こいけはやと 様
ずいぶんと前に投稿していただいたのに、ご返信が大変遅くなりました。
実はこのホームページの掲示板は休眠状態でして、投稿していただいても自動的に私のところにお知らせが入るようになっていません。最近のコロナ騒動で自宅待機となり、昔のメールをチェックしていたところ、こちらの掲示板に書き込みがあることがわかり、返信をしている次第です。この掲示板に投稿してくださったのにご無礼をお許しください。
さて、ご質問の件ですが、こいけさんがご指摘のように「のに」に原因があると見ていいのではないでしょうか。このような問題は「構文」という視点でとらえるのがいいと思います。「〜(する)のに○○かかる」と「○○で〜(する)」という構文の比較ですね。この(する)に可能動詞(可能形)が入ったときにどのような違いを見せるかをチェックすればいいでしょう。下に例文の比較を上げておきます。
■「〜(する)のに○○かかる」
ok 全部読むのに1時間かかる
ok 全部読み終わるのに1時間かかる
ok 全部読み切るのに1時間かかる
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×全部読めるのに1時間かかる
×全部読むことができるのに1時間かかる
×全部読み切れるのに1時間かかる(※「読み切る」の可能動詞)
■「○○で(〜する)」
ok 1時間で全部読む
ok 1時間で全部読み終わる
ok 1時間で全部読み切る
ok 1時間で全部読める
ok 1時間で全部読むことができる
ok 1時間で全部読み切れる(※「読み切る」の可能動詞)
以上まとめると、「〜できるのに○○かかる」は不自然になるけれども、「○○で〜できる」は問題ないという、構文上の違いによると言えるでしょう。前者の「のに」は「(意図的に)〜する」を要求するのに対して、「○○で(〜する)」のような述語の動作の時間を限定する構文は「〜する」ことだけでなく「〜できる」ことも問題なく一緒に使えるということですね。 |
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