「〜の間に」と「〜うちに」 [コメントする]

「〜の間に」と「〜うちに」


過去ログ(管理人) さんのコメント
 (2003/10/16 14:28:21)

※これは過去ログを整理したものです。(管理人)

No.823
投稿時間:03/08/08(Fri) 16:53
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:「−ている間に」と「−ているうちに」

Oyanagi先生、こんにちは!

ちょっと分からないことがあったので、教えていただけないでしょうか。

「−ている間に」と「−ているうちに」の使い分けですが、次の文例のように、両方とも使える場合もあれば、そうでない場合もあるようですが、両者の間にいったいどういう違いがあるのでしょうか。

1、仕事に夢中になっている(うちに/間に)、外は明るくなっていた。

2、ぐずぐずしている(うちに/?間に)、日が暮れてしまった。

No.825
投稿時間:03/08/13(Wed) 00:14
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:とりあえず考えみるための視点を

huadongさん、こんにちは。

レスが遅くなり、申し訳ありません。

> 「−ている間に」と「−ているうちに」の使い分けですが、次の文例のように、両方とも使える場合もあれば、そうでない場合もあるようですが、両者の間にいったいどういう違いがあるのでしょうか。
>
> 1、仕事に夢中になっている(うちに/間に)、外は明るくなっていた。
>
> 2、ぐずぐずしている(うちに/?間に)、日が暮れてしまった。

2の「間に」に?をつけていますが、私の語感では、1と比べれば自然さが落ちるけれども、?をつけるほどではないかなと思います。
それで、なぜ?に感じるのかですが、これは、やはり両者の基本的な意味特徴から来ていると思います。

両者を比較する場合には、?になる用法もそうですが、×になる用例を探して、比較することが必要だと思います。
私の観察するかぎりでは、次のような文では「〜間に」が×になると思います。

(1)若い[×間に][○うちに]いろいろなことを経験したい。
(2)忘れない[×間に][○うちに]メモしておこう。
(3)全部見終わらない[×間に][○うちに]出て行ってしまった。

前に続く品詞、形式でみると、
(1)のような形容詞
(2)(3)のような動詞の否定形「〜ない」
となります。
そして、どちらでも言えるのが(4)の「〜ている」の形式です。

(4)つきあっている[○間に][○うちに]好きになってきた。

そして、huadongさんが感じたように、(4)の場合でもニュアンスの差があり、
「〜間に」が?がつくようなものがあります。
(5)再掲
   ぐずぐずしている[?間に][○うちに]日が暮れてしまった。

このように例文を観察してみると、両者の用法の違いが見えてくると思います。
「A間にB」「AうちにB」という形式においては、A(=時間の幅)に対する捉え方が異なると思います。その違いが用法の違いにつながっているのではないでしょうか。

★「間」は<ある時点からある時点までの時間の幅>です。
ですから、主節(B)で述べる事態がどの時間の幅で起こったのか、【時間の幅を指定する】のが基本的な意味です。
ということは、基本的に(始点と)終点は“時点”として捉えられるものになります。
それに対して、
★「うち」は<ある時間的な“境”の内側>です。
ですから、ある状態(A)とそれに続く別の状態(B)の間に“境”があるという認識があります。
つまり、「〜うちに」は主節(B)で述べる事態が、その境の内側である(=別の状態に移る“前に”)ことを示します。
ということは、はっきりとした“時点”と捉えられることでなくても、とにかく“境”がある(「そうである」対「そうでない」、「そうなっていない」対「そうなる」など)と捉えられるものなら使えます。

ということで、
(ア)Aの部分が「時点」で切り取られるものなのか、「境」で切り取られるものなのか。
→(1)の文の判定

(イ)さらに、別の状態になってしまう“前に”という話者の心的態度が強く出るのかどうか。
→(2)(3)の文の判定

そして、(ア)(イ)の視点から、両者のニュアンスの差がどうのうに出るのか。
→(4)(5)の文の判定

このように考えてみてはどうでしょうか。
さらに追加するなら、
同じことを切り口を変えることで、話者の態度の現れ方がどのように変わるも考えてみるといいと思います。
(6)晴れている[○間に][○うちに]作業を終わらせよう。
(7)雨が降らない[×間に][○うちに]作業を終わらせよう。

そして、「中」とのつながりを考えてみるのもいいと思います。
(8)主人の[○外出中に][○外出している間に][○外出しているうちに]へそくりの隠し場所を変えておく。
(9)主人が[×帰ってこない間に][○帰ってこないうちに]へそくりの隠し場所を変えておく。

私ならこのような視点で考えてみますが、よかったらhuadongさんも、これで考えてみてください。
私はお盆で帰省するので、今週中はレスが出来ませんので、ご了承ください。
huadongさんの考えを聞いて、もう少し考えを進めたいと思います。
それでは。

No.829
投稿時間:03/08/15(Fri) 22:32
投稿者名:huadong
Eメール:yongjilou2003@yahoo.co.jp
URL :
タイトル:Re: とりあえず考えみるための視点を

Oyanagi先生 こんばんは!
 
