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様態そうに/嬉しい・楽しい・面白い スレッド削除
No.32-1 - 2009/08/12 (水) 16:23:09 - amelie
oyanagiさん、みなさん、こんにちは!
以前にも書き込みをさせていただいたamelieです。今回形容詞「嬉しい」「楽しい」「面白い」と、「(様態)そうに」のことで書き込みをさせていただきます。

初級後半の学習者向けのテストに次のような問題がありました。

「手紙に何かいいことが書いてあるようで、田中さんは(そうに)読んでいる。」

これは記述式の問題だったので、学生は空欄部分に次のような回答を入れてきました。

@嬉しそうに A楽しそうに B面白そうに

@は全く問題がありませんが、ABは変だと思います。

Aがだめな理由は、意味的な問題として説明しました。「楽しそうに読んでいる」では、読むこと自体が楽しいのであって、何かいいことが書いてあるようで、という原因を無視した形になっているからバツです。

問題はB面白そうになのですが、どうしてBがバツなのか、私は次のように考えました。
@Aは、継続する気持ち(=外から推察可)なのに対して、Bは一瞬のうちに起こり消滅する気持ち(=外から推察不可)だから、Bはバツ。
もう言ってしまったのですが、正直に言うと、これにはあまりしっくり来ていません。。

以下、どうしてこのような説明に到ったかについて書きます。
まず、「面白そうに何かをすることはできない」と考えました。Googleで検索しても、「面白そうにV」のVは見えるなどの無意志のものが多く、他は文学的な表現として使われることが多いようでした。(「面白そうに笑う」など)

なぜ面白そうに〜をスルことができないのか。
人が 面白そうに 読む。 (人=面白い)??

読むのは私です。面白そうには読むに掛かりますが、読むのは結局ガ格の人であって、人=面白いになってしまうから、だめなのだと思いました。

ではなぜ、「おいしそうに食べる」はOKなのでしょうか。
人が おいしそうに 食べる。 (人=おいしい)??

このように考えて、この「面白いのは何か(だれか)」から説明していくことはできないなとわかりました。そこで、外から推察可/不可の説明をひねり出したのです。

ただ「面白い」は外に出ない気持ちだ、と説明することもできますが、何か本を読みながら微笑を浮かべている、あるいは、うなずいているなど、「あの人は本が面白いんだろうなあ」と想像できる場面はあると思います。ですから、気持ちがどのように起こるのかを考えました。
これなら、「おいしい」は、例えば口に入れた瞬間「おいしい」と感じ、咀嚼している間中「おいしい」が継続すると考えることができます。だから、おいしそうに食べることが可能です。

以上のような説明に対する学生の反応は、うーん、難しい、という感じのものでした。説明の言葉が難しくてよくわからなかったという面があったと思います。(これでは本末転倒なのですが。。初級後半の学生なので、とりあえず、嬉しい・楽しい・面白いが整理できればよしという気持ちもありました。)

でもどうしてここで「面白そうに読んでいます」はだめなのでしょうか。例えば、
親戚のおばさん「たろうくん、今何をしてるの」
太郎の母「2階で、昨日主人にもらった本を面白そうに読んでるわ」
はどうでしょうか。できるだけ自然に聞こえるようにしてみました。良いような気もしますが、同じ状況では「熱心に読んでるわ」の方が良いように思われます。

長々と失礼しました。たくさん書いてしまいましたが、要は「どうして「面白そうに〜をスル」ことができないのだろうか」という質問です。どのようにお考えになりますか。

ご返信お待ちしています。
 
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ありがとうございました! 削除/引用
No.32-10 - 2009/09/07 (月) 14:57:56 - amelie
返信遅くなりまして、すみません。

丁寧に説明してくださってありがとうございました(^^)

amelie

「つまらながる」と「おもしろがる」 削除/引用
No.32-9 - 2009/08/28 (金) 15:59:10 - oyanagi◆t0YRevJB
amelieさん、レスをありがとうございます。

さて、「つまらながる」ですが、私自身は使いませんが、使っても間違いではないかなといった印象です。「程度」の問題で、使えないわけではないが、慣習化していないといったものがけっこうあると思います。たいていはは「つまらなさそうに(〜している)」などと言うのではないでしょうか。「おもしろがる」が広く使われているのに対して、「つまらながる」はあまり定着していないと思います。

