■「おもしろい」を「つまらない」「おしいい」「こわい」とのつながりで考える
ここでは「おもしろい」を【文献3 p.55】に従って、属性形容詞と感情形容詞の二つの特徴をもっている形容詞だと仮定します。つまり(10)のように2つの用法があると考えます。そして、属性形容詞として「おもしろい」の反対語として取り上げられることの多い「つまらない」も両方の特徴をもっている形容詞として比較の対象とします。(上の(4)(6)を参照)
(10)(何か話を聞いて)「わあ、おもしろい!/ つまらない!」
「(わたしは)この話がおもしろい / つまらない」
「この話はおもしろい / つまらない」
「おもしろい」は「おいしい」「こわい」と同様、1人称で感情形容詞のように使うことはできても、そのような感情・感覚が外に現れている様子を「〜そうだ」では言えまぜん。(上の(8)を参照)しかし、おもしろいことに、「つまらない」は言えます。
(11)a. (私は)おもしろい → # 彼はおもしろそうだ。 (=彼はおもしろい人に見える)
b. (私は)つまらない → 彼はつまらなそうだ。(=彼はつまらなく感じているように見える)
最後に「〜そうだ」以外に第三者の感情・感覚が外に現れている様子を述べる形式を考えると次のようになります。上の(9a,b)と比較できるようにそれに追加して書いておきます。
(12)a. (わたしは)こわい → # 彼はこわそうだ。(=彼はこわい人に見える)
→ ? 彼はこわそうに(〜を)見ている。
→ 彼は(〜を)怖がっている。
→ 彼は恐る恐る・・・した。
b. (わたしは)おいしい → # 彼はおいしそうだ。(=彼はおいしい人に見える)
→ 彼はおいしそうに(〜を)食べている
→ * 彼は(〜を)おいしがっている。
→ 彼は満足げに(〜を)食べている
c.(わたしは)おもしろい → # 彼はおもしろそうだ。(=彼はおもしろい人に見える)
→ ? 彼はおもそろそうに(〜を)見ている。
→ 彼は(〜をして)おもしろがっている。
→ 彼は興味深げに・・・した
{ にこにこしながら、笑いながら、嬉しそうに、食い入るようにして }
d. (わたしは)つまらない → 彼はつまらなそうだ。(=彼はつまらなく感じているように見える)
→ 彼はつまらなそうに・・・している。
→ * 彼は(〜を)つまらながった。
→ 彼は興味なさそうに・・・した。
{ 嫌々、渋々、関心なさそうに } |
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