「〜(で)さえ」と「〜でも」 [コメントする]

「〜(で)さえ」と「〜でも」


ほたる さんのコメント
 (2003/10/16 21:20:34)

こんばんは。
HPがリニューアルされていてびっくりしました。
「〜さえ」「〜でさえ」の説明をどうしたらいいかわかりません。
「そこは電気さえない山奥だ」
「専門家でさえわからないのだから私たちには無理でしょう」
’日本語文型辞典’によると「〜でさえ」は主格になる、
「〜も」に置き換えられると出ています。
しかし、「そこは電気もない山奥だ」と言い換えることもできるので「〜でも」で置き換えられるものと考えたほうがいいのではないかと思いました。
そこで「〜でも」の説明をしてから「〜でさえ」に置き換えるようにいえばいいのではないかと思いました。
「このパソコンは子供でも使える」
「教授でもわからない」などと極端なものを提示するつもりですが、極端といってもある程度制限があるような気がします。
その制限の部分がわかりません。
なにか主語が生物になるのだろうかとも思いましたが、
「この森は夏でも涼しい」などという文も考えられます。
極端なことという概念で文を作れば
「そこは電気さえない山奥だ」を「電気でもない山奥だ」
と作文しそうな学生も出てきそうです。
「急に寒くなって今朝はコートを着ているひとさえいた」
⇒「コートを着ている人でもいた」とはいえませんから
後件に状態性のものがくると非文になるのかとも
思いましたが、いまいちすっきりしません。
教えていただけませんでしょうか。
よろしくお願いします。


用法に共通点はあるものの・・・

Oyanagi さんのコメント
 (2003/10/19 04:26:03)

ほたるさん、こんにちは。管理人のOyanagiです。レスが大変遅くなり申し訳ございません。

「〜(で)さえ」と「〜でも」についてのご質問ですが、まず気になった点は、以下の部分です。

******引用開始******
「そこは電気さえない山奥だ」
「専門家でさえわからないのだから私たちには無理でしょう」
’日本語文型辞典’によると「〜でさえ」は主格になる、
「〜も」に置き換えられると出ています。
しかし、「そこは電気もない山奥だ」と言い換えることもできるので「〜でも」で置き換えられるものと考えたほうがいいのではないかと思いました。
******引用終了*******

『日本語文型辞典』の解説を読み違えていると思います。
この解説には次のように書かれています。(P.127)

******引用開始******
主格に付くときは、「でさえ」になることが多い。「...も」に言いかえられる。
******引用終了*******

これが意味しているのは、次のようなことです。
(1)の「さえ」は、主格である「先生」についているので(2)のように「でさえ」になることが多い。
そして、(1)の文は(強調の程度に差があるものの)(3)のように「も」で言い換えられるということだと私は解釈します。
(1)その問題は難しくて、先生さえ分からなかった。
(2)その問題は難しくて、先生でさえ分からなかった。
(3)その問題は難しくて、先生も分からなかった。

そして、ここで注意しなければいけないのは、解説文にはる「主格」とは何を指しているかということです。

(4)そこは電気さえない山奥だ。
では、「電気がない」という文が元になっていますが、「電気」は主格だと言えますが、この文の「さえ」を「でさえ」に変えると、(5)のように不適格な文ができてしまいます。
(5)×そこは電気でさえない山奥だ。

そして、ほたるさんが書かれているように、「でも」を使った(6)も不適格な文です。
(6)×そこは電気でもない山奥だ。

このようなことから
★「も」「でも」「さえ」「でさえ」は用法として共通のものがあるけれども、「で」がつく形式(=「でも」「でさえ」)には“ほかにはない制限”がある。
と考えることができると思います。

ということで、ほたるさんが考えた、「でも」から入って「さえ」「でさえ」を教えるという方法は
★関連性のあるもの、既習のものを用いて教える
という点ではいいのですが、
★その際に“制限”になることに留意しないとおかしな文ができてしまう
ので、「でも」を「さえ」「でさえ」に置き換えるような導入、説明は十分注意しないといけないと思います。

最後に、その制限が何かについて、ほたるさんが挙げた例文に限って、気が付いたことを一つ書いておきます。
なお、述部が状態性のものがくるという点についは、そのとおりだと思います。

■「でも」の制限

いろいろな文の成分につくが、
★存在文の「ガ格」(=存在対象)の成分にはつかない。

(6)×そこは電気でもない山奥だ。
(7)×そこはねずみでもいない荒涼としたところだ。

ほかにも、「さえ」が言えて、「でも」が使えないものは、例文を観察していけば見えてくると思います。私ももう少し勉強してみます。


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