試しに、少し古い書籍の日本語ですが、検索してみると、「つまらながる」は数例がヒットするだけで、「おもしろがる」の比ではありません。

■Googleを使って「青空文庫」を検索する。
 次の検索式を入力してヒット件数を見てみてください。
 それぞれの「〜がる」「〜がって」「〜がった」の使用例を検索します。
 ※なお、このような検索に特化したツールを拙HPのch2で公開しています。
 ※「青空文庫」については:http://www.aozora.gr.jp/
------------------------------------
"(面白|おもしろ)がる" site:aozora.gr.jp inurl:cards
"(面白|おもしろ)がって" site:aozora.gr.jp inurl:cards
"(面白|おもしろ)がった" site:aozora.gr.jp inurl:cards
"つまらながる" site:aozora.gr.jp inurl:cards
"つまらながって" site:aozora.gr.jp inurl:cards
-------------------------------------

ちなみに、現在国立国語研究所の「現代日本語書き言葉均衡コーパス」モニター公開データ(2009年度版)を使って検索してみると、「おもしろがる/面白がる」(活用形を含む)は118件ヒットしますが、「つまならがる」はヒットしませんでした。
→このコーパスについて:http://www.kokken.go.jp/kotonoha/ex_8.html

次に、「おもしろがる」の特定の状況についてですが、これは「おもしろい」の多義性によります。「おもしろい」には大きくわけて「おかしい」という感情と「興味をひかれる」といった感情(評価)があります。私の語感では、言い切りで「面白がる」という場合、その意味は「おかしい」のほうが優先されるのではないかと思います。

例)「学生は先生の話を面白がった」

このような表現は、「興味深げに先生の話を聞いた」の意味では ”使いにくい” と思います。
つまり、「おもしろがる」は「おかしさ」のほうに意味がシフトしていると思います。
ですから、「おもしろがって〜する」と言えば「ふざけて」の意味になりますし、「おもしろがる」なら次のような例が自然だと思います。

例)「学生は先生の冗談を大変おもしろがった」

注)「興味深げに〜する」の意味で「おもしろがる」を使うこともあると思いますが、私の語感では(現代語では)「おかしさ」のほうにシフトしているのではないかと思います。

改めて自分の投稿を読んで、最後の説明の(8)が何のことかわかりにくかったのではないかと思ったので、別のわかりやすい例を挙げておきます。
------
8)Aで「〜」と使えるからといってBも「〜と」使えるわけではないこと、つまり言葉は常に体系的に同じ形式で言えるのようになっているわけではないことを、理解してもらう。
------
初級では「若い」を勉強したあと、反対語にあたる形容詞がないことを学生が不思議がることがあります。(「古い」は使えないので「年を取った(人)」を使う)
これは形容詞の語彙体系の中で、反対語が「形容詞」対「形容詞」になっていないということです。

つまらながる/面白がる 削除/引用
No.32-8 - 2009/08/28 (金) 13:18:42 - amelie
oyanagiさん、今、もう一度投稿を読み、理解いたしました。
初級の学生に理解してもらうのは大変そうですが、私の中ですっきりしましたので、大きな一歩です(^^)ありがとうございました!

「つまらながる」についてですが、

 彼は(〜を)つまらながっている。

これは、私は非文だと思うのですが、以前別の日本語教師の人に聞いたら、これはOKだと言っていました。ゆれがあるのでしょう。

それから、「面白がっている」ですが、特定の状況でしか使えない、というのは、
例えば「かわいがる」のように、一つの動詞になって、特別だ、という意味だったのでしょうか?
「かわいがる」は3人称にも使えますが、1人称にも使えますから、ガルがついた特別な動詞だと思っていました。

 家で(私たちが)かわいがっている野良猫が子猫を産んだ。

これと同じで、「面白がる」も1人称にも使えそうです。

 面白がってせみを突っついていたら、おしっこをかけられた。

この意味で特別だということでしょうか。一応確認したくて、書いてみました。

amelie

ありがとうございました! 削除/引用
No.32-7 - 2009/08/24 (月) 16:24:19 - amelie
oyanagiさん、お返事ありがとうございました!

