るり さんのコメント
(2004/01/21 06:34:32)
はじめまして。初級のクラスでの教案を考えていて、分からないことがあります。「から」と「たら」と「あとに」の違いです。(「たら」と「から」は既習で、「あとに」はまだ習っていない表現ですが、これも使える場面があると思い考察する上で加えました。あと「と」と「ば」は、参考書などに載っているので含めていません。)
(1)授業が終ってから、バイトへ行きます
授業が終ったら、バイトへ行きます
授業が終ったあとに、バイトへ行きます
(2)テレビを見てから、お風呂に入ります
テレビを見たら、お風呂に入ります
テレビを見たあとに、お風呂に入ります
色々と比べてみて、「あとに」は不自然に聞こえるものが多いように感じました。(中でも「あとに」が使いやすい文例をあげました)「から」と「あとに」は、ただ日常の習慣を淡々と言う場面でも使える・・・という印象があるんですが。。よく分かりません。よろしくお願いします。
とりあえず
saburoo さんのコメント
(2004/01/22 00:19:39)
こんにちは。
最近、新しく考える気力がないので、以前書いた原稿でお茶をにごすことが続いています。
今回もそれでごかんべんください。
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[V−たあと(で)]
「AあとでB」は「A→B」の順で起こった事柄をそのままの順で表現し
ます。このような言い方はほかにも多いので、それぞれの意味合いの違い、使
い分けが重要になります。特に、すぐ後でとりあげる「V−てから」との違い
が議論になります。
Aに来るのは動詞の「タ形」に限られます。そして、その動詞は「終り」が
はっきりある必要があります。状態動詞や「V−ていた」はそのままでは使え
ません。
読んだ/食べた/見た/行った/した あとで
ご飯を食べたあと(で/は)、歯をみがきます。
×本を読んでいた後で、テレビを見た。
×商店街があった後で、デパートができた。(あとに)
次の例のように、「終り」がはっきりすれば状態動詞でも使えます。
戦後しばらく日本にいた後、中国へ渡った。
「しばらく日本にいた」という表現で、「いた」範囲が限定されています。
まれに、「〜だった+あと」の形にもなります。
3年間、仕事もなく、ずっと暇だった後だから、体が動かない。
Bに来る述語は「あとで」と「あとは」とで違いがあります。「あとに」と
いう形もありますが、少し意味が違います。
運動をしたあとで、シャワーを浴びます。
これが「あとで」のいちばんふつうの使い方の例文で、AとB、二つの動き
の時間関係を表わしています。
Bは状態か継続の表現の場合、「あとは」になります。変化を表す述語でも、
その意味が変化のあとの状態を示している場合は「あとは」のほうが適当です。
運動をしたあとは、疲れて何もできません。(?あとで)
ご飯を食べたあとは、ずっとテレビを見ていました。(?あとで)
名古屋に引っ越したあとは、友人と会う機会が減った。
音楽を聴いたあとは、気持ちがよくなります。
これらの例は、「〜あとの時間」は「ある状態」になっている、ということ
で、「機会が減る」「気持ちがよくなる」という変化が起こるということでは
ありません。
習慣的な事柄も「あとは」になります。
歯を磨いたあとはすぐ寝ます。
「あとで」にすると、「これからどうするの?」という質問に対して、
歯を磨いたあとですぐ寝ます。
と答えているようです。
「あと」は「あとで」「あとは」のどちらの場合にも使えます。二つの「〜あ
と」を「と/や」などで並列的につなぎたいときは、この形になります。
働いたあとや運動したあとはやっぱりビールに限る。
「あとに」は時間関係の例は少なく、その「場所」を意味する例が多くなり
ます。
手紙を出してしまったあとに、そのことが明らかになった。
みんなが帰った後には、ごみがたくさん落ちていました。(所)
花が咲いたあとに、実がなります。 (時+所)
彼が昨日までいたあとに、私が入った。 (状態動詞でも可)
文末で「〜あと」+「だ」という形にもなります。
その時はちょうどみんなが帰ってしまった後でした。
ちょうどみんな帰った後だったので、誰もいませんでした。
ちょうどみんな帰った後で、誰もいませんでした。
最後の例の場合は、「〜あとで+状態述語」の形になっていますが、この
「で」は「だ」のテ形ですから、上で述べた制限の例外にはなりません。
(今は、ちょうど)運動をしたあとで、疲れて何もできません。