 ご丁寧に教えてくださって、大変いい勉強になりました。どうも有難うございました。

 両者の違いを理解するには、それぞれの意味特徴をはっきりさせなければなりませんね。「間」は<時間の幅を指定する>、 それに対して、「うち」は<ある時間的な“境”の内側>を意味するというご指摘は大変いい示唆となりますね。
 しかし、やはり外国人の私は文の細かいニュアンスを内省できません。先生が挙げた幾つかの文から見ると、「−ないうちに」は使えますが、「−ない間」は使えないようです。

文例:
1、雨が降らない[×間に][○うちに]作業を終わらせよう。
2、主人が[×帰ってこない間に][○帰ってこないうちに]へそくりの隠し場所を変えておく。

 しかし、ある時間帯にもう一つの事態を起こす場合に、あるいは前項の動作が継続している間に、後項が変化を生じる場合に、下記の文のように、「−ない間に」も使えるでしょう。

3、列車の来ない間にレールを取り替えてしまったのだそうだ。
4、雨が降らない間に梅雨明けしてしまったよ。
5、雨が降らない間に、早いとこ撮影しなきゃ!!
6、しばらく書いてない間にいくつか進展がありました。
7、まあ私が見てない間にすっかり成長しちゃって。

No.833
投稿時間:03/08/25(Mon) 23:55
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:時間の捉え方と形式のつながり

huadongさん、レスをありがとうございます。(またまた返事が遅くなって申し訳ありません)

>  しかし、ある時間帯にもう一つの事態を起こす場合に、あるいは前項の動作が継続している間に、後項が変化を生じる場合に、下記の文のように、「−ない間に」も使えるでしょう。
>
> 3、列車の来ない間にレールを取り替えてしまったのだそうだ。
> 4、雨が降らない間に梅雨明けしてしまったよ。
> 5、雨が降らない間に、早いとこ撮影しなきゃ!!
> 6、しばらく書いてない間にいくつか進展がありました。
> 7、まあ私が見てない間にすっかり成長しちゃって。

上の例文はウェブ上から拾って来たものでしょうか、それとも本で書き言葉として使われていた例でしょうか。
私の語感では、×にはならないまでも?、△の判定になるものがあります。
どれが、どんな判定になるかについて、その理由といっしょに書いておきますので参考にしてください。
まず、前回の投稿でポイントとなる部分を確認しておきます。
★「間に」と「うちに」ではその時間の幅の捉え方が違う。
★その違いが、ニュアンスの違いや一緒に使われる品詞、形式の違いにもつながっている。


■例文3について

上の点を踏まえて、「A(し)ない間に B(する)」が使われている場合を考えると、
(もしそれが自然に感じるとしたら)「〜しない」という事態を、「始点」と「終点」という時点がある幅の中の出来事だと捉えられる場合でしょう。

3の例文が自然だと感じる人がいたらその人は次のような事態をイメージしているのだろうと思います。

前回(最終電車などが)通過した時点→<始点>
次回(始発電車などが)通過する時点→<終点>
このように捉えて、「電車が来ない間」=「電車がここを走らない時間帯」にレールを取り替える作業をした、という事態です。
しかし、この文がなんとなく不自然に感じる人がいたら、その人は次のような事態をイメージしているのだろうと思います。

さっき電車が通過した。次に電車が“来る前”に、レールを取り替えなければならない。万が一来てしまったら大変だ。
このような事態をイメージする場合、「来ない状態」が変わってしまう(=来る)その“境”の内側でことを済ませるという見方をするわけです。
ですから、3のような「間」を使うのではなく、(3)’のように「うちに」を使うほうが自然だと考えます。
(3)’列車の来ないうちにレールを取り替えてしまわないといけない。
このように話者がどのような意味で使うかによって、文末の表現も違ってくるし、それに合わせて、時間の幅の捉え方も変わります。

このようにある時点と時点の間という捉え方ができるかどうかは、「間に」が自然に使えるかどうかに関係してきます。
次の(8)の文が不自然なのは、先生が戻ってくる「時点」が定まらないからです。このような場合でも、とにかく「いない」状態が変わる(=戻ってくる)“境”をイメージしてそれより内側(=戻ってくる前)というふうに捉えることはできます。だから(9)は自然な文になります。

