助詞「に」と「には」の違い [コメントする]

助詞「に」と「には」の違い


さくら さんのコメント
 (2003/10/30 17:30:09 -
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はじめまして。私は今、日本語教師になるために勉強中です。助詞の違いがなかなか理解できません。「ここに〜はいない」の「に」と「ここには〜はいない」の「には」どう違うのでしょうか。教えてください。


菊 さんのコメント
 (2003/10/30 20:43:28)

さくらさん、こんにちは。

ここに、の「に」は存在場所の「に」で、
・図書館「に」本があります。の「に」で、
このには、の「には」は取立ての「は」がついていて、
・あそこには、犬がいます。が、
・ここには、犬がいません。など、なにかと対比させて
表現されています。


まず教師(志望者)がやってみること

Oyanagi さんのコメント
 (2003/11/01 02:48:58)

さくらさん、ようこそ掲示板へ。

菊さん、簡潔なコメントをありがとうございます。

どんな参考書を読んだとしても、それを理解し、そしてそれを実践に生かして行くには、それなりの時間がかかります。「は」が文の中でどんな働きをしているのかは、教師向けの参考書を読めば、それなりに役に立つことが書いてあります。まずそれを読むことが第一でしょう。

その後は、私は教師(志望者)がやってみることとして次のことを提案します。それが結局は長い目でみれば役に立つことだと思います。
(といっても、特別なことではありませんが)


教科書でもなんでもいいのですが、「〜に〜がある」の文と「〜には〜がある」の文をある程度集めて、
★なぜこの文では「は」があるほうが自然なのか
と考えてみてください。

例えば、(1)と(2)の文は、一つの文だけで比べていても、その違いが見えて来ないかもしれません。
しかし、ある対話や文章の中においたときには、何か違いを感じるのではないでしょうか。
文というのは、(独り言は別として)実際には話し手と聞き手がいて、そして使われる場面があるはずです。そういうことをちゃんと考えて、二つの文を比べてみれば違いが見えてくると思います。

(1)机の上に日本語の本があります。
(2)机の上には日本語の本があります。

★談話の中で

 それでは、私の部屋について話します。
 部屋のすみ【△に ○には】大きな机があります。
 その上  【△に ○には】日本語の本が並んでいます。
 机の横  【△に ○には】本棚が置いてあります。

どうでしょうか。「に」に△をつけましたが、間違いではないけれども、相手に何か説明するには、ちょっと淡々として、あまりにも客観的な描写のような印象がありませんか。
それに比べて「には」のように「は」を使えば、聞き手に対して、自分の部屋をイメージさせ、聞き手の視点をそれぞれの場所にフォーカスさせるように話しているという印象がありませんか。

このような印象を与えるのが、「は」という助詞の一つの大きな働きです。

このように、話し手が自分が話す内容について、まず「何について」「どこにフォーカスをあてて」話すのかを示す働きをするのが「は」です。

だから、<トピック>の「は」とか、<テーマ>の「は」だとか呼ばれます。

ちょっと視点をずらせば、“それ”をトピックにするのですから、“それ以外”と区別するという見方にもつながります。それが、<対比>の「は」と呼ばれる用法になります。

よく男性が女性に「きょうはきれだね」と言って、「きょうだけ」とつっこまれる、あの使い方です。

ということで、
★「は」は一つの文を取り出して、それが自然かどうか判断できるものではありません。談話の中でそれが不自然かどうか判断できます。つまり、対話文や文章になっているものですね。

★なぜそこで「は」が必要なのか考えること、自分の内省なしには、せっかく参考書で得た知識も身に付かないでしょう。

★逆に言えば、内省することが、言葉を考えてみる楽しみでもあります。

さくらさんも、いろいろな例文を観察して、「は」の存在する意味を感じてみてください。そして、それを文法書の解説と照らし合わせてみてください。


ありがとうございました。

さくら さんのコメント
 (2003/11/06 13:12:27)

菊さん、Oyanagiさんありがとうございました。「に」と「には」だけ考えてわからないって思うんじゃんなくて、いろいろ例文を考えてみたら少しはわかりやすくなるんですね。
「今日はきれいだね。」  すごくよくわかりました。
 ところで、本屋さんに行って参考書を見てみたんですけど、たくさんあってどれを選んでいいか迷ってます。何かオススメの参考書はありますか?これからも日本語教師めざしてがんばりますっっ!


よく名前が挙がる図書

Oyanagi さんのコメント
 (2003/11/08 22:23:03)

さくらさん、こんにちは。

お薦めの図書というわけではありませんが、文法について参考書としてよく名前が挙がるものを書いておきます。

まず、文法も含めて日本語一般については、(1)が定番でしょう。
文法の入門書としては(2)と(3)、
もう少し深く勉強するなら(4)と(5)、
実際の教えることになったら、ぜひ手元においておきたいのが(6)
文法について(言葉の意味用法を含めて)考える力をつけるならと(7)(8)がよいでしょう。
辞書ではとらえ切れない言葉の意味や用法について勉強するなら(9)ですが、絶版なので入手は難しいです。
※(5)(7)(8)まで寺村秀夫氏の著書、共著が入っていますが、日本語教育のための文法、教育現場で役に立つ文法をまとめあげた人です。(これは個人的にもお薦めです)

(1)『日本語(新版)上・下』金田一春彦(岩波新書)

(2)『はじめての人の日本語文法』野田尚史(くろしを出版)

(3)『日本語文法入門』吉川武時(アルク)

(4)『基礎日本語文法ー改訂版ー』益岡隆志 田窪行則(くろしお出版)

(5)『日本語教育指導参考書4 日本語の文法(上)/(下)』寺村秀夫(国立国語研究所)

(6)『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(スリーエーネットワーク)
   『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(スリーエーネットワーク)

(7)『ケーススタディ日本語文法』寺村秀夫ほか(おうふう)

(8)『日本語のシンタックスと意味1/2/3』寺村秀夫(くろしお出版)

(9)『基礎日本語辞典』森田良行(角川書店)

いろいろな本が出ていて何がいいか迷うかもしれませんが、上の図書だけでなく、身近に、日本語教育に携わっている人がいたら、聞いてみるといいでしょう。


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