まだ一度読んだだけで、理解するだけでいっぱいになってしまったのですが(^^;)、先にお礼だけ申し上げたく書き込みました。

改めて質問させていただくかもしれませんが、今は取り急ぎお礼までにて(^^)

属性形容詞と感情形容詞(その:指導) 削除/引用
No.32-6 - 2009/08/18 (火) 14:30:08 - oyanagi◆t0YRevJB
■学習者にどう説明するか?
 初級での指導方法についてですが、次のような項目をおさえてレベルに合わせて指導するのがいいと思います。具体的な助言になっておらず、申し訳ありません。

(1)形容詞には属性形容詞と感情形容詞がある。
(2)両方の用法がある形容詞もある。
(3)両用の形容詞であっても、感情の現れを描写する際に文法的な振る舞いに違いある。
   「〜そうだ」が言えるか?
   「〜そうに」が言えるか?
   「〜がる」のほうをよく使うか?
   まったくほかの言い方を使うか?
(4)属性形容詞では反対語であっても感情形容詞としての振る舞いは異なる。
   例)「おもしろい」対「つまらない」
   また、「おもしろい」と「おもしろくない」も感情形容詞としての振る舞いは異なる。
   例)?「おもしろそうに・・・する」
      「おもしろくなさそうに・・・する」
(5)このようにある点で同じグループに扱われる形容詞であっても、実際にどのような意味で使われるかで文法的な振る舞いが異なることがある。
(6)両用形容詞についてのこのような振る舞いの違いは「対象属性指向」の強さと関係がありそうだ。
(7)特別な拡張を除いて、よく使われる両用形容詞は(初級などでは)限られているので、個々の形容詞の特徴をおさえる。
(8)Aで「〜」と使えるからといってBも「〜と」使えるわけではないこと、つまり言葉は常に体系的に同じ形式で言えるのようになっているわけではないことを、理解してもらう。
   例)「おしそうに・・・する」
     「つまらなそうに・・・する」
     ?「おもしろそうに・・・する」

以上です。何か不明な点があれば、遠慮なくご質問ください。


----
文献1:松岡弘[監修](2000)『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク
文献2:寺村秀夫(1982)『日本語のシンタクスと意味T』くろしお出版
文献3:名柄迪[監修](1991)『日本語教育能力検定試験 傾向と対策Vol.1』バベル・プレス

属性形容詞と感情形容詞(その4:まとめ) 削除/引用
No.32-5 - 2009/08/18 (火) 14:29:15 - oyanagi◆t0YRevJB
■両用形容詞の分類

(12)のa〜dの4つをその文法的な振る舞いの違いから分類してみます。まず第三者の感情について「〜そうだ」言えるかどうかで【1】と【2】の2つに分けます。さらに「〜そうに」が使えるか(【2-1】と【2-2】)、「〜がる」が使えるか(【2-2-1】と【2-2-2】)で分類してみます。

【1】対象属性指向かつ感情主体指向タイプ
  (感情主体の状態に焦点を当てることができるタイプ)
   ・第三者の感情の現れについて「〜そうだ」が使える。
 『つまらない』
  ・「〜そうに(・・・する)」も使える
 
【2】対象属性指向タイプ
 (感情主体の状態に焦点を当てにくい、つまり対象の属性に焦点が当たりやすいタイプ)
   ・第三者の感情の現れについて「〜そうだ」が使えない。

【2-1】「〜そうに(・・・する)」が使える
 『おいしい』

【2-2】「〜そうに(・・・する)」は使えるが、許容度が落ちる
【2-2-1】「〜がる」が使える
 『こわい』
【2-2-2】「〜がる」は使えるが、特定の状況のみ
 『おもしろい』

■まとめと考察

上に分類したように、両用形容詞の文法的な振る舞いは一様ではないようです。amelieさんが疑問に思ったように、理屈としては、「おもしろい」と感じたとき、その感情が外に現れて、「おもしろそうな顔をする」とか「おもしろそうに・・・する」と言えてもいいはずですが、言いにくいということは、そのように外に現れる様子にまで「おもしろ」を使うことが、何らかの意味的な条件によって阻害されているのでしょう。

何がそれを阻害しているのかと考えてみると、両用形容詞であっても「対象の属性」に強く焦点があたるという特徴をもっているからではないかと思います。その場合でも段階性があって、「おいしい」は比較的その感情の現れが一つの特徴として取り出されやすく、結果として「おいしそうに・・・」が言えますが、「こわい」「おもしろい」はさらに制約が強くなって、一つの動作的な現れとして「〜がる」を使うか、ほかの副詞的な表現を使うことなるのだろうと思います。