(8)?先生が戻って来ない間に、 壊したガラスを片付けた。
(9)○先生が戻って来ないうちに、壊したガラスを片付けた。

このような点でもう一度3の例文を見ると、3は状況によっては、<始点>と<終点>が時点として捉えられるので「〜ない間に」という文が成立するのだと考えられます。

どちらも使える場合でも、文末の形式によっては自然さが落ちることもあります。
「〜うちに」の時間の捉え方は、別な言い方をすれば、<「〜」という状態が続いている/保持されている間に>ということで、「それの状態ではなくなったらだめなんだ」とか「その状態でなくなる前にそれをしなくては」という気持ちが入る点がポイントだと思います。ですから、そのような気持ちを表す形式が文末に来ると、「〜間に」よりは「〜うちに」のほうが自然になると思います。

■例文4、5について

そのように考えると、例文の4と5はどうなるでしょうか。
同じ「雨が降らない間に」ですが、文末に「しなきゃ!」を使っている5は(私の語感では)?が付きます。これは「うちに」を使うのが自然でしょう。
4も驚きの気持ちを入れるなら「うちに」を使うほうがいいでしょう。それに、「雨が降る」という事態は通常、時点として「いつ」ととらえることは難しいです。ですから、「間に」を使うって自然に感じるとしたら、次のような事態をイメージしているからでしょう。

前回雨が降ったのは3週間前だ   →<始点>
今日/その日(まで全然降っていない)→<終点>
その間にもう梅雨が明けてしまった(ことが気象庁の発表でわかった)

通常は、いつ降るだろうか、いつ降るだろうかと、今の状態が変わる“境”を意識するわけですから、(10)のように、そうなる前にということで「〜うちに」を使うのが自然だと思います。

(10)今年は、なんか雨らしい雨が降らないうちに、梅雨が明けてしまったね。

■例文6、7について

この例文が他と違う点は、「〜しない」ではなく「〜していない」という形式になっている点ですね。これを「〜しない」という形式にしても成立しないことはないと思いますが、自然さは落ちると思います。それは「〜てい(る/ない)」の形式で「時間の幅」というイメージがより強くできるからだと思います。

それよりもここで重要な点は、1から7まで全てに共通する点です。
繰り返しになりますが、「〜ない」と「間に」が一緒に使える場合があるとしたら、それは、「〜(し)ない」という状態について、<始点>と<終点>が時点としてイメージできる場合です。だから(8)のようなそもそも<始点>がなく、<終点>も時点として「いつ」なのかイメージできないものには「間に」は使いにくいです(し、実際不自然になることが多いです)。

それで、1〜7に共通するのは、「〜しない」状態について、<始点>と<終点>が時点としてイメージできることで、その時点とは
★「前回〜した」時点          →<始点>
★「今回/次回〜する」時点、または「今」→<終点>
★ その間に・・・
このように事態が捉えられる場合です。

ですから、(8)を無理にこの事態に合わせれば、(11)のような文が無理やりですが、成立します。

(11)状況:先生は1時間おきに教室を見回りに来ることになっている。
    「先生が来ない間に、壊したガラスを片付けておいた」

つまり、前回先生が見回りに来たのが<始点>で、次回見回りに来るのが<終点>という捉え方です。

このようなことを踏まえて、例文6と7を見ると、やはり上の★のような捉え方をしていることがわかります。
7:前回投稿したのが<始点>で、今が<終点>で、その間に・・・。
8:前回見たのが<始点>で、今回見たのが<終点>で、その間に・・・。

ただし、8については、時間ではなく期間の場合には、日本語では(12)のように、「うちに」を使って驚きの気持ちを表すのが普通です。
(12)しばらく見ないうちに、すっかり成長したね。

以上です。
今回私が強調しておきたいのは、「間に」は「ない」という形式と使えないという、『形式』同士の『固定』したつながりではなく、人間の『事態の捉え方』と『形式』のつながりを考えることです。
なるべくわかりやすく書いたつもりですが、「間に」と「うちに」の時間の捉え方を理解していただけたでしょうか。
理解されたとしても、それが「正しい」考え方である保証はありませんので、あくまで自分で考える上で参考にする程度にしておいてください。
それでは、また何か考えるべき例文が見つかったら教えて下さい。

No.837
投稿時間:03/08/28(Thu) 02:25
投稿者名:Oyanagi
Eメール:oyanagi@tky2.3web.ne.jp
URL :
タイトル:番号の書き間違い(すみません)

番号が一つずつずれていました。次のように訂正します。

> このようなことを踏まえて、例文6と7を見ると、やはり上の★のような捉え方をしていることがわかります。
> 7:前回投稿したのが<始点>で、今が<終点>で、その間に・・・。
> 8:前回見たのが<始点>で、今回見たのが<終点>で、その間に・・・。

上の「7:〜」は「6:〜」の、「8:〜」は「7:〜」の間違いです。

> ただし、8については、時間ではなく期間の場合には、日本語では(12)のように、「うちに」を使って驚きの気持ちを表すのが普通です。

上の「8については」は「7については」の間違いです。


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