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標準語順を崩すことの効果 スレッド削除
No.33-1 - 2009/10/23 (金) 22:50:19 - イラヒ
oyanagiさん、お久しぶりです。

 日本語は格助詞を間違わなければ事実を正確に伝えられるので、述語を最後に持ってくる以外は比較的語順は自由だといわれます。それでも、標準的な語順があって、どうもそれを見ると、述語との結びつきが強いものほど述語の近くに置かれますね。
 
 例えば、「行く」と行ったら、「〜へ」が一番結びつきが強いので、
   A:友達と 電車で ディズニーランドへ 行く。
が標準的な語順で、「どこへ」の部分が「行く」の一番近くに置かれています。
 話し言葉では、この語順のままでも、例えば、「友達と」を強く言えば、そこを強調することができますが、書き言葉では、それができません。もちろん、文型を変えて、
 電車でディズニーランドへ(一緒に)行ったのは、友達(と)だ。
にすれば、強調が際だちますが、そこまでしないで、標準的な語順を崩して、
   B:電車で ディズニーランドへ 友達と 行く。
というように、強調したい部分を述語の直前に持ってくることもできますよね。わたしは、AとBを見比べると、明らかに「友達と」が強調されているように感じます。いわば、文の焦点じゃなかったものが、述語のすぐ近くに来ることで「焦点化」されるのではないでしょうか。
 
 でも、こういうことはわたしが調べた限りどこにも書かれていないので、自分の感覚がおかしいのだろうかという不安があって、ご相談させていただきました。 
 
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ありがとうございました 削除/引用
No.33-5 - 2009/10/27 (火) 22:40:14 - イラヒ
 oyanagiさん、わざわざ論文や本を紹介してくださって、本当にありがとうございます。矢澤さんの論文はプリントアウトしてしっかり勉強してみます。リンゼイ・ウエイリーの本もどうにかして読んでみようと思います。

 スペイン語は過去形に「完了過去」と「未完了過去」があって、これも学習者泣かせではありますが、日本語の過去と完了がきちんと分かるとそんなに難しいものではなくなります。外国語を学ぶ場合、母語を文法的にしっかり理解していることが早道だな、と自分のスペイン語学習を通して感じています。
 

参考になるかもしれない論文と図書 削除/引用
No.33-4 - 2009/10/27 (火) 21:37:04 - oyanagi◆t0YRevJB
先週末は東京で日本語文法学会があったので行ってきました。設立10周年ということで記念講演があり、4名の先生が講演されましたが、どれも非常に興味深いものでした。学会は東京近郊でないとなかなか出かけられませんが、新しい刺激があっていいですね。

さて、今回のテーマについてですが、何が無標で何が有標の語順なのか、そしてその有標の語順はどのような意味をもつのか、などなかなか興味深いテーマですね。

私が過去に(別の点で)興味があって収集した論文の中に関連がありそうなのがあったので、リンク情報を書いておきます。期待されている「焦点」とのつながりでは、すぐにピンとくる論文がないのですが、(膨大な量の論文にうもれて)単に失念している可能性も大です。また何か見つけたらご報告します。

■格と構文と語順なんかを研究しているもの

矢澤真人(筑波大学)
 大学のリポジトリーからダウンロードできます(:今は本当に便利になりましたネ)
httphttp://www.tulips.tsukuba.ac.jp/portal/tulips-r.php
検索窓に上の名前を入れるといくつか論文がヒットしますが、上の二つがちょっと関係しています。
(1)発生構文と位置変化構文
(2)格の階層と修飾の階層
それから、リポジトリーではヒットしませんが、次の論文が以下のリンクからダウンロードできます。どちらも古いですが、参考にはなると思います。
 「語順から構文類型へ」
  平成9年12月
 『筑波大学「東西言語文化の類型論」特別プロジェクト研究報告書 平成9年度T』
  筑波大学「東西言語文化の類型論」特別プロジェクト研究組織
  375頁-380頁
http://www.lingua.tsukuba.ac.jp/myazawa/data/yzwpaper/w_order_s_type.pdf

■類型論の視点から

それから論文ではありませんが、個別言語の構文ではなく、類型論的な情報がというのであれば、リンゼイ・ウェイリー(Lindsay J. Whaley)『言語類型論入門(言語の普遍性と多様性)』の第二部「語順の類型」がお薦めです。(最近大学院の勉強会でこれを読んで、とても印象が良かったです)この訳本は2006年ですが、原著は1997年に出版された"Introduction to typology: the unity and diversity of language"です。