■同じことを別の視点から考えてみる

このような感情形容詞の振る舞いの違いは、別の言い方をすると、感情を引き起こす原因としての「対象」と「感情主体」をどの程度切り離して認識できるかという違いだと思います。もっぱら感情形容詞として働く形容詞は「対象」と切り離して「感情主体」にどのような感情・感覚が生起しているのかに焦点を当てることできます。できるからこそ言い切りの「〜そうだ」でそのような感情の現れを描写できると言えます。「つまらない」は両刀遣いです。「彼はつまらなそうだ」は二義性があって、「彼はつまらないと感じている」「彼はつまらない人だ」の意味があります。ところが「おいしい」「こわい」「おもしろい」はこの〈切り離し〉がうまくできない(:対象属性指向が強い)ので、「〜そうだ」で感情の表出を描写できないと考えられます。

さらに、その中でも「こわい」「おもしろい」はその指向が強く、副詞句の「〜そうに」にしても使いにくく、「〜がる」やその他の副詞句で描写することになると考えられます。「〜がる」が特定の状況でしか使えない「おもしろい」は「こわい」よりもさらにこの〈切り離し〉がうまくできない(:最も対象属性指向が強い)と言えるかもしれません。

このように対象属性指向が強い「こわい」「おもしろい」ですが、状況描写の意味が強く出るように「さも」という副詞をつけると、私の語感では「〜そうに」の許容度がアップすると思います。これはデフォルトでは属性指向になるところを、「さも」をつけて無理やり感情・感覚の表出の描写に引きつけているからだと考えられます。

(13)a. 彼はさもおもしろそうに(〜を)見ていた。
    b. 彼はさもこわそうに(〜を)見ていた。

属性形容詞と感情形容詞(その3) 削除/引用
No.32-4 - 2009/08/18 (火) 14:28:14 - oyanagi◆t0YRevJB
■「おもしろい」を「つまらない」「おしいい」「こわい」とのつながりで考える

ここでは「おもしろい」を【文献3 p.55】に従って、属性形容詞と感情形容詞の二つの特徴をもっている形容詞だと仮定します。つまり(10)のように2つの用法があると考えます。そして、属性形容詞として「おもしろい」の反対語として取り上げられることの多い「つまらない」も両方の特徴をもっている形容詞として比較の対象とします。(上の(4)(6)を参照)

(10)(何か話を聞いて)「わあ、おもしろい!/ つまらない!」
   「(わたしは)この話がおもしろい / つまらない」
   「この話はおもしろい / つまらない」

「おもしろい」は「おいしい」「こわい」と同様、1人称で感情形容詞のように使うことはできても、そのような感情・感覚が外に現れている様子を「〜そうだ」では言えまぜん。(上の(8)を参照)しかし、おもしろいことに、「つまらない」は言えます。

(11)a. (私は)おもしろい  → # 彼はおもしろそうだ。 (=彼はおもしろい人に見える)
    b. (私は)つまらない  → 彼はつまらなそうだ。(=彼はつまらなく感じているように見える)

最後に「〜そうだ」以外に第三者の感情・感覚が外に現れている様子を述べる形式を考えると次のようになります。上の(9a,b)と比較できるようにそれに追加して書いておきます。

(12)a. (わたしは)こわい   → # 彼はこわそうだ。(=彼はこわい人に見える)
                → ? 彼はこわそうに(〜を)見ている。
                →  彼は(〜を)怖がっている。
                →  彼は恐る恐る・・・した。

   b. (わたしは)おいしい  → # 彼はおいしそうだ。(=彼はおいしい人に見える)
                →  彼はおいしそうに(〜を)食べている
                → * 彼は(〜を)おいしがっている。
                →  彼は満足げに(〜を)食べている

   c.(わたしは)おもしろい → # 彼はおもしろそうだ。(=彼はおもしろい人に見える)
                → ? 彼はおもそろそうに(〜を)見ている。
                →  彼は(〜をして)おもしろがっている。
                →  彼は興味深げに・・・した
                   { にこにこしながら、笑いながら、嬉しそうに、食い入るようにして }

   d. (わたしは)つまらない →  彼はつまらなそうだ。(=彼はつまらなく感じているように見える)
                →  彼はつまらなそうに・・・している。
                → * 彼は(〜を)つまらながった。
                →  彼は興味なさそうに・・・した。
                   { 嫌々、渋々、関心なさそうに }

属性形容詞と感情形容詞(その2) 削除/引用
No.32-3 - 2009/08/18 (火) 14:26:28 - oyanagi◆t0YRevJB
■両方の特徴をもった形容詞

