んですね)」
   「ご家族(の方にもよろしく)」
   「ご意見(をお聞かせください)」
   「ご病気(だったそうですね)」
(B)謙譲語としての『お』『ご』:<自分側の行為が相手に及ぶ場合にその行為ににつける>
   「お電話(を差し上げます)」
   「お礼(を申し上げます)」
   「お願い(があるのですが・・・)」
   「ご報告(をいたします)」
   「ご案内(を差し上げます)」
※お気づきのように、この「お」「ご」は謙譲語の「お/ご〜する」という表現と基本は同じです。
自分の行為に「お/ご」を付けるのは間違いだと考える人もいるようですが、自分の行為が尊敬すべき人に及ぶ場合には『謙譲語』として「お」「ご」をつけることは認められた用法のようです。
『言葉に関する問答集』(文化庁)の第4集にある解説によると、
++++++++++++
昭和27年の「これからの敬語」(国語審議会建議)で、「お」「ご」を付けてよい場合の例として、次のように述べている。
自分の物事ではあるが、相手の人に対する物事である関係上、それを付けることに慣用が固定している場合。例えば、
お手紙(お返事・ご返事)をさしあげましたが、
お願い お礼 ご遠慮 ご報告いたします。
++++++++++++
(C)丁寧語(美化語)としての『お』『ご』:<どちら側に関わるわけではなく上品にするため>
   「お花」「お酒」「お野菜」「お安い」「お寒い」
※この丁寧語(美化語)のグループの中でも慣用が進んで、「お」「ご」なしでは使えなくなったものもあります。
「おしぼり」「おやつ」「おすそ分け」「おなら」「おしめ」「おでき」「おやじ」
「ご飯」(以上の例は『日本語教育辞典』(大修館書店)p.234から引用)
以上ですが、蛇足ですが、東京で以前起きた園児殺人事件のときに盛んに使われた「お受験」という言葉には、(偏見かもしれませんが)何か「ぞっとする」ものがあります。
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[171] 「おやすみする」について 投稿者:きんちょ 投稿日:01/06/15(Fri) 02:10 <URL>

> 自分の行為に「お/ご」を付けるのは間違いだと考える人も
> いるようですが、自分の行為が尊敬すべき人に及ぶ場合には
> 『謙譲語』として「お」「ご」をつけることは認められた
> 用法のようです。
これについては、3つの たちばが ありえます。
1.自分の行為に「お/ご」をつけるのは まちがいだ
2.自分の行為でも その行為が尊敬すべき ひとに およぶ ばあいには、
 つかえる
3.自分の行為で、その行為が尊敬すべき ひとに およばなくても、
 ひろく『美化語』として つかえる
「おききする」「おあいする」「おまちする」が 「よくない」と かんがえるのが、1.の たちばで、ふるくは金田一京助氏(春彦氏の おとうさま)が、そういう主張をしたそうです。
「おききする」「おあいする」「おまちする」は 「ただしい つかいかただ」と みとめるが、自分が やすむときに「おやすみします」などと いうのは、「みとめられない」というのが、2.の たちばです。一方、これも容認するのが、3.の たちばということに なりますが、これについて、『表現文法の方法』(北原 保雄 1996大修館書店)から引用しておきます。(まえに どこかの掲示板で引用したような気が するんだけれども、最近もうろくして、おもいだせないのです。こまったもんだ。)
| 私は、かつて大石初太郎を司会とする座談会に参加したことがあるが、
| その時に「お休みする」という言い方が問題になった。そのことにつ
| いて、後に大石は次のように書いている。
|
| | 若い女性などが「お休みしました」と言うとき、それは謙譲語と
| | して言っているのではなく、ことばをきれいにするため、つまり
| | 美化語として言っているのだということは、まずまちがいなかろ
| | う。
| |  それがたまたま謙譲語の形式と一致するからといって、その
| | 美化語使用を否定しなければならないものかどうか。敬語に関す
| | る座談会の中でこのことが問題になったとき、明治末年生まれの
| | わたしと戸塚文子(生年を知らない)とは否定的発言をし、大正
| | 中期生まれの奥山益朗氏と昭和生まれの北原保雄氏は肯定的発言
| | をした(『敬語講座』6の座談会「現代敬語の問題と敬語の将来」)。
| | だが、その否定派のわたしにも、実は、自分は理屈で判断して
| | いるのではないかという反省がないわけではない。言葉には理屈
| | だけで処理できないものがいくらでもあることはいうまでもない。
|
 引用中の文献名は、明治書院の『敬語講座6 現代の敬語』のことのようです。
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指導方法について

過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/14 00:40:47)

※これは過去ログを整理したものです(管理人)

[246] 無題 投稿者:さくら 投稿日:01/09/30(Sun) 14:04

こんにちは。質問です!今度謙譲語を教えるのですが、謙譲語には ご〜、お〜といった作り方がありますよね。その法則みたいなのも教えるべきなのでしょうか。それとも、ひとつひとつ、この単語にはこっちといったように教えるべきなのでしょうか。。。。。教えてください。
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[247] 法則か用例か 投稿者:Oyanagi 投稿日:01/10/04(Thu) 22:10 <URL>