(余談)
大学院の(英語の文法の)授業でスペイン語を研究している人と一緒になるのですが、いろいろと勉強させてもらっています。英語のBE動詞にあたるのが2つ。その使い分けは・・・。やっぱり他の言語を知ると、刺激的なことがいっぱいですね(^^;

分析のための作文 削除/引用
No.33-3 - 2009/10/26 (月) 02:53:22 - イラヒ
oyanagiさん、お忙しい中、レスありがとうございます。

>その人がなぜ「共同動作者」「手段」「目的地」という情報をもつ文の成分を3つも提示するのかということを考えなければならないでしょう。

 自然な会話の中では、その述語が取り得る限りの補語を全部言う、ということは普通あり得ないので、どうしても分析のための作文になってしまいます。でも、その作文をしてみると、日本語話者としての自分にインプットされた標準的な語順があることがはっきりするし、それを崩すとなにがしかの効果があるように見えるんです。
 
 インターネットで探してもあまり「焦点化」についての情報が見つからないのですが、実際問題としてあまり研究されていないのでしょうか。

語順と焦点化 削除/引用
No.33-2 - 2009/10/25 (日) 11:15:24 - oyanagi◆t0YRevJB
イラヒさん、お久しぶりです。
日本語オンラインの掲示板のご投稿はいつも拝見しています。
(忙しさにかこつけて、わたしは最近はめったに投稿しなくなりました)

さて、ご質問の件ですが、自然会話のデータをしっかり分析してからでないとはっきりしたことは言えませんが、直感的に2つの場合があると思います。一つはイラヒさんがご指摘にようにある情報に焦点があたる場合で、もう一つは単に準備されてない発話の中でたまたまその情報が最後に追加されたという場合です。

最初の場合については、主題志向型の言語で、右側に主要部がくる日本語のような場合、(最後に来る)述部に一番近い位置に焦点化された情報が来ると考えるのは一理あると思います。既知情報がとりあえず先に提示されて、最後に新情報が来るという情報構造ですね。わざわざ強調構文(疑似分裂構文)にしなくても、そのような効果はある程度出せると思います。

2つ目の場合は、ある出来事を伝える際に、いわゆる標準的な順番で「電車でディズニーランドへ」と言ったあとに、「あ、だれと行ったかの情報も追加しよう」と思って、「電車でディズニーランドへ友達と行きました」となることは、充分にありえると思います。標準的な語順にするために、わざわざ最初から言い直すという人はまずいないでしょう(笑)。この場合は特に談話上の「際立ち」に関係なく、語順が標準的なものと違ったものになるということですね。

いずれにしても、その人がなぜ「共同動作者」「手段」「目的地」という情報をもつ文の成分を3つも提示するのかということを考えなければならないでしょう。すべてが新情報として提示するのか、それとも相手の質問に答えて、一部は既知情報となっているか。さらに、相手がどんな情報を期待して質問しているのかなど・・・。例えば、聞き手が「だれかと一緒にいったのかどうかを知りたいのだ」と思っているときに、意図的にそのような情報を最後にもっていくなんてこともあるでしょう。語順に影響する要因は複数あると思いますが、単純化すると上の2つになるのかなと思います。

標準語順を崩すことの効果 削除/引用
No.33-1 - 2009/10/23 (金) 22:50:19 - イラヒ
oyanagiさん、お久しぶりです。

 日本語は格助詞を間違わなければ事実を正確に伝えられるので、述語を最後に持ってくる以外は比較的語順は自由だといわれます。それでも、標準的な語順があって、どうもそれを見ると、述語との結びつきが強いものほど述語の近くに置かれますね。
 
 例えば、「行く」と行ったら、「〜へ」が一番結びつきが強いので、
   A:友達と 電車で ディズニーランドへ 行く。
が標準的な語順で、「どこへ」の部分が「行く」の一番近くに置かれています。
 話し言葉では、この語順のままでも、例えば、「友達と」を強く言えば、そこを強調することができますが、書き言葉では、それができません。もちろん、文型を変えて、
 電車でディズニーランドへ(一緒に)行ったのは、友達(と)だ。
にすれば、強調が際だちますが、そこまでしないで、標準的な語順を崩して、
   B:電車で ディズニーランドへ 友達と 行く。
というように、強調したい部分を述語の直前に持ってくることもできますよね。わたしは、AとBを見比べると、明らかに「友達と」が強調されているように感じます。いわば、文の焦点じゃなかったものが、述語のすぐ近くに来ることで「焦点化」されるのではないでしょうか。
 
 でも、こういうことはわたしが調べた限りどこにも書かれていないので、自分の感覚がおかしいのだろうかという不安があって、ご相談させていただきました。 
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