前に「あとは」の例として出した例も、このようにすると「〜あとだ」のテ形
になり、文末が状態動詞でも問題ありません。
「〜あとのN」の名詞修飾の形になります。
食べたあとの片づけがめんどうだ。
「〜あとから」の例。
子どもが帰ったあとからは まあるい大きなお月様
「〜あとでは」という形は、「〜時には」のように「〜あとで」に「は」が
ついた主題化とは違います。その意味から「〜あと+では」と考えるべきもの
です。この「では」は、条件のところでとりあげる「49.7 〜ては」が名詞の
あとで「では」となったものです。
お風呂から出たときに(は)、ビールを飲みます。
お風呂に入ったあとで、ビールを飲みます。
?お風呂に入ったあとでは、ビールを飲みます。
お風呂に入ったあとは、ビールを飲みます。
「〜あとでは」は、あとに否定的な内容が来ると自然な文になります。
うわさが広まったあとでは、取り返しがつかない。
本人に会ったあとでは、変なことは言えなくなった。
[V−てから]
「〜あとで」と同じく、時間的前後関係を表しますが、より「順序」という
意味合いがあります。ふたつの事柄のうち、どちらが前か後かを述べる場合は、
「〜あとで」でも「〜てから」でもいいのですが、順序が決まっている事柄の
場合は、「〜てから」の方がぴったりします。
買物をしてから、映画を見ました。
これが終ってから、あちらの仕事に取りかかろう。
歯を磨いてから朝御飯を食べますか、朝御飯を食べてから歯を磨き
ますか。
見てから読むか、読んでから見るか。
ピカッと光ってから、どーんと音が聞こえる。
以上の例では「〜あとで」でも言えますが、以下の例ではどうでしょうか。
切符を買ってから中に入る。
ちょっと口をすすいでから歯を磨く。
準備運動をよくしてから、泳いでください。
これらは、「〜あとで」で言えないことはありませんが、少し不自然です。
これらの「AてからB」のAは、Bをするために必要なことで、「あと」にす
るのでは無意味な場合です。
また、時間の経過を表す場合も、「〜あとで」は不自然です。
夜が明けてから人家を探そう。(?あとで)
秋が来てから、急に人通りが多くなった。(×あとで)
日本に来てから、3か月になります。
占領が終わってからでも、もう50年近くの時間が過ぎた。
最初の文明が生まれてから1万年。
「だ」が付いて文末に来る場合もあります。「〜のN」の形にもなります。
乾杯は会長が来てからだ。
起こすのは医者が来てからでいい。
そのあとのことは、まずやってみてからの話だ。
「V−てからでないと、〜ない」という表現がよく使われます。
まずモノを見てからでないと、何とも言えませんね。
入会金を払ってからでないと、アクセスできません。
それから、「Aのあと今まで(に)」「A以来ずっと」の場合も「〜てから」
が使われます。
勉強を始めてから、多くのことを学びました。
生れてから、ずっとこの町に住んでいます。
パソコンもウインドウズになってから、多少使いやすくなった。
「AてからBまで」の形にもなります。
小学校に入ってから大学を出るまで、ずっと机の前に座っていた。
小学校に入ってから大学を出るまでの16年間
「は/も/より」などの副助詞をつけることもできます。
来てからは/も 来てからさえ(も) 来てからより(も)
ここに移ってからは、時間がゆったりと流れるようです。
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自分でもゆっくり読み直す気力がないようなものを、人様に読んでいただこうというわけで。
読んでみて、おかしいと思うところがあったら、どんどん言ってください。
saburoo
とりあえず2
saburoo さんのコメント
(2004/01/22 00:41:42)
こんにちは。
タラとの比較を書くのを忘れていました。
タラは、[継起]的な意味もありますが、いちおう[条件]の表現と考えられます。
それに対して、テカラとタアトは[時]の表現のなかの[前後]を言う表現です。
テレビで広告を見たら、買いたくなります。
テレビで広告を見てから、
テレビで広告を見たあとで、
タラの場合、文末を過去にしたり、否定にしたりすると、[条件]という表現意図に影響して、安定しない文になったり、違う意味になることがあります。
昨日は、授業が終わってから、バイトに行きませんでした。
昨日は、授業が終わったあとで、バイトに行きませんでした。
昨日は、授業が終わったら、バイトに行きませんでした。
saburoo