さくらさん、こんにちは。管理人のOyanagiです。
レスが遅くなりましたが、話をちょっと一般的なことに広げて書いてみます。
ご質問の「お〜」「ご〜」の使い分けについては、参考書に書かれているように、<一般的な基準>と<例外(とその理由)>が示されています。
一例)「お〜」は和語、「ご〜」は漢語につく
    ただし、日常よく使われるものは「お〜」がつく
さて、ここで、さくらさんが書かれているように、2つの教え方があります。
(1)規則を教える
(2)具体的な用例を覚える
どちらが適当かというのは、学習者のレベルや特徴によって違うと思います。
概ね、初級レベルでは理解語彙が限られていますから、(2)を採用して、(1)はあくまでも参考として紹介する程度にするのがいいのではないかと思います。
さらに、今回の「お」「ご」では<和語><漢語>という用語が使われれますから、漢字圏の学習者には比較的理解がやさしいかもしれませんが、あまり漢字を学習していない学習者にとってはさほど役に立たない情報だとも言えます。
逆に言えば、漢字圏の学習者で漢字で単語が導入されて、学習されているようだったら、(1)を紹介して、例外がどうしてあるのかも説明するのが効果的だと言えます。
---------
他の例
★自動詞と他動詞のペア
これも初級で学習する文法事項ですが、(1)から入るよりは(2)のほうが初級レベルでは効果的だと思います。
規則のようなものは参考書に書かれていますが、それを覚えることよりも初級レベルでは語彙が限られているので(2)のほうが効果的だと思います。
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ということで、一般的に言えば、初級レベルでは学習事項によって(1)と(2)をどの程度説明するかを判断して対応するのがいいと思います。
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使い分け

過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 22:00:00)

※これは過去ログを整理したものです。(管理人)

No.845
投稿時間:03/09/13(Sat) 16:57
投稿者名:MIKI
Eメール:
URL :
タイトル:ご と お {御}


 はじめて投稿します。今中国人の学生に質問されて分からないことがあります。もしよろしかったら教えていただけないでしょうか。
日本語の丁寧語{御}についてです。御手洗い、お水などは{お}とよみますが。ご使用、ご記入、ご入場などは{ご}ですね。これはたんじゅんにいわゆる見える名詞は{お}、動詞が名詞化したようなものは{ご}と分けてよろしいのでしょうか。お分かりになる方よろしくお願いします。

No.846
投稿時間:03/09/15(Mon) 00:50
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:見方を変えましょう

MIKIさん、こんにちは。

ここの掲示板でも過去に似たような質問がありまして、その時に私が書いたもの(過去ログ)を再掲しておきます。

MIKIさんは、「使用(する)」「記入(する)」「入場(する)」という、漢語のサ変動詞だけを取り上げて、『動詞が名詞化したようなものには「ご」』と考えたのかもしれませんね。
しかし、下に引用したように、それで「お」と「ご」の区別が決まるわけではありません。もう一度、自分で用例を集めて考えてみてください。


<過去ログ169より一部再掲>

『外国人のための日本語 例文・問題シリーズ』という荒竹出版から出ている練習問題付き参考書があります。これはタイトルが示すとおり外国人が自習できるように作られたものですが、文法点のまとめがすっきりしていて、教師が見ても役に立ちます。このシリーズの10が敬語で、「お」と「ご」の区別についてこの参考書では次のようにまとめています。

(注:過去ログの整理にともない、下記引用記事はこの新しいスレッドの上にある記事と同じです。管理人 2003年10月)

+++++++++++++<引用開始>++++++++++++++++
1 和語(もともとの日本語)には普通オをつける。
  「お所」「お考え」「お招き」
  「お湯」「お鍋」「お皿」「お箸」
  「お忙しい」「お暑い」「お高い」
  【注】和語でもゴがつくものが少しある。
     「ごひいき」「ごゆっくり」
2 漢語(漢字の音で読む語)には普通ゴをつける。
  「ご住所」「ご意見」「ご招待」
  「ご職業」「ご質問」「ご利用」
3 漢語でも漢語的意識のうすくなったものはオをつける。
  「お宅」「お茶」「お肉」
4 日常生活でよく使われる言葉は、漢語でもオをつけることが多い。
  「お料理」「お弁当」「お菓子」「お食事」「お洋服」「お蒲団」
  「お電話」「お時間」「お風呂」「お世話」「お勉強」
  【注】「ご返事」「お返事」などのように、両方使われているものもある
5 外来語には原則としてつけないが、つける場合にはオをつける。(美化語としてのみ)
  「おソース」「おビール」「おズボン」

+++++++++++++<引用終了>++++++++++++++++

上の例でいうと、「住所」「職業」は名詞ですけど、「ゴ」がついていますね。たしかに、よく目にする漢語の名詞というのは、「○○スル」のようにサ変動詞として使われるものがおおいかもしれませんが、原則は
★和語のものには「オ」
★漢語のものには「ゴ」
です。


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