この点をもう少し調べるために、次のような文を考えてみました。(6)(7)はどちらも文脈が特定されないと、(1)のタイプで「Bは」が自然になると思います。ところが、対比すべきBに焦点を当て述べるような構文にすると、(2)のタイプの条件が明確になり、「Bが」が自然になるだろうと思います。いかがでしょうか。この場合、(2)で隠れていた「Xは」が現れやすくなる点も、「Bが」が自然になることと関係しているでしょう。
(6)「(私は)お金はないけど、時間は(/?が)あるよ」
(7)「(私は)恋人はいなけど、友達は(/?が)いるよ」
文脈を与えて
→(6)’「お金はないけど、(あなたには)自由に使える時間があるでしょう!」
→(7)’「恋人はいなけど、(あなたには)相談できる友達がいるじゃない!」
(6)’(7)’は、全体としては<対比>の要素が含まれていますが、(1)に見られるような典型的な対比とは異なることが感じられると思います。
ポイントを整理すると、対比といっても単純に一つのパターンに決まるわけではなく、一方には典型的に「〜は…、〜は…」(1)が現れるものがあり、もう一方には典型的に「〜は…、〜が…」(2)が現れるものがあり、話し手がどのように事態を捉えるかで使われる構文に違いが生まれるという点です。ですから、中間くらいものも(=どちらもよく使われるもの)もあるということですね。どちらのほうが自然になるかは、ほかの要因も関係していると思います。今回は、話し手の事態の捉え方と構文のつながりを手がかりに考えて見ました。考えるヒントになれば幸いです。 |
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