そして、本来「感情形容詞」のものがそのような感情を引き起こす属性をもっているというふうに拡張して「属性形容詞」の用法をもつものとして次のようなものがあります。(このへんの事情については【文献1pp.372-374】【文献2 pp.151-152】などを、もし手元にあればご参照ください。文献名は最後に書いておきます)

(4)感情:(へびを見て)「わあ、こわい!」
      「(わたしは)へびがこわい」
   属性:「へびはこわい」(=へびはこわい動物だ)

ただ、このような拡張は程度の差こそあれ感情形容詞には見られます。統語的には「短絡」のような印象を与えますが、(5)のような表現も感情形容詞が属性形容詞的に使われている例と見ることができます。ただ、「対象」そのものは生き物ではないので感情を持つわけではありません。結局は対象物がそのような感情を引き起こす属性をもっているという拡張になっているのでしょう。

(5)a. この物語はさびしいね。(=さびしい気持ちにさせる内容だ)
   b. うれしい手紙をもらった。(=うれしい気持ちにさせる手紙)

そして、amelieさんが挙げた「おいしい」も感情形容詞と属性形容詞の両面があります。

(6)(パンを食べて)「わあ、おいしい!」
   「(わたしは)このパンがおいしい」
   「このパンはおいしい」

(4)の「こわい」と(6)の「おいしい」は、どちらも1人称で感情形容詞として使われるのですが、3人称についてその感情・感覚が現れていることを述べる場合に、(8)のように言い切りの「〜そうだ」が使えません。(8)は彼の感情、感覚ではなく、彼がどんな人に見えるかという意味になります。(#は別の解釈としてなら成立することを意味しています)

(7)a. (私は)うれしい → 彼はうれしそうだ。
   b. (私は)さびしい → 彼はさびしそうだ。
   c. (私は)さむい  → 彼はさむそうだ。
   d. (私は)痛い   → 彼は痛そうだ。

(8)a. (私は)こわい  → # 彼はこわそうだ。 (=彼はこわい人に見える)
   b. (私は)おいしい → # 彼はおいしそうだ。(=彼はおいしい人に見える)
               注)この場合の「おしそう」は性的な意味が含まれています。

「こわい」「おいしい」が、1人称で感情形容詞のように使うことはできても、そのような感情・感覚が外に現れている様子を「〜そうだ」では言えないのは次のような事情が関係していると思います。

元々「感情形容詞」しかない形容詞は、観察時点で様相からそのような感情・感覚をもっていると判断することになりますが、「感情形容詞」と「属性形容詞」の両方の用法をもつ形容詞は、観察時点で様相から「属性」のほうを判断することが優先されると考えられます。(※元々「属性形容詞」しかないものは、当然観察時点で様相から属性を推量します。「この箱は重そうだ」など)

それでは、感情・感覚のほうを様相から判断する場合にはどういう形式を用いるのかと言うと、「〜そうだ」のように言い切りではなく、様態副詞として「〜そうに」「〜そうな顔/表情をして」を使ったり、別の形式である「〜がる」を使ったり、まったく別の副詞的な表現を用いることになります。
(*は非文を意味します。?は許容度が下がることを意味します)

(9)a. (わたしは)こわい  → # 彼はこわそうだ。(=彼はこわい人に見える)
               → ? 彼はこわそうに(〜を)見ている。
               → 彼は(〜を)怖がっている。
               → 彼は恐る恐る・・・した。
   b. (わたしは)おいしい → # 彼はおいしそうだ。(=彼はおいしい人に見える)
               → 彼はおいしそうに(〜を)食べている
               → * 彼は(〜を)おいしがっている。
               → 彼は満足げに(〜を)食べている

この二つの形容詞を見ると、「〜そうに」「〜がる」が使えたり使えなかったり(許容度が落ちたり)することがわかりますが、このような文法上の振る舞いの違いを踏まえて「おもしろい」を考えてみたいと思います。

(その3に続く)

属性形容詞と感情形容詞(その1) 削除/引用
No.32-2 - 2009/08/18 (火) 14:25:23 - oyanagi◆t0YRevJB
amelieさん、勉強部屋掲示板へようこそ。お盆休みでのんびりしてしまい、書き込みが遅くなってしまいました。

記述式の問題の場合、いろいろな答えがあって採点する教師を悩ませることが多いですね。さて、ご質問の「〜そうに」ですが、amelieさんの分析でほぼ答えが出ていると思いますが、ポイントを整理して、私が観察したこととそれについての考え方を書いておきます。初級学習者に指導する際の参考にしてください。

