かんじィ さんのコメント
(2003/10/16 21:18:04)
初めて投稿します。
今度中級クラスで「〜かのようだ」を教えることになりました。そこでいろいろ例文を考えていましたが、考えているうちに、「まるで〜ようだ」と変らないような気がしてきました。
例)十月なのに暑くて、夏に戻ったかのようだ。
十月なのに暑くて、まるで夏に戻ったようだ。
この二つ、全く同じ意味だと言い切ってもいいのでしょうか。また、もし「まるで」がなかったとしたら、どうでしょうか。
どなたか教えてください。よろしくお願いします。
話者の態度(現実とのギャップ)
Oyanagi さんのコメント
(2003/10/19 02:24:33)
かんじィさん、こんにちは。管理人のOyanagiです。レスが大変遅くなり申し訳ありません。
さて、ご質問の件ですが、「〜かのようだ」と「まるで〜ようだ」を比べていますが、「まるで」のような副詞が入らない「〜ようだ」と「〜かのようだ」を比べることが基本でしょう。どちらの文型にも、比況の意味で使われる「まるで」「ちょうど」「あたかも」などの副詞がつけられますからね。
「〜かのようだ」のように「か」が加わると、どうなるのかについては、『日本語文型辞典』には次のような解説がついています。
*****引用開始******
動詞の辞書形、タ形を受け、実際はそうでないのに、そうであるかのように振る舞ったり、感じたりする様子を表す。事実と矛盾したり、仮想的なことがらをたとえに挙げて言う場合が多い。
*****引用終了******
この解説を読む限りでは、後の文にあるように、「か」が付かない形式より、話者の気持ちとして、「事実と矛盾する」「仮想的なことである」という態度がより強く表れていると考えられるでしょうか。
ただし、副詞を添えることによっても、その様子が「事実とはちがう」という意味が強調されるので、文の意味を比較するとおおむね次のように「事実の矛盾する」という気持ちが強調されることになると思います。
※(2)と(2)’がどちらが強調されるかは判断をつけかねます。
(1) 十月なのに暑くて、 夏に戻った ようだ。
(2) 十月なのに暑くて、 夏に戻ったかのようだ。
(2)’十月なのに暑くて、まるで夏に戻った ようだ。
(3) 十月なのに暑くて、まるで夏に戻ったかのようだ。
★ちょっと気になること★
かんじィさんが挙げた例文についてのみ考えると上のようなことが言えると思いますが、実際は「〜ようだ」と「〜かのようだ」はいつも言い換えが可能というわけでもなさそうです。
第一に、その物事の様子を描写するにあたって、“慣用句”となっているものは「〜かのようだ」は使われにくいと思います。上に紹介した本に「〜ようだ」の例文として挙っているものをgoogleで検索してもその傾向がわかります。
例)「狂ったように」と「狂ったかのように」
「火がついたように(泣き出す)」と「火がついたかのように(泣き出す)」
「水を打ったように(静か)」と「水を打ったかのように(静か)」
とりえず、こんなところですが、もっと例文を観察してみればもう少し違ったことが見えてくるかもしれません。