■考え方

形容詞は「属性形容詞」と「感情形容詞(:感覚形容詞を含む)」の二つに分けられますが、今回問題となっているのは、この両方の特徴を備えている形容詞ではないかという見当をつけて考えていくことにします。

■属性形容詞と感情形容詞

この二つのタイプの形容詞については、既にご存じのことと思いますが、簡単にまとめておきます。

属性形容詞なら
(1)対象 は 形容詞
   「この本は古い」
という文型で、その対象の属性を述べます。
感情形容詞なら
(2)人 は (対象が) 形容詞
   「(私は)(この仕事が)つらい」
   「(私は)(膝が)痛い」
または、感情、感覚を引き起こす対象が原因と解釈されれば
(3)〜て、人は 形容詞
   「恋人から手紙をもらって、(私は)うれしい」
という文型でその人の感情、感覚を述べます。

(その2に続く)

様態そうに/嬉しい・楽しい・面白い 削除/引用
No.32-1 - 2009/08/12 (水) 16:23:09 - amelie
oyanagiさん、みなさん、こんにちは!
以前にも書き込みをさせていただいたamelieです。今回形容詞「嬉しい」「楽しい」「面白い」と、「(様態)そうに」のことで書き込みをさせていただきます。

初級後半の学習者向けのテストに次のような問題がありました。

「手紙に何かいいことが書いてあるようで、田中さんは(そうに)読んでいる。」

これは記述式の問題だったので、学生は空欄部分に次のような回答を入れてきました。

@嬉しそうに A楽しそうに B面白そうに

@は全く問題がありませんが、ABは変だと思います。

Aがだめな理由は、意味的な問題として説明しました。「楽しそうに読んでいる」では、読むこと自体が楽しいのであって、何かいいことが書いてあるようで、という原因を無視した形になっているからバツです。

問題はB面白そうになのですが、どうしてBがバツなのか、私は次のように考えました。
@Aは、継続する気持ち(=外から推察可)なのに対して、Bは一瞬のうちに起こり消滅する気持ち(=外から推察不可)だから、Bはバツ。
もう言ってしまったのですが、正直に言うと、これにはあまりしっくり来ていません。。

以下、どうしてこのような説明に到ったかについて書きます。
まず、「面白そうに何かをすることはできない」と考えました。Googleで検索しても、「面白そうにV」のVは見えるなどの無意志のものが多く、他は文学的な表現として使われることが多いようでした。(「面白そうに笑う」など)

なぜ面白そうに〜をスルことができないのか。
人が 面白そうに 読む。 (人=面白い)??

読むのは私です。面白そうには読むに掛かりますが、読むのは結局ガ格の人であって、人=面白いになってしまうから、だめなのだと思いました。

ではなぜ、「おいしそうに食べる」はOKなのでしょうか。
人が おいしそうに 食べる。 (人=おいしい)??

このように考えて、この「面白いのは何か(だれか)」から説明していくことはできないなとわかりました。そこで、外から推察可/不可の説明をひねり出したのです。

ただ「面白い」は外に出ない気持ちだ、と説明することもできますが、何か本を読みながら微笑を浮かべている、あるいは、うなずいているなど、「あの人は本が面白いんだろうなあ」と想像できる場面はあると思います。ですから、気持ちがどのように起こるのかを考えました。
これなら、「おいしい」は、例えば口に入れた瞬間「おいしい」と感じ、咀嚼している間中「おいしい」が継続すると考えることができます。だから、おいしそうに食べることが可能です。

以上のような説明に対する学生の反応は、うーん、難しい、という感じのものでした。説明の言葉が難しくてよくわからなかったという面があったと思います。(これでは本末転倒なのですが。。初級後半の学生なので、とりあえず、嬉しい・楽しい・面白いが整理できればよしという気持ちもありました。)

でもどうしてここで「面白そうに読んでいます」はだめなのでしょうか。例えば、
親戚のおばさん「たろうくん、今何をしてるの」
太郎の母「2階で、昨日主人にもらった本を面白そうに読んでるわ」
はどうでしょうか。できるだけ自然に聞こえるようにしてみました。良いような気もしますが、同じ状況では「熱心に読んでるわ」の方が良いように思われます。

長々と失礼しました。たくさん書いてしまいましたが、要は「どうして「面白そうに〜をスル」ことができないのだろうか」という質問です。どのようにお考えになりますか。

ご返信お待ちしています。
10件 ( 1 〜 10 )  新 | 古  1/ 1. /1 [ ▼降順 | ▲昇順 ]



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